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みだれ髪の読書記録:2024年2月14日~3月16日(フェルメールとオランダ黄金時代、クライマーズ・ハイ、リスペクト、ゴールデンスランバー)

この期間に読んだ本は7冊。
3冊はすでに書いているので、今回感想を書くのは4冊になる。

①『中野京子と読み解く フェルメールとオランダ黄金時代』by 中野京子

中野京子さんの本を読むのは、26冊目。
1昨年(2022年)に、フェルメールの作品を含む美術展が2回開催されたので、その時から気になっていたけど、文庫か新書になったら買おう!とずっと待っていた。
ところが一向にその気配がないし、フェルメール関連の映画上映もあったし、この機会に、と思い切って購入。

タイトルに偽りはないのだけど、取り上げられているフェルメールの作品は思ったよりも少なく、8点。30点は他の画家の作品である。
まあ、1点しか展示してなくて「フェルメール展」とうたっている展覧会もあるくらいだから、これだけ掲載すれば十分か。(笑)

作品はすべてカラーで、見開き2ページを使っているので、これを眺めるだけでも楽しめるが、中野京子さんの解説はやはり面白い。
オランダの歴史や文化についても何となくわかってくる。
また読み返したい。

②『源氏物語と紫式部(名著とその人)』 by 木村正中
これは記事を書いた。


③『クライマーズ・ハイ』 横山秀夫

本屋大賞ノミネート作で、読もうと思いつつ読んでいない作品を古いのから読んでいこう!と思い、その1作目が、この作品。
タイトルから、山登りの話かな~なんて気楽に読み始めて、うゎ、予想より重い話だ~そんな気楽に選ぶべき本ではなかった~。

1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木が、全権デスクに任命される。一方、ともに上る予定だった同僚は病院に搬送されていた。
組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは―。

裏表紙のあらすじー

テーマは重いが、展開は面白く、どんどん読みたくなり、読み進めるとまたつらくなり、でもやめられない。
うまい、というかすごくリアル。
当時は携帯電話もなく、ポケベルと公衆電話で、一刻も早く状況を知らせようとする、記者たち。他社との争い、内部の争い。
報道の在り方から、人生の在り方まで考えさせられる、ライターの魂を感じられる小説だ。

④「リスペクト R・E・S・P・C・T」 by ブレイディみかこ

2014年にロンドンで実際に起きた占拠事件をモデルとした小説。
ホームレス・シェルターに住んでいたシングルマザーたちが、地方自治体の予算削減のために退去を迫られる。人種や世代を超えて女性たちが連帯して立ち上がり、公営住宅を占拠。一方、日本の新聞社ロンドン支局記者の史奈子がふと占拠地を訪れ、元恋人でアナキストの幸太もロンドンに来て現地の人々とどんどん交流し…。「自分たちでやってやれ」という精神(DIY)と、相互扶助(助け合い)と、シスターフッドの物語。

紀伊国屋書店のサイトの内容説明から

まずは、とにかく面白い。
理不尽な扱いを受けた人々が立ち上がり、小さな運動が、どんどん広がり、大きなものを動かそうとしていく様子は、応援したくなるし、元気ももらえるし、何もしなくていいのか、と考えさせられもする。
お役所の冷たさ、なんでも選挙に利用しようとする政治家たち、都合のいいところだけ取り上げるマスコミ、必ず反対意見を言う人が現れるSNS、すべてがリアル。
イギリスの話だが、日本でも実は似たような問題が起こっているのではないか、とも思った。

序章から第3章までは一気に読めたが、エピローグは冗長な気もした。
活動に終わりがないことを伝えたかったことはわかるのだが、読む前に十分予想がつく過去のラブストーリーとか、詰め込みすぎると焦点がぼやけてしまう。

⑤『シェイクスピア全集28 尺には尺を』 by 松岡和子
⑥『シェイクスピア全集29 アテネのタイモン』 by 松岡和子
この2冊は記事を書いた。


⑦『ゴールデンスランバー』by伊坂幸太郎

2008年本屋大賞受賞作。

衆人環境な中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。何故だ?何が起こっているんだ?俺はやっていないー。首相暗殺の濡れ衣を着せられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。。

あらすじ

終盤の終盤までどうなるのか予想がつかず、濃い内容のエンターテインメント。
結末が満足かというと、そういうわけでもないし、女性のキャラ設定が今ひとつ、とも言えるが、孤独な逃走に思わぬ協力者が現れて爽快な気分になったり、過去と現在の出来事の挿入が見事なタイミングで、ハラハラしながら楽しませてくれる。
首相の暗殺というと、安倍氏の事件を予言していたのかと、ドキッとさせられるが、これはケネディ大統領暗殺事件が下敷きになっていて、政治のシステムも日本と違う。
この本を読んで、警察を信用できずに通報をためらう人が増えなければいいが。

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