私はどうやら特別ではないみたい

私はどうやら特別ではないみたい。

自分が特別で、何者かになれると信じてやまない17歳の私に伝えてあげたい言葉です。

「私はどうやら特別ではないみたい。」
それを聞いた17歳の私はどんな顔をするんだろうか。それよりもまず、22歳になった自分のあまりの変わってなささにびっくりするでしょうね。

誰もが幼いころは自分は世界に一人だけの特別な存在で、オンリーワンでナンバーワンな存在で、世界を救うヒーローにもなれれば、世界を魅了する歌手にもなれるし、世界をまたにかけて活躍するスポーツ選手にもなれると思っていたと思います。

でも、いつの間にかその夢はなくなっていき、夢を語ることが恥ずかしくなり、夢を見ることも恥ずかしくなっていき、しまいには日本の部品として働くことが善であると考えるようになっていったと思います。

私もそんな例にもれず、自分はオンリーワンでナンバーワンだと思っていた17歳の頃から早5年、日本の部品になって一生安定、一生平凡、一生NO波乱万丈の人生を選択してしまいました。17歳のあなたにはまだわからないつらさも感じてきたし、痛みも感じてきたし、本当に心の底から絶望して、本当に周りに心配されるぐらいご飯も食べなかった時期もあったし、本当に周りに見張られるぐらい死んでしまいそうな時期もありました。

今のあなたには何にも想像できないと思います。私がこの5年間で感じてきたこと、見てきた世界、聞こえてきた音、何にも今のあなたにはわからないと思います。それだけあなたは本当に井の中の蛙状態だったし、のくせいに、めちゃくちゃ大げさに自分のことの不幸めいたりしていて、私からゆわせれば、それはただの甘えであり、子供だから許される行為でもあります。

そんな甘ったれて、顔に苦労の一つもないあなたにわからせてあげたい。
「私はどうやら特別ではないみたい。」ということを。

私はずっと女優になりたかった。ドラマや映画にでる女優さんになって、国際映画賞とかを受賞したかった。
きっかけは、竹内結子さんのファンになってから。彼女のファンになって、彼女と共演することが私の夢になった。それが小学高の6年生から、ずっとその夢だけを追い続けてきた。

私は、当然にその夢を果たすことができると思っていた。自分は女優になって必ず大きな映画に出ることができると思っていた。

でも現実はそんなに甘くなかった。
東京に上京してきてから、女優になるためにたくさんのオーディションを受けたけど結果はどこも同じだった。
自分には夢を追いかけることの余地さえ与えられてないように感じた。それでも私は諦めきれなかった。いや、諦めるのが怖かった。夢を諦めたら、自分には何が残るのかわからなかったし、そんな人生は自分にはふさわしくないと思っていた。

それでも日々自分には才能がないことを突きつけられて、就活の時期になった。その時にちょうど私が良ければ合格というオーディションがあった。もちろん私は絶対に合格したかった。でも、そこにきて親の反対にあった。
女優になるためなんかに高い学費払って大学に行かせてるんじゃないとか、そんなんだったら大学に行かせなければよかったとか、自分の子育てが失敗したとか、散々泣かれて喚かれた。
私は、一人の人間として自分の人生を歩きたかっただけなのに、親に今まで自分の人生を決められてきて、やっと自分が持てた夢だったのに、それすら理解されず、絶縁するとさえ言われた。
私は、自分がずっと見てきた夢だったにも関わらず、今の自分が持っているものを捨ててしかなることができないものなら、それは自分には無理なことなんだと、その時に初めてわかった。そして諦めた。そのことを母に伝えたときに、「でも、あなたも一人の人間なのにその夢を応援できなくて悲しい」と言われた。そんな言葉、母の口からだけは絶対に聞きたくない言葉だった。
私は、両親に対して「あなたたちのために生きていきます」といった。そう言って無心で、本当になんの感情も夢もなく就活していた。ただ自分は平凡に生きて、平凡に死んでいければそれでいいんだって、そうやって自分のことを騙して、殺して就活してた。全部は両親のため。両親のために就活してた。
それなのに、自分が内定した企業を話した瞬間の最初の言葉は、
「え?ほんとにそんなへぼいとこ行くの?何のためにいい大学活かせたと思ってんの?もっといいところに就職しなさい。あなたの努力が足りないのよ。」

その言葉だった。私はもう、何のために生きて、何のために死んでいくのかわからなくなった。自分を生きようと思ったのに、反対され、人のために行きようとしたのに、それはバカにされた。

私は、いったい、何のために生きているのだろう。

そんなこと考えたら終わりの人生という名のこのゲームは、本当につまらない。つまらない。つまらない。つまらない。

何が楽しくてみんないやいや働いて、何が幸せでみんな文句言いながら惰性で結婚して、何がよくて未来のないこの社会で子供を育てているんだろうか。
何が?何のためにみんな毎日ロボットみたいに起きて、ご飯食べて、寝て、息を吸っているの?なんで?なんでなのか誰も考えないし、誰一人としてやめようとしない。

みんな、自分のために生きていて、自分の人生を歩んでいるのかな?だとしたらみんなうらやましい。いいな。

私も、私の人生を生きていきたかった。

私はこれから先もこんなことを永遠に考えながら、毎日起きて、食べて、排せつして、寝て、また起きてを繰り返してゲームしていこうと思う。
なんの目標もないし、何の夢もない。何の希望もないし、何の喜びもない。こんなつまんない世界で、私は物体としてゲームするよ。
そうするよ。それでいいんだよ、どうせ私の人生なんて。


17歳の私、ごめんね。でも、あなたのせいだよ。あなたのせいにでもしないと上手く息も吸えない私を許してね。全部あんたのせい。あんたなんかいたから、私はこんな目にあったんだよ。あんたなんか嫌い。大っ嫌い。

私はどうやら特別ではないみたい。


私はどうやら特別ではないみたい。

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