May
愛おしいという形を
彫り込んでいっても
微熱で覚めてしまう気がして
何が透き通っていたのか
今となっては
弦の揺らぎに問いかけて
他のものにうつつを抜かして
今日もシャツを着る
例え無色だとしても
一つになることに抵抗はあるから
髪を撫でる時間で
明後日を摘み取ってしまえばって
安易な表現でしか伝えられないことが
多くあり過ぎる五月の夜に
喜んだ顔をするたびに
プールサイドに落ち葉が
僕の生きてきた意味を
削ぎ落としていったら
どんな虚像だとしても
無関心と嫌悪が幅をとって
何世紀にも分断が進んでしまうのを
君を愛することで
遅らせることはできるかな
ステップを踏む路地の後ろに
知らなかった頃が浮かんでいて
置いてけぼりになりそうになりながら
不安げな顔を隠してる
流していった目線に
軽蔑は上手く乗らないよ
放物線にいなくなったら
蝉の歩みは引っ張られてしまう
わからないって言わないで
わかってもらおうと努めて
そうして三四半世紀たったら
もっと豊かな言葉で
君といたい
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