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フランスでの殺害事件に見る不法移民問題


 日本ではあまり報道されていないようですが、フランスで再び重大な事件が発生しました。パリで19歳の女性がレイプされ、殺害されるという事件が起こり、逮捕された犯人は国外退去命令が出ているモロッコ人でした。この事件を受けて、フランスの政治が再び混乱し、注目を集めています。

 世界中で移民が増加することにより、様々な問題が発生しています。それに対する反対運動も起こっていますが、この問題についてメディアが十分に伝えていない傾向があると感じています。

メディアが報じない移民問題

事件の概要

 事件の発端は2024年9月21日に起きたもので、19歳の女性がレイプされた上に殺害され、パリの西側にあるブローニュの森という公園で遺体が発見されました。この事件の犯人は9月24日にスイスのジュネーブで逮捕されました。
 犯人は22歳のモロッコ人で、国外退去命令が出されていた人物でした。

容疑者の背景

 この容疑者は17歳だった2019年にレイプ事件を起こして有罪判決を受けていました。7年の刑期のうち5年を刑務所で過ごした後、2024年6月20日に仮出所し、違法滞在者として収容施設に送られていました。
 
当局はモロッコへの送還手続きを進めていましたが、パスポートを持っていない人物を国外退去させるには手続きが必要で、その手続きが遅れる中で9月3日に条件付きで釈放されていました。

釈放の理由と条件

 釈放の理由は、この男が難民申請を行わずに出国命令に異議を唱えなかったからです。釈放の条件には警察への定期的な出頭などが含まれていましたが、その出頭命令に従わなかったため、当局は指名手配を行い行方を追っていました。
 その中で今回の犯行が行われたと見られています。犯行後に被害者のカードを使って現金を引き出した時の映像で身元が特定され、逮捕に至りました。

フランス国内の反応

 この件はフランスのメディアで大々的に報道されています。
 7月にはイギリスでルワンダにルーツがある17歳の少年が3人の少女を殺害する事件が発生しました。このイギリスの事件は不法移民が起こした事件ではありませんでしたが、不法移民が多いことに対する反対デモが起こり、デモが暴徒化する事態に発展しました。
 8月にはドイツで国外に送還される予定だった難民申請者の男が3人を殺害する事件を起こしています。
 そして今度はフランスでまた不法移民による殺害事件が起こってしまったという状況です。

国外退去命令の実態

 フランスではこの事件をきっかけに国民が怒り、国外退去命令が出ている者の速やかな退去を徹底するべきだという議論が起こっています。
 
フランスでは国外退去の命令を出したうち、実際に執行されて国に帰っているのはわずか7%に過ぎないとフランスメディアで報じられています。欧州全体では30%程度になっており、それでも少ないですが、フランスでは極めて低い水準になっています。つまり、国外退去命令を出してもほとんどそのままフランスに留まっているという状況です。

政治家の反応と法改正の動き

 保守派の内務大臣は有罪判決を受けた外国人の強制送還を容易にするための法改正に前向きな姿勢を示しました。
 また、左派連合で元大統領のオランド氏は出国命令が速やかに執行されなければならないと発言しました。同じく左派の社会党の党首は、釈放された男はそのまま飛行機に直行するべきだったと述べ、政党でもこの問題に厳しく対応する姿勢を示しています。

 オランド前大統領がこの左派連合の統一候補として出場を表明するなど、この左派連合がルペン氏率いる国民連合の有力な対抗馬になりそうな状況になってきています。しかし、この左派連合も財政拡張路線を目指す可能性が高いと見られています。

フランスの政治変動と国債と株式市場への影響

国民連合の主張と国内の対立

 一方、メディアで極右と呼ばれている国民連合は、フランスの司法制度は緩く、国家は機能不全に陥っているとし、政府が行動する時が来たと主張しています。率直に言ってフランス国民は怒っていると発言しています。
 一部の政治家は今回の事件の犯人に同情の余地はないとしつつも、国民連合などの右派に対して人種差別や外国人排斥を広めるべきではないとし、国内でも意見が対立しています。

ドイツの事例と今後の展望

 先月ドイツで起こった不法移民による殺害事件で、与党の移民政策への反対などから、その後に行われたドイツの地方選で極右のAfDが台頭することにつながったと見られています。
 フランスでも今回の事件をきっかけに、ますます国民連合が支持を伸ばすことになるかもしれません。

不法移民問題の根本的な解決策

 これもドイツで起こっていることですが、AfDが支持を伸ばす中で、与党も不法移民への対応を厳格化せざるを得なくなり、ドイツでは現在国境警備の強化を行っています。
 フランスでも国外退去の執行の厳格化などを今後進めていくことになるのではないでしょうか。ただし、それだけでこの問題が終わることはないでしょう。少しばかり送還したり、入ってくる不法移民を抑制しようとしても、アフリカや中東などからどんどん渡ってくる今の状況では、根本的にやり方を見直さない限り、これからも不法移民は増え続けます。同様の問題がまた起こる可能性は十分に考えられます。

国境管理の強化とテロ対策
 また、9月16日からドイツでは不法移民対策として国境管理の強化を開始しました。既存のオーストリア、スイス、ポーランドとの国境に加えて、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、デンマークとの国境管理を開始し、全ての国境を警備する体制になっています。

エネルギー問題と移民政策に見るドイツの変化

今後の展望

 これからもこうした事件が起こるたびに、極右が支持を伸ばしていく状況が続いていくことになりそうです。ニコニコchではYouTubeで扱いづらいテーマの動画を公開しています。是非そちらもご覧にいただけると幸いです。


ご参考

紛争が終結しても、インターネットやSNSの時代の中でヨーロッパやアメリカを目指そうという移民は減らないのではないかと私は見ています。

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