もしも私が再びイギリスを訪れることができたなら
最後の渡英は2014年、ケイト・ブッシュのライブ参戦を目的としたものだった。
しかし、交通費をケチって歩きすぎて、足の裏はマメが潰れて血みどろ。その日は2万歩歩いていた。
それに、著しい体力の衰えも感じた。当時40代半ば。テムズ川を眺めながら「もうこれで最後かも…」と思ってしまった。
いやん、そんなの寂しい!
ということで、昼食後満腹になり、まどろみつつも心の赴くまま、いつ実行されるかはわからないイギリス旅行プランを書いてみることにしました。
最低でも半年
私は日本国籍だけど、心の国籍はイギリスとの二重国籍なので、4泊6日ではアイキャントゲットノーサティスファクション。
観光ビザは半年かな?フラットを借り、そこを拠点としてイギリス国内をまわりたいな。
半年とは言ったけど、できれば一年。春夏秋冬を味わいたい。
花々が咲き乱れる春からのいつまでも明るい夏、木の葉が色づく秋を経て暗ーい長ーい夜を過ごす冬。そして春に向かってグングンと日が長くなっていく。
そこから半年を選ぶなら、絶対6月〜8月は入れておきたいけど、年明けから3月くらいまでの、春に向かうエネルギーを体感したい気もする。その辺は北海道もちょっと似ている。
部屋でゴロゴロテレビを見る
観光!と思うと、毎日出かけてどこかに行って何かを見てないともったいない気がする。
半年あれば、家でゆっくりテレビも見ていられるだろう。
昔ハマったソープオペラ「Eastenders」が見たいなあ。
日本のテレビ番組にはほとんど登場しないような、80年代や90年代のミュージシャンたちも普通に出てくるはず。
余談だけど、私が滞在していたころ「Top of the Pops 2」という懐かし音楽番組があって、そこで頻繁にスパークスを目にしていたものです(だからつい最近まで彼らがイギリスのバンドだと思っていたの)。今彼らが再評価されているのは感慨深い。
とにかく、私が大好きなイギリスのロックを作った文化が、テレビの中にはあふれている。
現地のスーパーに入り浸る
在英当時の行きつけはSainsbury’s(セインズベリー)という庶民的なスーパーでした。
庶民的、と私は思っていたのですが、人によってはposh(高級で気取った感のある、って感じかな。ヴィクトリア・ベッカムがPosh Spiceと呼ばれていたということで説明がつきそう)らしい。
イギリスはご存知の通り階級があるので、行くスーパーもそれぞれに合ったところがあるとかないとか。
とにかく、住んでいたところの近くには常にセインズベリーがあったので行っていただけなんですけどね。
さて、滞在先で落ち着いたらまずはスーパー詣でですな。
日本ではお見かけしない食べ物がいっぱいあるし、かと思えばShiitake Mushroomというキノコがあったり…ってシイタケじゃん。
とまあ、そんな感じで食文化の違いをエンジョイするのです。
聞いた話では、トンカツが入ってないのに「カツカレー」を標榜する謎のカレーソースもあるとか?カレー好きの私が味見してやろうじゃないか。
日本食が恋しくなったら?
ネットショッピングも普及した今なら納豆くらい簡単に入手できるでしょう。
もちろん観光もする
「住んでるんだからいつでも行けるわ〜」と思って、結局一度も行かなかった名所がたくさんあります。
時間を無駄にしないよう、入念なリスト作りが必要ですね。
特に、大英博物館をはじめとするさまざまな博物館や美術館、ギャラリーにはできる限り足を運びたい。
だって、大半が入場無料だから!
(それは変わってないよね?)
あと、お城も見たい!
Kew Gardensで四季折々の植物を楽しみたい!
ロンドンアイに乗って、上から街中を見下ろしたい!
地方に足を伸ばして小旅行したい!
イングランド、ウェールズ、スコットランドには足を踏み入れましたが、北アイルランドには行ってない…(アイルランド共和国には行きました)。
次回は北アイルランドに、ぜひ!
それからスコットランドの奥の方とか、ウェールズの奥の方とか。
コーンウォールにももう一回行きたいなあ。別荘欲しい。宝くじ買ってこようっと。
現地で学校に通う
英語をブラッシュアップしたい!とはいつも思っているけど、英会話学校に行くよりは、現地の人たちといっしょに学べるコースに入って勉強したい。週一回くらいのペースで。
1998年に渡英して語学学校に一年間通ったけど、それだけじゃつまんないなと思って、いろんな習い事をしてみた。写真、陶芸、キャンドルメイキング、アイルランドの楽器…
今でも続けているのは写真。趣味と呼べるものが音楽鑑賞しかなかった私の、新しい趣味となりました。
アダルトスクールといって、社会人向けのコースがいろいろとあるので、ぜひ参加して、現地の人と交流したいと思う。日本でいうカルチャースクールのようなものだけど、自治体が関わっているものが多かったように記憶しています。
実際学生ビザで滞在していた時も、語学学校のあとは現地の人たちと学べるカレッジでマルチメディアやアートの勉強をしました。授業ももちろん英語だから、両方学べて一石二鳥。
人に会う
私は4年ほどイギリスに滞在していたのですが、その間3年半同じところでアルバイトをしていました。
日系なので、同僚は大半が日本人。
ですが、日本人だからこそ、いろんな部分で助けてもらえたのはありがたかった。
住んでいた家を出たいと悩んでいたときも「うち空いてるよ?」と部屋を世話してもらえたりして。
ほかにも語学学校で仲良くなった友だちで、現地に住んでいて、今でも(ネット上だけど)付き合いがあるのは日本人だけ(笑)。
お世話になった人たちや、友だちに会ってゆっくり話がしたいなと思うのです。
人生も先が短くなってきたので、人には会えるうちに会っておきたいという気持ちになっています。
各国グルメを味わう
イギリスの食事はまずいと昔から言われていますが、今は違う!ってホントかしら?
