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秋
夏がいつの間にやら去っていた。
秋はすぐそこってよりかは、
もうそこに、いつの間にか在った。
ちょっぴり寒いだけの夜に、
大好きだったあの人はいない。
涼しそうな風鈴の音は
誰にも必要とされてなくて、
まるでわたしみたい。
おしゃれをしたって、
秋色の爪にしたって、
髪型を変えたって、
好きな人ができたって、
大好きだったあの人には
関係ない話。
あなたが良いと言ってくれた花も
もう枯れてる。
冷蔵庫の上に置かれてた灰皿には吸殻はもう無い。
カップラーメンのゴミもたまらないし、発泡酒の空き缶だって。コーヒーだって砂糖をたくさん入れないと不機嫌になるし。わたしはブラックがいいのにね。
毎週買ってた週刊少年ジャンプを捨てる大行事だって無くなった。
健康的な暮らしに、
あなたはいない。
日常に、あなたはいない。
カーテンが揺れるたびに、
あなたの吸ってた煙草のにおいが
微かにしてたのに、
それすらしなくなったよ。
よれよれになった彼のTシャツは少し肌寒い。
それが現実だね、
カーディガンを羽織って、
コーヒーを入れた。
とびきり甘いやつ。
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