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親が死ぬという情緒

家族関係で非常に悩んでいた時期に、親が死んだことに対する人々のよくあるコメントに疑問を抱いていた。

生前はとても関係が悪かったけど、もっと親孝行しておけばよかった、、、


みたいなコメントである。

割と色々なところで聞きがちな感想であると思う。

しかし私はこれに対して疑問があった。

率直に言って

本当かよ!?!?!?!?

という物である。

例えば親が今生き返って一つ屋根の下で顔を突き合わせて生活を始めても、今の気持ちのままで親孝行できるのだろうか…?途中で嫌になって親孝行をやめないだろうか…。

そういった疑問があった。

今でもちょっと思うというか大まかな感想は変わらない。

要は死んでるからこそ何でも言えるのである。最も遠いところにいるからこそ色々な感傷に浸れる。

その感傷に自分が親孝行をし続けるリアリティは必要ないからだ。

まあここら辺の話は少し尖りすぎた見方だとして、今では時にうざいと思ったりすることも当然あるだろうが生き返ったらちゃんと親孝行をし続ける人も多いだろうなとは思っている。

また一方で親孝行途中で断念する人も割にいるんじゃないかとも思う。

で、何でそう言ったコメントに対してそんなに不満や疑問を抱いていたかというと、私も自分の親に対してああ親孝行しておけばよかったエンエン、、などといつか思わなければならないのだろうかと思わされるからである。

お前がクソみたいなガキだから親を恨んでいる(それはある程度正しい)んだ。お前はおこちゃまだから何もわかっていないんだぜということを言われている気分なのである。

黙れ!!!!!!

そんなことを思っていた。

しかし、そういった自分の気持ちを軽くしてくれた話がある。

随筆作家、冒険家の野田知佑さんの話だ。



-母のことは死してなお恨み続けるけれど、父親に関しては僕がもう少し優しかったら話くらいはできたかもしれない。-

ご両親が亡くなったことに対する感想として、そういったことがすごくあっさりと書かれていた。(原文は不明)


すごく人間的で率直な情緒だと感じた。

それと同時に、ああやっぱりこういう感想を持つ人もいるんだな。それでも良いんだなと思えた。

多分恨み続ける、の部分に関しては自分の健康にあまり良くない気がするのでどこかで消化できると良いようにも思うが、とにかく自分の内側の感情を本当に素直に言語化して見せてくださる作家さんなので読んでいてとても安心できる。

人間の感情はキレイでキラキラしているだけではないのだ…。そういった安心感をその話が私に与えてくれた。



…そんな感じで、親の死に対する情緒に関する疑問と、その疑問が解消されたという話。

一応追記しておくとそれなりに歳の若い方がそういった感情になるのは全然分かるというかあるだろうなとは思っています。

一方で、それなりにいい歳をした大人がそういったことを言っているのを見ると、その情緒本当かな?と思うことがあったというアレ。

今日はそんな感じで、ではまた。

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