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複業で支援 | 私がお菓子用パウダーを販売する理由

noteにはストアという便利な機能がある。私のクリエーターページから、ストアというバナーをぜひクリックしてみてほしい。緑色のパウダーが現れる。そう、私は、お菓子用の緑色パウダーGrinGaの生みの親である。

GrinGaを練りこんで作った焼き菓子は、ほんのり落ち着いた緑色に仕上がる。原材料は無添加100%。モリンガのみを使用している。モリンガとは、栄養素豊富でお通じもよくなるスーパーフードだ。だから、GrinGaを使うと、健康的なお菓子ができあがる。罪悪感少なくお菓子を楽しめるのだ。

私がGrinGaを販売しているのは、フィリピンの大学生のためだ。夢を持つ大学生が通学し続けられるように、私は緑色のパウダーを売っている。どういうことなのか、以下を読んでみて欲しい。


きっかけは鍵盤ハーモニカだった


大学生の頃、はじめてフィリピンのシキホール島を訪れた。先輩が見せてくれた島の子どもの笑顔を直接見たかった。その先輩に連れられて、国際線と国内線と船を乗り継いだ。

シキホール島は海がキラキラ輝く、淡路島くらいの小さな島だ。セブ島の南に位置している。

島の生活は裕福とは言い難い。学校では校舎やトイレなどが寄付によって作られている。そんな島にある年、日本から鍵盤ハーモニカが何百台も寄付されたらしい。しかし、鍵盤ハーモニカを教えられる人が島にはいない。このままではせっかくの寄付が倉庫に眠ったままとなってしまう。そんなのもったいない。

私は小さいころから音楽が得意だった。吹奏楽を10年以上続けていて、楽器メーカーに勤務している。自分の得意を活かしてシキホールの皆さんに役立つことはできないか。私は鍵盤ハーモニカを吹くことができる。それは日本では平凡だけれど、島の人にとっては珍しい特技だ。そう考え、寄付された鍵盤ハーモニカを持って学校を訪問した。鍵盤ハーモニカの使い方講座を開いたのだ。

1日4校。1週間で20校を訪問した。海辺にも山間部にも行った。島の地理感覚を掴みきれない私に、島の大学生がいつも同行してくれた。

これが、私と島の大学生との出会いだ。彼らの貢献は、移動のサポートだけに留まらない。私の英語を現地のビサヤ語に通訳して小学生に伝えてくれた。私の目の届かない後ろの席の小学生にそっと寄り添ってくれた。ギターで伴奏してくれた。椅子や机をサッと用意してくれた。積極的にサポーターを担ってくれたのだ。彼らのサポートは体力的にも時間的にも、そしてなにより気持ちの面でとても心強かった。

島の大学生はとっても勉強熱心だ。学校訪問の前後に彼ら自身が鍵盤ハーモニカを何度も練習していた。呑み込みが早く、私が教える姿を見て教え方をすぐにマスターしてくれた。いつも笑顔で前向きで、本当にいい子たち。大好きだ。

私は彼らのことをもっと知りたくなった。だから移動中や夜、学生と一緒に過ごしてたくさん会話した。私が夢や家族について話すと、彼らも私にオープンに話してくれた。相談を持ちかけてくれるようにもなった。

会話する度に感じたのは、島の大学生は皆自分の夢を持っていること。それに向けて学びたい意思がある。だが、貧しさがその夢を妨げかねない現実もあった。学び続けるための費用が十分ではないのだ。

彼らと直接一緒に過ごしたからこそ、表情や時間の使い方から夢に対する想いが伝わってきた。夢を追えないかもしれない不安も伝わってきた。知ったからには、この現状を変えたい。彼らが夢に挑戦するチャンスを与えたい。なんとかしたい。

私は行動することに決めた。

学習継続には支援が必要

まずは大学生の状況を詳しく把握した。フィリピン政府の政策により、2017年以降大学の授業料は無料となった。しかし実際は通学費や教材、実習費用などが月8,400ペソ(≒20,000円)以上かかる。教員を志望する学生は、さらに採用試験の受験費用も必要だ。

島の大工の月収は3,300ペソ(≒7,900円)、有資格のダイビングインストラクターは月収6,250ペソ(≒15,000円)。つまり親の月収より、学費のほうが高い場合があるのだ。

日本では大学生がアルバイトをして補う場合が多い。しかしシキホール島には大学生を雇う店やホテルはほぼない。なぜなら、大人でさえ雇用機会が足りていないからだ。アルバイト機会のない島の大学生は、家から費用を捻出できないかぎり学習継続を断念するしかない。

