無駄のないもの
村上春樹が苦手だ。
嫌いなわけではない。ただ、完璧すぎるほど無駄のない綺麗な文章を書くものだからなかなか読めないのである。
固有名詞を丁寧に、
比喩を確実に。そんな村上春樹の文章にいつも苦戦する。
最後まで読めないまま本を閉じるのだ。
村上春樹の本を読んだのは高校一年生の春が初めてだった。
衝撃だった。
頭の悪い私は理解をすることに必死で物語を楽しめなかった。
すんなり入ってくるはずの文章が
全く入ってこなかった。
拗れた性格を抱えたわたしには
綺麗すぎる文章を理解する力がないのだ。
そう思った。
村上春樹は教養のある人にはすんなり入ってくるんだろうな、と嫌味を言ったこともある。
わたしはそれ以来無駄のある文章が好きだ。
全てを語らないが人間味のあるもの。
それがすんなり落ちてくる。
村上春樹は素晴らしいと言われている、
確かにそう思う。
あの人は日本語を吐いて吐いて、吐いて
生きているのだと思う。
だが私にはまだ早い、
もう少し大人になったときに読みたい。
その時私は鼻高々とこう言ってやりたい。
「村上春樹の
単純で素直な文章は嫌いじゃない」
盛大にイキってやりたいのだ。
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