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大吉

大吉の葉っぱを切った

その方が新しい葉が大きく育つからって
お花屋さんが言ってた

大吉の腕から
真っ白な液体が出てびっくりした
まるで血じゃないか
大吉が可哀想だと思った

しばらくの数日間
大吉は元気がなかった
私は彼の事を傷つけてしまったんじゃないかと不安に思った
外は雷雨になっていた

私も血を流した
沢山たくさん
みずから過去と今のハサミを使って

余りにも血が止まらず出続けるものだから
最初の強烈な痛みも麻痺していた
朦朧として横たわる

あのひとを愛し続けたかった

翌朝スコールの中で目覚める
大吉は何事もなかったかのようにそこにいた
ピンと背筋をのばして
私の目の前にいた
切られた腕の部分は滑らかになっている

スコールが大量の血を洗い流している間私は
大丈夫だ
少しだけそう思えた


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