くらもと

ぶんをかきます。ことばをつむぎます。せかいがみつめます。

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  • くらもとの書きもの

    すべておれが血反吐を吐きながら書いたものです。楽しいね!

最近の記事

くらもと・六月掌篇小説集

 5月の27日から一か月間、毎日一作という縛りを設けて掌篇小説を書く習慣づけをしていました。出来上がった掌編のリンクをここに掲載しておきます。長くても8ページなので、ぜひ読んでね。 5/27 ため息 失恋した男がため息ばかりつく話 5/28 岩だらけの谷の恋愛者 病気の男の子が恋する話 5/29 華麗なる転身 惚れた女が石になるという呪いを持った男の話 5/30 帰路 修学旅行の帰りに告白する女の子の話 5/31 電車内にて したたかな女性の籠絡をみつめる

    • わが故郷は文化の果てではない

       富士市というまちがある。おれの故郷である。人口二十四万、静岡県では静岡、浜松に次ぐ人口第三位の市であり、茶畑と製紙、しらすが主な産品で――という感じの、典型的な地方都市だ。名前の通り富士山がよく見える。東海道新幹線と富士山が一緒に映る、有名なあの景色は富士市のものである。最近では富士山を踏みつけるような写真(!)がインスタグラムなどで流行って、その写真をめぐってジャニーズジュニアなんかは炎上したりしているが、あれも富士市の風景だ。  と、ここまでWikipediaでも眺め

      • サウナ百景

        「なあ、整うって結局なんなんだ?」 「……言葉で説明するのは難しいな。まァ、サウナに入ればわかるよ」 「入りたくねえんだよ。あちいし。それに金玉が死ぬんだぞ」 「だがしかし、金玉を殺してでも整う必要があるとしたら?」 「どういう状態なんだ、ソレ――っておい、どこに行くんだ」 「ちょっと、金玉を殺しに」 「あなた……もう……およしになって。サウナなんて、サウナなんて金玉を殺すだけですわ」 「お前……しかしだね、サウナで金玉を殺さないと、整うことができないんだ。整えないなら、い

        • 贋作小説 バカがバカをバカにする社会

           最近はやりのあの哲学者の新作、チンカスだね。まるでなってない。読んですらねえけど、顔からしてカスだ。読む気もしねえ。年間センズリ人のレビューを読んだが、漢字が多い。読むうちに吐き気がして、クラクラして、ふらふらして、花になって、ニヒルに笑って読むのをやめたってワケ。漢字を使う奴はバカばっかりって相場が決まってる。だいたい、美しい日本語ってのは基本カタカナってもんなんだ。マンコ、チンコ、ウンコ。  マンコで思い出したが、日本で全然知られてないわりに最高の哲学を語る男ってのが

        くらもと・六月掌篇小説集

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        • くらもとの書きもの
          16本

        記事

          贋作 トウキョウから転勤になると、チンズリができなくなります

           私の友人が死の直前に書いた有料級のnoteの原稿を、私はこの場で公開することにした。彼は、この原稿を書いている途中でトウキョウ病を発症した。いま、彼はトウキョウに収監されている。彼はもう二度と、そこから出ることができないだろう。 ――――――  おれは珍某銀行という、斜陽産業虚業のくせに偉そうに高給とって、クソほどブラックな銀行に就職しました。銀行員風に言うなら「入行しました(笑)」ダサすぎますね。なにが緑色の血が流れた戦闘民族でしょうか。ペテン師の集まりの間違いですよ

          贋作 トウキョウから転勤になると、チンズリができなくなります

          三月三十日のセックス・ラッシュ・タイム

          1  深夜のコンビニには流れ、つまりラッシュがある。おれはコンビニ店員だからわかる。一便の納品が終わり、高すぎる弁当の品出しも終えた三時頃になると、それまで閑散として、一時間に二人も来ない店内に客がどっとくる。これがラッシュだ。  おれのコンビニは大学の近くにある。つまり大学生ばかりいる。そういうやつらが深夜三時に来るのはどういうことか? 彼らはセックスをする。何回もするだろう。精子を出しまくる。そして、ゴムが切れる。疲れも貯まる。ヘトヘト。一旦外に出て風を浴びよう。コン

          三月三十日のセックス・ラッシュ・タイム

          日記 模範例

           瞼とちんちんをこすり朝を迎えると、朝5時である。朝を迎えたのだから。  起きたらもちろんおはようの意味をこめてツイート。「おちんちんのことをおちんぽというような美的センスの人間はアンリ・マティスでも見ておくべきだ」送信。完璧な教養。文化的である。喋る東京大学。  日本人なので当然朝は乾布摩擦。ちんぽをこする。オカズはオナサポ音声だ。トラックの途中で絶対にいく。ちんぽから聖書が出てくる。群衆はこれを見て恐ろしくなり、人間にこれほどの権威をゆだねられた神を賛美した。(マタイ9

          日記 模範例

          悪魔的一人称じてん

           わたし、あるいはぼく、最近一人称が安定せず困っている。一人称における個人的な辞典をつくり、どの人称がいいのかの吟味が必要と、わたくしは考えましたわよ。 ・私  無難。あまりにも無難なため、フラットで冷たい印象さえ抱いてしまう。ジェンダーレスなので使いやすいが、おかげで語り手の性別がわからないことがある。 ・わたくし  お嬢様を演出できる。が、ホントのお嬢様は当然ながら使わないため、逆説的にわたくしのような平民が使うこととなる。オホホと笑わなければならない。 ・僕

