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「マニアフェスタ」―好きを突き詰めた人は面白い/マニアフェスタ Vol.3

わかり合えるのか?イベントに行く前はただそれが心配だった。

マニアフェスタとは、様々なジャンルのマニアが秋葉原の廃校(正確に書くと、アーツ千代田3331という千代田区の文化施設)でZINEや制作物を販売するイベントだ。

私は昨年9月に開催されたvol.3で初めて訪れた。最初はあまりのマニアックさに、ちょっとひいてしまって、何もできずに会場を一周してしまった。ブースに立ち寄って彼らの話についていけなかったらどうしよう、理解できなかったらどうしよう、よくわからない勧誘でもされたらどうしよう。色々なこと考えてしまった。

しかし「たぬきケーキ」ブースの説明を聴いて、イメージがガラッと変わった。「たぬきケーキ」とはたぬき型のチョコレートケーキのこと。バタークリームが使われていることが多い。しかし「たぬきケーキ」を作るのは老舗洋菓子店が多く、全国でその数が減少、絶滅の危機に瀕している。そこでマニアのまつもとさんは、全国の「たぬきケーキ」を食べ歩き、写真を撮ってZINEにまとめ、マップまで作成。私が地名を挙げると、最寄りの取扱店の特徴をサラっと言ってしまう。何でそんなことをわざわざ…という野暮な考えはまったく浮かばなかった。自分の好きなものを追いかけ続けるマインドにただただ感動。

次に立ち寄った「いらない紙保存しちゃうマニア」は、箸袋や映画の半券、レシートなどをついつい保存してしまうマニア。私もよくイベントのフライヤーとか、古い洋食屋の紙ナプキンを持って帰ってコレクションしていたりしたので、同じようなことをしている人がいるのだとわかり、なんだか安心した。同時に今までは意識してこなかったけど、いらない紙の収集に自分は面白さを感じていたのだなということに気付く。

そしてついつい500円~1500円ぐらいで販売されているZINEを買ってしまった。なぜなら、発想や切り方が市販の雑誌にはないユニークなものばかりで、面白いからだ。

例えば、「食べ方マニア」こと「食べ方学会」が発行する『食べ方図説 崎陽軒シウマイ弁当編』。編集者や漫画家、本家崎陽軒の社員さんまで様々な職業の人に「シウマイ弁当」の11品(俵型ごはん、シウマイ、あんず、唐揚げ、筍煮…)を食べる順番を調査。そして弁当の間俯瞰写真に食べる順で番号を振り、その横に各々のこだわりが解説されているというZINEだ。「シウマイ弁当」という題材も良いけど、食べる順番だけで、1冊の本を作ってしまう発想が本当に面白いなと感じた。

BRUTUSの西田編集長がインタビューでよく、雑誌は少人数で作った方が面白い、と言っていたのは、まさにこういうことなのではないかなと納得。〇〇が好きだ!という熱量がこれでもかというくらい詰まっていて、良い意味で偏っているからこそ、他には無いものが出来上がっている気がする。

そんなマニアフェスタvol.4が今日(2/8)と明日(2/9)、「アーツ千代田3331」で開催される。今回はどんなマニアに出会って、どんな刺激を受けられるのか、楽しみでならない。

『八角文化会館vol.4 日本のワンダーランド伊豆』(終末観光マニア)

『伊東園ホテル見聞録』(伊東園ホテルマニア)

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