まずいと言われていたものをほとんど私は克服?してしまったので、今ではゲテモノでない限りなんでも食べられる自信があります。
それよりも何よりも、イギリスって世界中のうまいものが集まってるところだと、私は思っています。
インドやパキスタンなどの移民が多いのでカレーはうまいし、チャイナタウンにもおいしくて安いレストランが多い。
だけど、日本にはあまり馴染みのない中東系のレストランが、イギリスにはいっぱいあります。ケバブレストランはその代表格でしょう。
私が住んでいたロンドンの北の方はトルコ人街になっていて、おいしいトルコ料理をリーズナブルな価格でたっぷりいただけました。
歯にしみるほど甘ーいお菓子も(バクラバだっけ?)おいしくて。やっすい八百屋さんもたくさんあったな。
それ以外にも、ユダヤ系のベーグル屋さんやベトナムレストラン、お祭りの屋台で食べたアフリカ系の料理など、忘れられないものばかり。
今いちばん食べたいのは、トルコ料理のレストランで食べた、野菜のトマト煮込みをバターライスにかけたやつ。料理名はわからない。指差して頼んだ。ああ食べたい。
いっそのこと移住すりゃいいじゃん!でも…
24年前にヒースロー空港のイミグレーションを通過しながら「オレは絶対イギリスに永住するぜ!」と心の中で息巻いていたのですが、現実は厳しく、4年で所持金を使い果たした上家庭の事情もあって帰国しました。
それからの20年は悶々と、ダラダラと、鬱々と、クソ寒い北海道で暮らしてきました。
心の国籍はイギリスのままで。
いいかげんあきらめろって感じですが(あきらめてはいるのですが)、ふとした瞬間に「イギリス行きてえ…」と思ってしまう。
あの国は女性が生きやすいところだと感じました。
元気に地下鉄で立ってたら男性に席を譲られたり、階段でスーツケースを引っ張り上げてたらヤングな男性が手伝ってくれたり。
レディーファーストが徹底されているんですねえ。
それ以前に、他人に優しい社会だなあとも感じました。
地図を持って歩いているだけで「あなた、どこに行きたいの?」と声をかけてくれる。
ドアは次の人のために開けておいてくれる。
道でぶつかったら肩に手をかけてsorryと言ってくれる。
(まあみんながみんなそうじゃないけど)
年齢についていえば、カレッジでもさまざまな年齢層の人が学んでいたし、何をするにも遅過ぎることはないということを教わりました。
日本は年齢や性別や国籍や人種など、自分ではどうすることもできない要因で、必要以上に制限されることが多い国です。
(もちろん、イギリスにいたとしても、国籍や滞在資格で制限されることは多いですけどね)
この国で暮らしていると、50を過ぎた、ろくに働きもしない独身子なしの女性(=私)は社会の役に立たないと切り捨てられている気がしてたまらん。
ああ、なんとしてでもイギリスに居座るべきだった。
今から移住すっか?
しかし、今は自分の健康問題や親の介護問題などで、生きていくのが精一杯です。
年齢や性別以上の足枷をかけられている今、私にできることは
妄想
ただ一つ。
アイルランドを旅したことがあります。
首都ダブリンはこぢんまりとしていて、活気に満ちていました。
金曜のパブは身動きが取れないほどの大繁盛。
みんなフランクで、気軽に話しかけてくれました。ロンドンではあまりない光景。
東側にあるアラン島まで足を運び、乗り慣れない自転車で島を回りました。
目の前に広がる海と空と緑が、早送りで通り過ぎていく。
街灯がほとんどなく、夜になって宿に戻ろうとしても見えなくて苦労したけれど、見上げれば満天の星。プラネタリウムかと思うほどの。
アイルランドならイギリスから飛行機で1時間くらいだし、EUだけどNon-EUのイギリスとは行き来がかんたんなはず。
英語だし生活には問題ないはず。文化も大きく違うわけではない。
移住に関してはイギリスより緩そうな(勝手な)印象。
アイルランドに永住したい。
〜終わり〜