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それは「当たり前」じゃない

「自分」をしっかり認め、受け入れてくれる愛情深い家庭に育つ子供。
私の友人や知人の家庭はほぼこのような家庭を築いている。

日頃から愛情深く、時に子供の間違った行動を諫めなどしながらもしっかりと見守っている。
そんな家庭に育つ子供と時折会う機会がある。
ついこの間までは私の足元をうろちょろしていた小さな子供が、今では礼儀正しく挨拶をし、日本代表を目指してサッカーに取り組んでいたり、自分の「好き」を伸ばすために本を読んだり絵を描いたりしている。

その姿を観ると「俺も歳を取ったなぁ…」と感じざるを得ないものの、彼らの成長を観られる幸せも感じている。
私は自分の家庭を持つという選択肢を選ばず、独り身のまま終わることを思う時、彼らの成長をその疑似体験として観ているのかも知れない。

もちろん私は彼らと日々接しているわけではなく、その親である友人や知人たちの苦労も本当の意味では分からないけれど、子供たちの成長を観ていれば、その親としての彼らが日々どのように子供たちと接しているのかは分かる。

子供たちにとってはその家庭、その家族が「当たり前」であり、彼らが将来自分の家族を持つ時には、きっと同じような家庭を「当たり前」のように築いて行ってくれるだろうとも思う。

一方でカウンセリングをしていると、そうではない家庭で育った方々の話を多く聴く。
けどそのお客様たちにとってもその家族、その家庭は「当たり前」のモノだったことを強く感じる。

それが「当たり前」だったから、自分を取り巻く環境や状況も「当たり前」だと思ったまま、そこで抱えてしまう「生きづらさ」も「自分が悪いから」と思い込んでしまっている。

例えば先日初めてカウンセリングに来られたお客様。

30代半ばの彼女は夫と保育園に通う子供の3人暮らし。
夫との関係、実母との関係、ママ友等の友人関係に悩んでカウンセリングを受けに来たが、自分が育った環境には何も問題がないと思っていた様子。

子供の頃の話を聴くと長女だった彼女は「母親から父親の愚痴を聞かされて来た」とか、父親は自分たち姉妹にはほぼ無関心でどこかに遊びに連れて行ってもらった記憶がないとか、父親が帰宅すると必ず晩酌をし、酔って来ると言葉が荒くなり、母親と毎晩のように口喧嘩をしていた。

それでも彼女にとってはその風景は日常のモノであり、その家庭は「当たり前」のモノだと今の今まで思っていた。

「それは子供にとって子供らしく居られない環境であり、子供に対して虐待行為があった機能不全家庭なんですよ」と私が伝えると、彼女は驚くと同時に涙が溢れて来た。

「実は自分でも何かおかしい、他の子たちの親とうちの親は違う、とは思っていたんですけど…」と、ココロの奥にしまい込んでいたであろうコトバを吐き出し始める。

家の親が笑顔で居る姿を観たことは無かったけど、友達の家のお母さんは私が遊びに行った時笑顔で迎えてくれたし、友達とも笑顔で話している姿を観て「何か違うな」と思っていたこと、学校では友達が「○○に遊びに行った」とか「△△を買ってもらった」なんて話をするけど、私はその話の輪に入れなかったなど、これまで何となく感じていた違和感を話した。

同時に彼女は、今の自分が母親と同じようなことをしていることにも気付いた。
子供はまだ小さいので夫の愚痴を子供には言っていないものの、父親ほどではないモノの子供が生まれてからは自分に対しての態度が変わって来ていることにたいして、自分が夫に不平をぶつけていることなど、今の不満や不安も話してくれた。

彼女にとってその現実を受け入れるには時間が必要だと思うし、今すぐには無理だとも感じた。

ただ「それはあなた自身がそうなりたくてなったわけではなくて、そうしなければあなた自身がその環境で生きることが出来なかったため、仕方なく身に付けてしまったモノなんですよ」と伝えた。

彼女にとっての「当たり前」は実はそうではなくて、そこには虐待があって自分はその被害者だった。
この事実に気付いてもらうことがまず必要であり、大切なプロセスとなることを伝え、今は自分の家庭をどうして行きたいのかを考えながら、その生きづらさと向き合い改善していけるところから改善していきましょうと伝えて、カウンセリングを終了した。

今、生きづらいと思っているあなたへ。

もしかしたらあなたが「当たり前」と思っていたことが実はそうではなくて、多くの問題を抱えていたかも知れないことを知って下さい。

そしてもしそれが「当たり前」ではなかったと気付けたら、その生きづらさは好きで身に付けたモノではなく、仕方なくそうなってしまったモノだと理解して下さい。

そしてそれは今からでも改善することは可能だと知って下さい。

これまでの生き方を変えるには時間が掛かるし、その一歩を踏み出すにも相当の勇気が必要になります。

ですがその取り組みは早ければ早いほど、その効果も早く出ます。
大切なのは「一歩を踏み出す勇気」とそれを「継続する意思」です。

この記事を書いている今、上記のお客様から次の予約が入りました。
私は彼女のカウンセラーとしてまた、彼女の「これから」を共に変えて行くお手伝いをしていきます。

今「生きづらい」あなたへ。
その「生きづらさ」を変えるための一歩を、勇気を振り絞って踏み出して下さい。


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