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物の価値への考え方が変わる『減価償却』 とは!?


不動産所得や事業所得をお持ちの方が実は実態がよくわからないものNo.1とも言われる『減価償却』について質問がありましたので記事にしました。

今回は質問をしてくださった方のために、わかりやすく不動産を例にしてお話をします。

『減価償却』って何?


ものすごい雑にいうと、物の経年劣化を数値化し経費計上を可能する制度です。

例えば、マンションでもパソコンでも、学習机でも形あるものは使っていくうちに毎年古くなり、性能が落ちます(経年劣化)。
それらの物は劣化することによって価値が下がります。

結果、1000万円で買ったマンションが800万円の価値になったり、20万円で買ったパソコンは16万円の価値になります。

実にこのケースだとマンションは200万円価値が下落したことになります。
この200万円を自身の所得から損金として組み込めるというのが『減価償却』です。

つまり、上記の例ですと200万円自分で支払いをしているわけではないですが、200万円分の経費を計上するのとおなじ効果があることになります。

不動産を購入して節税を取れるのは『減価償却』があるからなんです。

ちなみに不動産の場所や築年数によって取れる減価償却が変わるので、どんな物件でも節税できるわけではありません。
話が広がりすぎてしまうので、この辺りはご質問は最寄りの弊社FPまでどうぞ!

お問い合わせはこちらからどうぞ!


————————— 閑話休題 —————————


ここからは少し上級者向けです。

不動産における減価償却の計算

不動産は減価償却の計算でも少し特殊なので、実例を載せようと思います。

①不動産は先ず土地と建物に分けよう
 
『減価償却』はあくまで物の劣化にかかるもの。土地の所有権等の権利には適応されません。そのため、不動産の減価償却を出す際には、土地と建物に分ける必要があります。
分け方もいくつかあるのですが、一般には2パターンが多いかと思います。

1、売買契約書の消費税から計算する。
 土地の所有権という権利には消費税もかかりません。それを利用して消費税から建物価格を算出して減価償却で扱える額を出すパターン。

2、固定資産税評価額等の評価をもとに按分する。
 土地も建物も固定資産として評価額が設定されており、それを割合で計算して減価償却の額を出すパターン。

感覚的な所ではありますが、個人の購入の方は消費税計算が多い印象です。

②耐用年数を調べよう

実は不動産は物件の構造や築年数によって耐用年数(減価償却の期間が異なります)
物件の耐用年数を調べて、1年当たりで計上できる減価償却額を計算する必要があります。
ちなみに確定申告作成用のサイトe-taxでは自動計算なので、覚える必要はありませんが、節税をある程度視野に入れて不動産を購入される方は知っておいた方が良いです。

構造別法定耐用年数一覧 
・軽量鉄骨造     19年
・木造        22年
・重量鉄骨造     34年
・鉄筋コンクリート造 47年

事業用はもっと細かいのですが、税理士でもない限り必要ないかと思いますので省略。

上記の年数から築年数を引いた額が減価償却の期間…

と簡単に言えればいいのですが、実際には少し期間は上乗せされます。
一応計算式も載っけておきますが、そうなんだくらいの認識で大丈夫です。

“法定耐用年数-築年数+(経過年数×20%)”
※経過年数の上限は法定耐用年数となる

③項目に分ける

不動産の『減価償却』は全てが建物で計算しないことが多いです
建物の部分をさらに細かく分けることで『減価償却』を細分化する。
よく使われのが、「躯体・設備」もしくは「躯体・設備・備品」の2パターンです。

・躯体 建物本体に当たる部分
    耐用年数は物件構造による

・設備 建物に付属した部分(電気設備や空調設備、給排水設備等)
    耐用年数は新築で15年

・備品 設備より細かい部分(キッチンやエアコン、トイレ本体等)
    耐用年数は6年

この項目の難しいところは、明確に割合が決まっていないという点です。
ただ概ねにはな李ますが、以下の計算で計上する方が多いです。

「躯体:設備」の場合「70%:30%」or「65%:35%」
「躯体:設備:備品」の場合「70%:20%:10%」or「65%:25%:10%」

④年間の減価償却額を計算する。
例)
・新築物件価格3000万円(土地1500万円、建物1500万円)
・「躯体・設備・備品」=「70%:20%:10%」


区分マンション購入時の減価償却イメージ図

上の図の例だと、以下の減価償却を経費としてあげられるようになる。

1-6年目  67.3万円
7-15年目  42.3万円
16-47年目 22.3万円

これはあくまで一例に過ぎませんが、減価償却を理解することで、投資用不動産を検討する際には物件をある程度絞れるようになる人もいます。

覚える必要はないですが、この計算が物件によって違うということを認識して置くようにしましょう。

年も明けて確定申告の準備をはじめている方も多くいるかと思います。

・投資用不動産を購入済の方、検討中の方
・減価償却が含まれる資産を所有し今年初めて確定申告をされる方

不明点等あれば是非ご相談ください。


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