          悪魔的一人称じてん

          ツイートとよばれたいくつかのことば

          自序 ツイッターは消えてしまった。そして、もしかしたら、ぼくもいつか消えるのかもしれない。  いや、ぼくたちはもう消えつつある。いまも。そういうしずかな滅びもいいけれど、ぼくは残念ながら、花火をあげながら滅びたい。  だから、ツイッターに書いた一部の文を、残しておこうと思う。二千年後には評価されるかもしれない。今されるかもしれない。 のすたるじぁはじまり とりはなくのをやめて、ぼくはゆうぐれの空を見上げる 火星のようなさみしさのはげしい風は、ぼくたちをよこなぐりにして、

          ツイートとよばれたいくつかのことば

          いじめのはなしとむだばなし

           田舎の公立中学校というのは、往々にして変である。ブラジル人がひょうきんものとしてもてはやされることもあるし、オカマが重宝されることもある。残念ながら現代的差別はこの場で通用しない。  とかく多様な人種がいるものだ。オカマ、ブラジル人、東北出身、不良、オタク、馬鹿、お嬢様、アタマのネジが外れた子、陽キャ、イケメン、不登校、そしてぼくのようなひねくれ陰キャ。  成人式なんかは半分来ない。中学にいい思い出なんかないからだ。  ぼくも中学にいい思い出があったわけではないが、高

          いじめのはなしとむだばなし

          私的産文、産文的私

          あなとわたし  たの抜けた世界で、わたしはあなにハマってゆく  いつから、あなたは、いなくなったの?  わたしの問いかけは、虚しくおちてゆく。 ひさしぶり  ぼくは今日、といっても令和五年九月二六日に、何日かぶりに月をみたんだ  コンビニに行くあいだ、ずっと月とみつめあっていた  なぜか、泣きそうになったよ、久しぶり、少し欠けた、あなた。 におい  美術館にいったとき、懐かしいにおいを嗅いだんだ。あれはもう何年もあってない、古い、本当に古い記憶。クラスメートの女の

          私的産文、産文的私

          ジンセイ旅的ザレゴト

          「進路」というコトバ。年月を重ねると毎度意味が変わって、中学生のうちは高校進学、高校生のうちは大学進学、で、大学生になると就職という意味になるわりに、結局いうことは変わらずに、やけに近視眼的。そしてその時期を過ぎると一切語られなくなる。  みみっちいよ。進路って壮大なコトバで壮大なこと抜かすわりに、昼飯は松屋に行くか、サイゼに行くか……みたいな話をする。  ボクは本当の進路って「死」にしかないと思っている。結局僕たちが絶対に進む道は、それへの一本線じゃないか。そしてそこに

          ジンセイ旅的ザレゴト

          くらもとの創作物3.5

          はじめになぜか別れざるをえなかった悲しい記事です。前回はこれ  ともかく、続きです。 ある再会のシナリオ  会話形式ですが、内容がとてつもなくショートです。習作とさえ言えない試作ですね。こういう形式のちゃんとしたお話もいつか書きたいです。ともかくこれはぼんやり風景。 永遠の課題  私小説です。これを書いているときはギロチンのことばかり考えていました。なんでかは覚えていません。 明中無用問答  これは芥川龍之介『暗中問答』のパロディです。『暗中問答』『十本の針』は

          くらもとの創作物3.5

          くらもとの創作物3

          はじめに 年月が経つのが、年々はやくなっていくのは、気のせいでしょうか。もう2023年も半年が過ぎ、無駄に生き延びている感が拭えないのですけれども、とりあえず今まで作った作品を、また例のごとくまとめておくことで、私自身が読みやすくするという、そのための記事を作っていこうと思います。  作品に対する解説はあまり入れないようにしました。まあ、私の作品は解説するまでもないような、そんな気もしますし、とりあえず、作品に関連するいくつかを、喋る程度にしておきます。 翡翠の河津川  

          くらもとの創作物3

          くらもとの書き物その2

          あいさつ どうも、くらもとです。結局、noteは自分の書いた小説の補間と保管に使うことにしました。全く書くことが無いのに週一で文を書くなんて無理なんだ、と強く実感しましたね。  最近はいくつか小説を書いて、短歌や俳句も詠んでいます。文芸づいていると笑ってしまいますね。現生き死人(うつついき しびと)というペンネームを考え、ウキウキもしています。現を生きるのに死人、人であるのをやめたい気持ちがあるのに、結局人である無情をペンネームにしているので、作った本人はいたく気に入っていま

          くらもとの書き物その2

          今までの創造物

           どうも。くらもとです。  川端康成の、『掌の小説』を買いましてですね、暇なときに読んでるわけです。読んでるとですね、僕も掌編小説を書きたくなるわけですな。そんな中、実は僕、昔から色々小説と呼んでいるなにかを作ってんですね。僕自身、今までの軌跡を振り返りたいなと思いまして、まとめとしてこの記事を作ったわけです。さっそく本題に入りましょう。   『シンギュラリティのその先』  SFモノですね。ブルーカラーの仕事を奪うはずのAIが、ホワイトカラーの仕事を根こそぎ奪った世界の話で

          今までの創造物