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子どもたちの自己肯定感ー大人の役割

先日、宇都宮市の子ども政策についての勉強会に参加してきた、とお話しましたが、そこで配布された資料の中に気になる項目があったので、今日はそのお話をしようと思います。

宇都宮市が行なっている子ども政策の中には、子供たちが主体となって会議などを行ない、そこで出された意見などを参考に政策を決定していくというものもあるんだそうです。

子どもたちにアンケートを実施して、その結果を元に有志の子供たちが会議を開催して意見交換を行う「イノベーションmiyaユース会議事業」というモノがあって、そこで「あなたがあなたの周りにいるオトナにして欲しいことは何ですか?」というアンケートを実施しました。

アンケート対象は10歳から18歳まで、複数回答だったようですがその結果が…

①自分の良い所や頑張ったことを認めて欲しい
②自分の意見を聴いて欲しい
③困った時に助けて欲しい
④あまり口出しせず、見守って欲しい
⑤尊敬出来る人で居て欲しい

さて、みなさんはこの結果をどのように感じるでしょう?
「あなたの周りにいるオトナ」に対して、子供たちはこのような要望を持っている、というのは私には意外に思えて、ある種の危機感も感じました。

これは宇都宮市の子供たちへのアンケートということですが、こういった内容ではそれほど地域によって大きな差は出ないと思うので、おそらく全国の10代の子供たちはこんなことを思っているのかな、と考えています。

周りにいるオトナ、と言っても子供の場合その多くは「親」や「教師」なのではないか、と想像するのですが、親や教師は子供たちに対してこのようなことが出来ていない、というのをこのアンケート結果は物語っているんだろうと考えます。

一番多い「認めて欲しい」や「意見を聴いて欲しい」という希望があるということは、これらの子供たちは一様に自己肯定感が低い(資料の中では自己肯定感の欠如とまで言及しています)と言えます。

何故このような結果が出たのかと更に考えると、恐らく大人たちも自分を「肯定」出来ていない、自分も「肯定されてきた経験が乏しい」から我が子にもそれが出来ていない、どう肯定すれば良いか分からないというようになっているのでは、と考えられます。

また国の政策で夫婦共働きを推奨している結果として、親子のコミュニケーション時間が減っていることも関係していると思われます。
親子のコミュニケーションが大切、と多くの親は分かってはいるはずなのですが、物理的にその時間が取れないとなれば必然的にその時間は減ります。

子どもから親に話したいことがあったとしても、両親が忙しかったり、疲れている様子を見るとそれを止めてしまっていることも考えられます。

親自身の自己肯定感が低いとなるとこれはさらに深刻で、自分がされて来ていない、自分が経験して来ていないことをやれと言われたところで、どうすれば良いのか分からない、となってもそれは当然のことです。

そこでやってしまいがちなのが「何でもかんでもやたらと褒める」ことです。
子どもが出来たことに対して褒めることは大切なのですが、何でも褒めれば良いというモノでもありません。
出来るようになるまでの過程をしっかりと見てあげることも大切ですし、その過程の中では出来ない事もあったはずなので、そういうところを特に褒めてあげることが「認めて欲しい」ところなのではないかな、と思います。

また、当然ながら出来ないことだってある訳で、それをどう導いていくかということが「自分の意見を聴いて欲しい」「困った時に助けて欲しい」となっていると考えた場合、そこの不足も考えられます。

「何でそんなことも出来ないんだ(分からないんだ)」などと怒るのは論外ですが、「また次に頑張れば良いよ」という認め方も問題があります。

子どもが出来なかったことには必ずその原因や理由が存在するはずなので、まず子供自身でそれを考ることも必要なのですが、オトナがそこで「一緒に考えてみようか(やってみようか)」という姿勢を見せることも非常に大切です。

オトナがそれをやってあげるのではなく、どうすればそれが出来るようになるのかをその過程を踏まえながら一緒に考え、時にヒントを出しながら子供のやる気を導き出していく。

時間も掛かるし手間も掛かりますが、それが出来た時の達成感は子供にとって自己肯定感を上げることになりますし、オトナ達への信頼にもつながります。

もちろん時には「怒る」ことも必要です。
ですがどんな時に起こるのか、と考えた時、私はいつもお客様に「自分の命、他人の命に直接関わるようなこと」に対してはしっかりと怒るべき、と伝えています。

命に関わるという危機感は、優しい物言いでは伝わらない時もあります。
例えば道路にいきなり飛び出すという行為などは、直接自分の命に直結します。
そんな時に「だめだよぉ、飛び出しちゃぁ」という一言を、優しく言ってもなかなかそれは伝わりません。

命に関わるようなことに対しては真剣に、しっかりと怒る。
そしてそれは「あなたの命を大切に思っているんだよ」という想いがあることも同時に伝える。
そうすればその想いは子供にも伝わるはずですし、きちんと自分を大切にしてくれている、と感じてくれるはずです。

またこれらのことを実践していくことは、オトナ自身も自己肯定感を上げていけることにつながっていくと考えています。
「子育ては親育て」などと言われますが、親も自己肯定感をしっかりと上げていくことが、子供にも伝わっていくことだけは間違いありません。

子どもの自己肯定感を上げるためにはまず、オトナも自己肯定感をしっかりと持っていること。
オトナに課された使命は非常に大きいな、とこのアンケート結果を見て感じました。

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