田内学

著書「きみのお金は誰のため』『お金のむこうに人がいる』 連載 VERY「ママのための『…

田内学

著書「きみのお金は誰のため』『お金のむこうに人がいる』 連載 VERY「ママのための『お金の教育』悩み相談室」/AERA「経済のミカタ」 ゴールドマンサックスで金利トレーダーとして16年勤務したのち、現在は金融教育家として活動。 財政、年金、金融教育などの講演を行う。

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小説「きみのお金は誰のため」を読み終えたみなさまへ

著者の田内学です。 このたびは小説『きみのお金は誰のため』を読んでくださり、ありがとうございます。 こちらのサイト「お金の向こう研究所」では、主に身近なお金や経済についての発信をしています。大部分は無料で読めるので、フォローしてもらえると嬉しいです。 一部、日記的な私の活動部分や裏話の箇所だけが有料になっています。こちらは、マガジン『半径1mのお金と経済の話』(月額500円) (https://note.com/mnbtauchi/m/m1d1eeb896105)を購読

    • 進次郎氏への失礼質問が暴く低迷日本の縮図

      「弱点を補ってくれる仲間を作る」の重要性先日、小泉進次郎氏の自民党総裁選への出馬会見で、フリーの記者が投げかけた質問が大きな話題になった。 「小泉さんが首相になって、G7に出席されたら知的レベルの低さで恥をかくのではないか。みなさん心配しております」 この挑発的な質問に対し、小泉氏は冷静かつ見事な切り返しを見せた。 「足りないところを補ってくれる最高のチームを作ります」と、自分の弱点を認めながら、具体的な対応策を示したのだ。 この回答には賞賛が集まったが、それ以上に「

      • 高騰する不動産は”善”なのか

        52平方メートル1億円、83平方メートル2億5千万円、150平方メートル6億円。  週末、新聞に折り込まれた不動産広告を見ながらため息が出る。東京の特に都心部では恐ろしいほどマンションの価格が高騰していて、その余波がじわりじわりと周辺部や地方都市へと広がっている。  不動産市場が活況で景気が良くなっているという人もいる。これは本当にいいことなのだろうか?  東京23区の今年7月の中古マンション価格は1年前より7.4%上昇しているそうだ。知り合いの不動産業者によると、立地

        • 好きになれない新紙幣とGDP

          受け取った紙幣からメガネのオヤジの顔が現れると、僕は少し不機嫌になってしまう。北里柴三郎に恨みがあるのではなく、新千円札がなかなか使えないのだ。  キャッシュレス決済を心がけている僕は、現金を使うシチュエーションが限られていて、もっぱら使うのは時間貸駐車場を利用するとき。ところが、新紙幣に対応していない自動精算機がいまだに多く、使えなくて困っている。  5年ほど前に新紙幣が導入されると決まったときに、経済が良くなるという報道がなされていた。 「新紙幣による1.6兆円の経

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        • 半径1mのお金と経済の話
          ¥500 / 月
        • 「きみのお金は誰のため」読者限定マガジン
          14本

        記事

          円安と円高、結局どっちがいい?

          ダイヤモンドで有名な某宝飾店の人から、7月の売り上げがめちゃくちゃ伸びたという話を聞いた。 「円安の影響で8月に値上げをします」と顧客に電話して回ったところ、駆け込み需要が相次いだそうだ。この数年で僕らは円安に相当敏感になってしまった。小麦粉も牛肉も電気代も、家を建てるときの木材の費用だって、輸入に頼っているものはこの数年の円安のせいで爆上がりしている。 「いったいどこのどいつなんだ、円安がいいと言っていたのは!」 僕だけじゃなくて、世の大勢の人が思っているだろう。でき

          円安と円高、結局どっちがいい?

          円安を止めた、僅か0.25%の利上げ

          円安を止めた、僅か0.25%の利上げ

          AERA連載で蘇る 21年前の教授の顔

          誰しも、人生には忘れられないセリフがある。 そういうセリフは、再生すると当時の場面ごと思い出すのではないだろうか。 そんな人生の一幕は、僕にもいくつか存在している。 8月からAERAでコラム「経済のミカタ」の週刊連載を始めたのだが、冒頭の一文は、21年前に大学の教授に言われたセリフだ。 以下、連載第1回の記事をそのまま紹介する。 「君の能力を、社会のために使ってほしかった」 21年たった今も、そのシーンは鮮明に思い出せる。教授は穏やかな口調だったが、がっかりした顔を

          AERA連載で蘇る 21年前の教授の顔

          NISAの前に知るべき「投資」と「ギャンブル」の違い

          「ギャンブル化」してしまう投資 日銀による想定外の利上げをきっかけに、この1週間で為替相場は1ドル152円から142円まで下落し、3万9000円台だった日経平均株価も一時3万1000円台にまで暴落した(8月5日時点)。 わずか0.25%の利上げでこれほど相場が動いた背景には、アメリカ経済の減速への警戒感が高まったこともあるが、個人投資家による投機的なポジションの積み上がりも一因であろう。 投資商品を勧める際に、「投資はギャンブルではない」と言う者もいるが、一歩間違えれば

