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最近読んだ本の話 vol.4

 今週も「最近読んだ本の話」を書いてみたいと思います。第4弾です。このシリーズを書くようになってから、本を読む時の集中度が増した気がします。ええこっちゃ。

1、北村 薫『雪月花: 謎解き私小説』

本と本とが響き合い奏でる音を愛でる日々。読書愛あふれる初の私小説。解決のない疑問は、解毒剤のない毒薬のようなものだ――どうして! なぜ? と謎は深まる。江戸川乱歩、三島由紀夫、芥川龍之介、山田風太郎、福永武彦……小説、俳句、詩歌に音楽、小沢昭一の随筆も登場。本を読んではスパークする作家魂。読み手もまた創作者、本読む愉しみを分かち合い、時空をめぐる、日常の冒険。               -Amazonより引用-

 読み進むにつれて北村さんの謎解きが楽しくなってきます。北村さんはとことん調べはります。例えば戸板 康二さんの随筆集『ハンカチの鼠』の中に、戦前に新潮社から出版された『世界文学全集』の『イプセン集』の『人形の家』の中に出てくる「何ひと(なんひと)」のことが書かれているのを読んで、「何ひと(なんひと)」って何のこと?と思ったら、新潮社の資料室に所蔵される『世界文学全集』の他の巻に付いていた月報の中に記述されているのを見つけたりします。「「何を、人を馬鹿にして」と云ふ程の軽い否定の意味をあらはした東京方言」だとわかります。本だけではありません。朗読や落語の音源もたくさん持っておられます。すごい方です。圧倒されます。周りの人もたくさん巻き込んで、とても楽しそうです。


2、山田 五郎『真夜中のカーボーイ』

出版社に勤める定年間近の俺に、高校時代の恋人から39年ぶりに電話がきた。会ってみると、17歳の時未遂に終わった大阪から南紀白浜へのバイク旅行に、もう一度行かないかという誘いだった。謎めいた仕掛けからラストに至る鮮やかな大どんでん返し。生きるという厳粛な綱渡りをアクロバティックに決めた一大“人生絵巻”。   --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。             -Amazonより引用-

 山田さんの小説を読んだことがなかったので、読んでみたい!と思い、手に取りました。「青春っぽい話なのかな?」と思って読み始めたのですが、全然違うような、でも青春かもしれない。主人公の元恋人のデコさんが素敵です。高校時代にこんな思い出があったらそりゃあ一生忘れないよなあ!と思ったりしました。


3、多和田 葉子『星に仄めかされて』

世界文学の旗手が紡ぎだす国境を越えた物語の新展開!失われた国の言葉を探して地球を旅する仲間が出会ったものは―?                   --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。                       -Amazonより引用-

 多和田葉子さんのことが以前から気になっていて、やっと読めました。読み始めてわかったのですが、前作『地球にちりばめられて』の続編でした。前作を読んでいなくても楽しめます。読んだ方が状況がよくわかると思いますが…。『地球にちりばめられて』の紹介文です ↓

留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る――。誰もが移民になり得る時代、言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。

 『星に仄めかされて』は、言葉を喪失する病気になったと思われるSusanooが滞在しているコペンハーゲンの病院に、前作で知り合った仲間たちがお見舞いに訪ねてくるところから始まります。登場人物ごとに章があり、それぞれの章でその本人の考えていることや、これまで体験してきたこと、現在の状況が語られています。人物ごとに文体も違い、性格の違いが際立っていて面白いです。そして物語の終わりは始まりになっていて、続きがありそうです。これから彼らがどうなるのか、気になります!


 今回も3冊ご紹介できました。このnoteを書くのが楽しみで本を読もうという意欲が出てきています。今日もこれから読みます。最後までお読みくださってありがとうございました。


「最近読んだ本の話」vol.1~vol.3はこちらです ↓


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