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最近読んだ本の話 vol.37

 「最近読んだ本の話」の第37弾です。涼しくなったと思ったらまた暑くなって、でももう秋の空ですね。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、松家 仁之『泡』

自分の居場所はどこにもない
でもひとりでは生きていけない
男子高の二年に上がってまもなく学校に行けなくなった薫は、夏のあいだ、大叔父・兼定のもとで過ごすことに。
兼定は復員後、知り合いもいない土地にひとり移り住み、岡田という青年を雇いつつジャズ喫茶を経営していた。
薫は店を手伝い、言い知れない「過去」を感じさせる大人たちとともに過ごすうち、一日一日を生きていくための何かを掴みはじめる――。
思春期のままならない心と体を鮮やかに描きだす、『光の犬』から3年ぶりの新作にして、最初で最後の青春小説。       -Amazonより引用- 

 高校2年生の薫は、ある日学校に行けなくなり、大叔父・兼定のもとで夏の間ジャズ喫茶のお手伝いをして過ごします。その間のできごとや高校でのことが語られる部分と、大叔父・兼定の戦争体験、復員後のできごとやジャズ喫茶を始めるまでのことが、それぞれ語られて綴られています。音楽や食べ物の魅力的な要素と、内面的な感情の描写とがあいまって、独特の世界に惹きつけられる物語です。高校生の時に喫茶店でバイトしていたことを久しぶりに思い出しました。将来店ができるようにと、メニューの作り方をメモっていました。機会が訪れたらやります!


2、瀬名 秀明『ポロック生命体』

人工知能が、将棋の永世名人を破るときが来た。映画や小説の面白さを分析、数値化し、それに基づいて魅力的な物語が生まれるようになった。では、AIが制作した作品は「芸術」と呼べるのか? そして、次にAIが目指す世界とは? 最先端の科学知識を背景に、明日にでも訪れるであろうAIと人間の姿を、リアルに描き出す。           -Amazonより引用-

 AIをめぐる4つの物語が収録されています。1つ目の「負ける」は、人工知能が将棋の永世名人を破れるのか、という研究に携わる若き研究者のお話です。3つ目の「きみに読む物語」は、「本を読んで感動するのはなぜか」その謎を解き明かそうという研究の話で、興味ある内容でしたが、その中で最近考えていたことの答えを見つけて嬉しかったです。


3、岸 政彦『リリアン』

この曲、
ただいま、おかえりって、
言い合ってるみたいやな。
街外れで暮らすジャズ・ベーシストの男と、近所の酒場で知り合った女。星座のような会話たちが照らす大阪の二人、その人生。人々の声が響く都市小説集。                      -Amazonより引用-

 雰囲気あるんですよね、岸さんの小説。主人公は大阪に住んでいて、音楽をやって暮らしています。行きつけのお店で出会った美沙さんと付き合い始めて…。というお話で、二人の会話が何ともいえなくいい感じです。私はせかせかしすぎていて、この二人みたいにゆったりした時間を過ごせないので、こういう感じいいなあ、と思いました。美沙さんがやってみたかったこと、万博公園でこっそり夜を過ごす、という企みを、二人が実行に移す場面が好きです。


 今週も「最近読んだ本の話」を書くことができました。祝日があったから助かりました。最近夢にも本の内容が出てくるようになりました。色んな本がごちゃごちゃになりそうで危険な状況です…。最後までお読みくださってありがとうございました。

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