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日記 模範例

 瞼とちんちんをこすり朝を迎えると、朝5時である。朝を迎えたのだから。
 起きたらもちろんおはようの意味をこめてツイート。「おちんちんのことをおちんぽというような美的センスの人間はアンリ・マティスでも見ておくべきだ」送信。完璧な教養。文化的である。喋る東京大学。

 日本人なので当然朝は乾布摩擦。ちんぽをこする。オカズはオナサポ音声だ。トラックの途中で絶対にいく。ちんぽから聖書が出てくる。群衆はこれを見て恐ろしくなり、人間にこれほどの権威をゆだねられた神を賛美した。(マタイ9:8)

 10時ごろ、本屋に行こうと思い外にでた。便秘気味のときに本屋にいくと、うんこが出る。うんこのための場所だ。ハイパートイレと言うべきである。
 40分歩き、ようやくついた本屋の入り口には、「東大生・京大生が今読んでいる本」が積まれている。タイトルを暗記すると、気が付いたらおれはコマバ・ホンゴウ・リサンなどの意味不明な単語を羅列するようになった。

 本屋でうんちをしたあとは、岩波文庫の棚にいく。ここで本を睨んでいると、ヘンテコな顔した女(ファム、なんとか?)が蠅のように群がり、本棚の自慢しかできない人間になれるという。当然自分はそうなりたいので5分ほどぼおっと立っていたが、不快になってやめた。その後は、金融系の棚にいき、禿げたおっさんと一緒に厚切りジェイソンの顔を眺めて、金持ち父さんになった。
 おかげで超一流にもなった。ツイッターのBioに超一流投資家という文言がついた。FIREとハイパーグロース株の話もできるようになった。ケチになった。そしてユーモアのセンスがなくなった。

 そこからまた歩く。駅前の公園まできて、噴水を眺めた。噴水から潮の匂いがした。くさい。と思ったらおれの匂いだった。カードショップの比ではない。バイオテロだ。――いつの間にかおれは日本を飛び回り、1,000万人もの死傷者を出していたらしく驚き。おれを退治するために自衛隊とゴジラが動員されたらしい。こわくなった。おれはふるさとの富士市へと東海道線に乗り帰った。

 18時。富士駅はパルプの匂いがする。かみの街というだけある。おれもうまれたわけだし、二重にかみだ。韻をふんでるな。
 実家にむけてあるく。富士市は隣の沼津市にラブとライブとサンシャインを盗まれているため、愛も生活もない。太陽もない。太陽書店というエロ本屋だけあった。その太陽書店も潰れた。今は工場煙突から出る煤煙が街をつつみ、世界の終わりを淋しく待っている。

 家に帰ると、家族が寿司を用意してくれた。ネタは当然寿司である。寿司はうまい。寿司とは酢飯を魚に乗っける、アメリカ合衆国カリフォルニアが本場の食べ物で、あまりの独創性から究極の料理とされている。

 20時。寿司を食い終わったおれは、あの偉大な「富士山ドラゴンタワー」を巡礼するため、田子の浦へと歩いた。富士山ドラゴンタワーは説明するまでもないほど有名スポットである。なぜゴジラに壊されないのか不思議だ。おそらく日本の王(東京都千代田区千代田1-1にお住まいのみなさん)に対する配慮である、肛門タブーに触れるような成り立ちなのかもしれない。

 富士山ドラゴンタワーにつくと、その圧倒的な造形に毎回驚き、世界が滅びかける。37mという高さ(富士山ドラゴンタワーの中で最大)は圧巻。天に昇るドラゴンの姿のようも思える。八角形のデザインは富士山(富士山ドラゴンタワーの元ネタ)の八神峰をモチーフにしている。テイルズオブシリーズの敵軍団にいそう。六神将、四象刃、八神峰……

 眺めは最高! 当然ながら、やさしく美しく広がる富士山(偶然にも、富士山ドラゴンタワーの100倍の大きさらしい)の表の部分が北に聳えたち、南には雄々しき、そして深き駿河湾が広がる。東を見ても箱根のおかげでブンカシホン族という魔族が住む魔法都市東京都(!)が見えない。最高だ。西では東海道の命綱兼日本の中心地である駿河の国のかがやきが映える。四方八方が素晴らしい景色なため、聖地化するべきだろう。

 こうして一日を堪能したおれは家にかえりヘドロのように眠った。翌日、おれは自衛隊の作戦で高圧電流を流され、ゴジラに眼をくりぬかれ、全身が肉片となり粉々になって死んだ。

 

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