          NISAの前に知るべき「投資」と「ギャンブル」の違い

          金利上昇で儲かる人、損する人

          日銀の利上げをきっかけにドル円相場が142円にまで急落した。 ずっと超低金利の日本に暮らしてきた僕らにとって「利上げ」といってもなかなか実感がわかない。 ゴールドマン時代に金利市場をずっと見てきた僕でさえ、16年のトレーダー人生の中で利上げは2、3回くらいしか経験がない。 ここで、金利市場のマニアックな話をするつもりはないが、僕らの暮らしにどんな影響があるのかを少しばかり考えてみたい。 まず、金利が上がるからといって全体のお金が増えるわけではないという点を理解してほしい

          金利上昇で儲かる人、損する人

          「出産で臼を転がす男」と生産性向上問題

          ゲームの呪い 「午後7時から2時間無料」 駐車場の入り口に掲示された看板が車の窓越しに見え、思わずブレーキを踏む。 車の時計は午後6時50分を示している。 あと10分待てば無料で駐車できるが、7時からのイベントに少し遅れる。損した気持ちになりながら、アクセルを踏み直して駐車場のゲートをくぐった。 書店イベントに参加するため、代官山にある蔦屋書店に僕は来ていた。 今回はスピーカーとしてではなく、聴衆としての参加だ。 きっかけは、昨晩Xで見つけた近内悠太さんの投稿だった。

          「出産で臼を転がす男」と生産性向上問題

          それってキレイごと?「人間関係という資産が一番重要だ」

          "人間関係という資産が1番重要だと思って生きてる" アベマプライム火曜日(7月9日)での田村淳さんの言葉。 僕はすぐ隣で、その言葉を聞いて大きく頷いていた。 放送時間がのこりわずかで、それ以上話を広げられなかったが、 僕もまったく同じ結論にたどりついていた。 マネー資本主義のど真ん中にいたのにも関わらずである。 なぜ、お金より人間関係か この日、金融教育の専門家として、僕はスタジオに呼ばれていた。 高校でも金融教育が始まっているが、内容が資産運用の話に偏っていて、証券

          それってキレイごと?「人間関係という資産が一番重要だ」

          財務省の宇宙人が残した処方箋

          財務省には「宇宙人」と呼ばれる人がいる。 disっているわけではない。頭が良すぎて、何を考えているのかわからないと言うことらしい。新聞の見出しでも堂々と「宇宙人」と書かれていた。 灘の先輩に当たるらしく、高時代から「宇宙人」と呼ばれていたと元教頭に聞いたことがある。 現在は財務省の財務官という立場で円安基調の強い為替市場を注視していて、先週の木曜の晩に、ドル円相場が161円近辺から157円台まで下落したのも、この神田財務官が為替介入に踏み切ったからだと噂されている。 この

          財務省の宇宙人が残した処方箋

          「政党色」の薄い都知事選に思うこと

          東京では都知事選が盛り上がりを見せている。 都知事選ポスター用掲示板がNHK党にジャックされたり、猥褻な画像を貼る候補者がいたり。白いきつねと緑のたぬきの対決だと言われたり、96歳の発明家が健在な姿を見せる一方で、33歳の若きAIエンジニアが立候補したり。公約などの政治的な要素よりもエンタメ的な要素でメディアに取り上げられているようだ。 東京都の予算規模は16兆円程度で、スウェーデンやオーストリアの国家予算と同じ規模だそうだ。 都知事によってその巨額のお金の使い方が変わる

          「政党色」の薄い都知事選に思うこと

          さよなら福沢さん。新紙幣導入で変わること

          「FLASHです。田内さんですよね?取材させてもらっていいですか」 思わず身構える。 FLASHといえば写真週刊誌。 何もやましいことをしていないはずだが、声がうわずった。 「はっ、はっ、はい。何でしょうか」 僕の緊張とは対照的に、電話の主は極めて落ち着いていた。 「新紙幣が導入されますよね。その影響についてお聞かせください」 写真週刊誌というとスキャンダルを扱うイメージが強いが(昨年末も、知人がスキャンダルでFLASH砲を浴びていた)、本来は情報誌である。 7月3日

          さよなら福沢さん。新紙幣導入で変わること

          エヌビディア埋蔵金伝説と金融業界の闇

          $3,462,462,615,697 日本円にして約540兆円。先週18日、半導体大手エヌビディアの時価総額が、マイクロソフトを抜いて世界一位になったそうだ。 株式公開したときに購入していたら59万%のリターンになっていたという記事をたまたま目にした。10万円買っていたら、6億円になっている計算だ。 第二のエヌビディア株を見つけたい!! そう思ってしまう。 僕はこの記事を読みながら、40年近く前のことを思い出した。 徳川埋蔵金伝説 当時、そば屋を営んでいた我が家の物

          エヌビディア埋蔵金伝説と金融業界の闇

          「売れている本が売れる」書籍販売のウラ話

          数字の奴隷 「数字に振り回されてはいけない。自分のモノサシを持つべし」 これは、講演などでしばしば僕が使っている言葉だ。 お金に振り回されちゃいけないし、”いいね”の数に振り回されちゃいけない。自分の幸せ、生きる目的は何かを考えて欲しいというメッセージである。 しかしながら、数字に振り回されない方法を僕に聞くのは、どうかやめてほしい。 いったい、僕を誰だと思っているのだろうか?僕ほど、数字に振り回され続けている人間も逆に珍しいくらいだ。 筋金入りである。 むしろ、数

          「売れている本が売れる」書籍販売のウラ話