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生なるものの真直ぐに触れて
白蛇を掬った手水の裾に
登っていく君の腕だけが見える
水は薄くはあるが透明にならず
牙と舌はかき混ぜられていく
僕はここにいたくない
瓦の強さは手遅れで
鮮度を失った匂いは
とうに生きることに値しない
海の手前の開発都市
海月の列に埋もれた皮膚
泡のような触れ合いが
芸者の舞台をひっくり返して
性と生の背中合わせが
悔しそうに肩を叩くから
懐中時計の音を弦に
覆い被さる男がいても
涙を拾う
Shoot the moon
横になった日々が白と揺れて
俗っぽい肉体からも花の香りが
外は暗闇だと知っていたのに
衛星に身を任すのは愚かしい
孤独の縁石が尻尾を振って
玄関からの影を浸している
空っぽならそっとしておいて
唇に甘美な唾を溜めながら
後ろ髪をドライヤーで移していくと
分かってくれない廃墟の愛が
季節の歩幅を語り始める
その行先はどこ?
知っていることだけを月へ向かわせて
またこの歌をピアノで聴かして