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子供のように遊ぶ

マウンテンバイクに乗り始めて、とても嬉しいこと。

それは、生活の中に「遊ぶ時間」が組み込まれるようになったこと。それから、好きなことを通じて出会う人との輪がだんだん広がっていくこと。

30代のころから、つい最近まで、ずっと「どうして私には友達がいないんだろう?」「私は友達が少ない」そんなことを考えていた。もともと広く浅くの付き合いは苦手で、1対1の付き合いの方が好き。それに話をするのにも、その人を理解するのにも、やっぱり1対1がいい。

そんなだから、みんなでワイワイできる仲間ができるわけもなく、子供と家庭と仕事のことで忙しくしている日常生活の中で、すぐ会えるような生活圏のなかには、「友達」と呼べる人がほぼいない。「遊ぶ」などという感覚は子供時代に置き去りになったまま。日々の心身の疲れを体を動かして気分転換し、なんとかやり過ごす毎日。

心から楽しい時間は、数年に一度、日本に帰国するときに懐かし友達と会っておしゃべりするときくらい。だけど、私くらいの年代で家庭を持つ女性ならば、皆おなじようなものなのかな。そんな風に思っていた。

それが、マウンテンバイクに乗るようになって、少しずつ変化し始めた。

去年の夏の終わり、乗り始めてすぐは、グループライドに参加するも、他のライダーのスピードについて行けず、置いて行かれる。要所要所では待っていてくれるものの、グループに参加するのも申し訳ないような気持ちに・・・(汗)。そこで、しばらくは、家から少し遠い初心者向けのトレイルへ出かけて、一人で乗っていた。

一人だと誰にも迷惑をかける心配もなく、トレイルのアップダウンでときどき転んだりしながら(笑)、それでも楽しくて週1くらいで出かけるようになった。それから、基本的な知識とスキルと身に付けたいと思って、11月頃に女性だけの半日のスキルクリニックに参加したら、同じように一人で参加しに来ていた女性と連絡先を交換することになった。

ちなみに、このスキルクリニックのおかげで、基本的な体のポジショニングや、ブレーキの使い方、立った状態でペダルにグッと体重を押し込めてから、反動でフロントタイヤを浮かせる方法など、それまで知らなかったコツをいくつか習うことが出来、彼女も私もトレイルで乗るのにずっと自信がついた。

彼女と、後日トレイルで待ち合わせてライドすることになったのだが、話してみたら、水泳とランニングもやっていて、夏に初めてのミニトライアスロンに挑戦したばかりだという。私もその夏に初ミニトライアスロンに挑戦したところだった。おまけに、キャンプやハイキングにも興味がある点など、共通点がたくさんあり、すっかり打ち解けた。彼女とは、今でも時々連絡を取り合ってライドに行ったり、お互いの子供たちも同じくらいの年齢で、一緒にハイキングにいったり、たまに遊んだりしている。

この春には、サイクリンググループ主催のグループライドに一人で参加してみた。行ったことがないけれど乗ってみたかったトレイルでの開催だったから、案内してもらえるのがありがたかったからだ。

そこでは、弟とペアで参加しに来ていた50代後半の女性から、ライドの後に声をかけてもらった。「私たち、同じくらいのスピードみたいだし、私はこのトレイルのすぐ近所に住んでいて、毎日のようにここで一人で乗っているの。だから、このトレイルに来るときがあったら、声かけて。」そう言ってもらったので、FBの情報を交換して、そのトレイルに行くときは声をかけさせてもらっている。

マウンテンバイク好きな人って、気さくだなー。嬉しい。

たまにグループライドに一人で飛び込んでみるのは、ちょっとドキドキもするけれど、こういった出会いがあるのが嬉しい。誰とも友達にならなかったとしても、その日ライドできればそれで満足。あまりうまく話ができなくても、基本バイクに乗りに来ているので、気まずさに耐えなければならない時間もほとんどない。ライドが終わってしまえば、それきり会うこともない。だから、どうしようかと少し悩むときも、「とりあえず経験と思って行ってみればいいか、別に失うものもないし。」そう思って、飛び込んでみるようにしている。

あるときは、10人弱の男性グループの中に女性が私だけのときもあったけど、皆親切で、「このセクションはこのライン取りでペダルを水平にして木の根にペダルが引っ掛からないようにね!」とか「僕のスピードに合わせて後ろを着いてこればこの台は越えられるから着いてきて!」などとすごく手厚く私のベビーシッターをして頂いた(笑)。


マウンテンバイクに乗ってる人って、みんな遊びに来ている子供って感じがする。プレイグランドに集まった子供のようだ。そんな感じで、私もマウンテンバイクに乗るときは、気持ちが7歳児くらいになり(笑)、遠慮とか人見知りをしたり、あれこれ考えがちな大人の自分の殻が自然と剥がれ落ちるような感じがする。そういう自分を発見して、とても新鮮な気持ちになったり、そんな自分をもっと掘り起こしたい。そんな気になる。

先日、グループライドへ行ったときは、グループで私の後ろに乗っていて、とても親切にしてくれたおじさん(子供の目線でおじさんって言ってるけど、そういう私もおばさんなのだが・・・www)が、ライドのあとで話していたら、なんと奥様が日本人だという。聞けば、共通の日本人の知り合いもいて、だったら今度また一緒にライドしましょう、という話になった。

こうやって、書いていて思ったけど、マウンテンバイクに乗るようになって、私は遊ぶようになったんだ。子供のように。

友達がいるからとかいないからとかではなく、私は遊びに(バイクに乗りに)行くようになった。一人でも遊びに行って、適当にグループライドに集まった子供たち(大人たち)と遊んで帰ってきたり、気が合う子がいれば「またね!」と約束して帰ってくる。遊ぶようになって、私は子供に戻ったんだ。それがなんだかすごく嬉しくて、楽しいんだ。

マウンテンバイクに乗るようになって、私は遊ぶようになった。これが私にとって、一番嬉しいこと。遊ぶのは楽しいし、生きる希望になる。何かを成し遂げなくたって別にいいけど、もっともっと遊びたい。いろいろな遊びを見つけて、遊ぶ楽しさを追い求めて生きていきたい。


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