コミュニケーションの達人
私はコミュニティ運営や聞く仕事をする傍ら、ライスワークとして週4日お土産物の製造工場で働いている。
その職場で一番興味深いことといえば、日々山のように作られるお菓子ではなく、上司の絶妙にズレた思考回路でもなく、パートのおばちゃんたち…もといお姉さま方のコミュニケーション力の高さだ。
例えば、
ケチャップはどのメーカーか、カゴメのソースは何種類くらいあるのか、マヨネーズはキューピー派か味の素派か…といった話で昼休みの1時間盛り上がれる。
調味料の話題だけでよくそんなに盛り上がれるものだなぁ…と思う。
「カゴメのソースは何種類くらいあったか」なんて、雑談ビギナーの私などはすぐにスマホで調べてしまい「ラインナップはこれみたいですよ」とのたまって終了。実につまらない。
だが、歴戦のお姉さま方は違う。
今までの記憶や人生経験を頼りに、ああでもないこうでもない、と話に花を咲かせるのだ。
コミュニケーション力が高いというのは、こういう人たちのことを指すんだろうとつくづく思う。
たわいのない会話において最も重要なのは「ああでもないこうでもない」と言い合う時間なのだ。
そもそも昼休みの雑談の場で、誰も正しい情報なんて求めていない。
カゴメのソースが何種類あるかなんて、本当はどうでもいい。
本当に大切なのは、たわいもない会話をすることで相手の人となりを知ることや、友好関係を築くことなのだ。
毎日会う職場だ、仲良くなっておけば働きやすいし、困った時に助け合える。
だからこそ、話題の行く末で結論が出なくとも問題ないし、ある程度自分の言いたいことが言えて会話が弾めばそれでいい。
友好のためのコミュニケーションとはそういうものなのだ。
実に奥が深い。
私も見習わねば。
ちなみに昼休みの間、私はお姉さま方の輪の隅にそっと場所を確保し、談笑しているふりをしながら人間観察と考察をしている。
…私が歴戦のお姉さま方のようになれる日はまだ遠そうだ。
いただいたサポートはコミュニティ運営の費用か、私と家族の栄養になります。 いつもありがとうございます。