また、学生が学習継続を断念した場合、次世代にまで貧困が続く可能性が高い。大学を卒業しない場合、島の雇用(大工やホテル)は枠が少ないため、農業・漁業を稼業に選ぶことが多い。しかし、農作物も水産物も、島から都市部への輸送は時間がかかり、質が低下し取引価格が低価してしまうのだ。天候や季節に左右され、収入がゼロに近い時期もある。彼らが親世代になったとき、子どもの通学費を払えない可能性が高くなる。

私が作りたかったのは支援が続くしくみ


上記の状況をなくすために、大学生を支援しようと決めた。しかし年度が変われば、新しい学年が入学してくる。1度きりの寄付でなく、継続できる仕組みが必要だと考えた。

そこで私は、学生が育てたモリンガを商品化して販売しようと考えた。モリンガはまだ知名度が高くなく、スムーズに販売が進まないリスクがある。それでもモリンガを選んだのには理由がある。学生たち自身が放課後や土日の空き時間だけでできることだからだ。

モリンガはフィリピンで「カムンガイ」と呼ばれ、栽培が盛んに行われている。成長が早く、たった1年で10メートル以上まで育つこともあるそうだ。スープに入れて飲むなど、現地では親しみが深い植物だ。

そのため、学生たちは特別なトレーニングなしに質の良い葉を選別できる。また、乾燥や茎の除去に必要な時間は学業や部活の合間で十分まかなうことができる。学びを止めず、夢にに向かって進み続けることができるモデルだと考えた。

学生がモリンガを選別する様子

モリンガ栽培から学生に還元するまでの流れは以下の通りだ。島からモリンガを仕入れ、日本で販売し、売上金を学生に渡す。

① 小中学校校庭の空きスペースなどをお借りしてモリンガを栽培
② 大学生たちが放課後や土日を利用して乾燥・葉っぱと茎を選別
③ モリンガを日本へ発送。その際仕入れ費用として代金をNPOシキホールエンジェルズへ支払い
④ 安全に商品をお届けできるよう滅菌・粉末化。そのうえで商品を作る
⑤ 分配可能な利益をNPOシキホールエンジェルズ経由で学生に寄付

日本で多くの方にシキホール産モリンガを手に取っていただくべく、お菓子用にカスタマイズしGrinGaと名付けた。以下のページでレシピと共に紹介している。ぜひ一度見ていただけたら嬉しい。

GrinGa オフィシャルページ https://greensweets.base.shop/

お菓子作りが得意でない方にも味わっていただきたかった。そのために、これまで2社様とコラボさせていただいた。ポタージュとアイシングクッキーをクラウドファンディングのリターンという形で120名以上にお届けした。

これからも、多くの方にGrinGaをお届けできるよう、マイペースながら前進していきたいと考えている。度々立ち止まっては工夫を重ね、少しずつ改善していきたい。

私の決意と感謝

私は「心が豊かであること」を衣食住の充実以上に大切にしている。シキホールの学生にとって心の豊かさとは何なのか。彼らとのコミュニケーションを通して、私は次のように解釈した。

・本人の努力次第で夢を追い続けられること。家の貧困により学習機会が失われないこと

・家族全員で感情の共有や相談をしながら、島で一緒に暮らし続けられること。家族の健康に心配がないこと

夢を語る彼らのキラキラした目が忘れられない。彼らが大学で学び続け、夢に挑戦するステップを踏むことができるよう、日本から私にできる行動をしようと決心した。

恥ずかしながら、6年以上「何かしたいなぁ」と考えてばかりで、何も行動を起こしていなかった。だが2022年にボーダレスアカデミーに参加し、私は一歩を踏み出した。社会のために行動したい全国の仲間と、オンラインで繋がれた。互いにフィードバックしあえたからこそ、私も上記のプランを構築できた。言語化と仕組化を応援くださった皆様に心から感謝している。一人でないことが本当に心強い。

*ボーダレスアカデミーの教科書。フィリピンへ行く飛行機のなかで何度も読み返した

*なんと、Voicyパーソナリティの龍さんにも応援いただいた。ロゴを作成いただいた…!嬉しい。
龍(ドラゴン)様のVoicyチャンネルはこちら / Twitterはこちら 


今回、クラウドファンディングにて資金を調達した。島の大学生に緊急支援費約25万円を調達・すぐに寄付することができた。さらに、支援いただいた金額の一部を使ってGrinGaを立ち上げることもできた。

117名。支援くださった方に、心から感謝している。そしてこの感謝をエネルギーに、私はこのプロジェクトを続けていく。躓いても、少し休んでも、細くても、続けていく。



🍃GrinGaのオフィシャルページはこちら
GrinGa | お菓子用 みどりいろの無添加パウダー (greensweets.base.shop)

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