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「政党色」の薄い都知事選に思うこと

東京では都知事選が盛り上がりを見せている。

都知事選ポスター用掲示板がNHK党にジャックされたり、猥褻な画像を貼る候補者がいたり。白いきつねと緑のたぬきの対決だと言われたり、96歳の発明家が健在な姿を見せる一方で、33歳の若きAIエンジニアが立候補したり。公約などの政治的な要素よりもエンタメ的な要素でメディアに取り上げられているようだ。

東京都の予算規模は16兆円程度で、スウェーデンやオーストリアの国家予算と同じ規模だそうだ。
都知事によってその巨額のお金の使い方が変わるし、自分が住んでいる東京都の未来に関わることだから大変興味がある。
しかしながら、冷めた目で候補者の公約を見てしまうのは、日本の選挙制度の実態を知って絶望してしまったからだ。

先日、とある勉強会で選挙制度について学ぶ機会があった。講師は灘中・高校時代の同級生の砂原庸介氏。彼は神戸大学で法学部の教授をしていて、専門は政治学や行政学。高校の社会科の教科書を一緒に作ったこともある旧知の仲だ。
その彼の話を聞いてよくわかったのが、日本の選挙制度がいかに特殊であるかということ。
たとえば、世田谷区では50人の区議会議員を選ぶのに一つの選挙区で争われる。50位以内に入ればいいから、人口90万人のうちの4000票も取れば当選する。大多数の人にとっての利益を考えなくても一部の人たちの利益を代表すれば、議員になれてしまう。
また、知名度があれば当選してしまうというのも、日本の選挙の特徴だそうだ。多くの有権者は、政党よりも候補者個人を見ている。「美しすぎる〇〇議員」などのように個人の容姿や能力がここまで注目される国は珍しいとも話していた。
地方自治体の選挙などでは、複数の政党が1人の議員を推薦する「相乗り」という言葉が日本にはあるが、そんな概念は他の国には存在しない。それぞれの候補者はあくまでも所属する政党の代理人的立場という意味合いが強いそうだ。
日本のように、政党ではなく個人の力で当選するケースが多いと、当選した議員は全体を見ずに自分に投票してくれる一部の有権者の利益を優先して考えるようになる。

また、長期的な視点に立たずにただの人気取りで終わってしまうことも考えられる。
今回の都知事選でもそうだが、仮に実行できない公約を掲げていても当選しさえすればいいのだ。再選を考えていなければ、実行できなくても痛くも痒くもない。
これが政党同士の戦いなら、そういうわけにもいかない。知事の任期が終わっても、政党の支持率にも影響が及ぶから、簡単に公約を反故にはできない。

本当の意味での政党政治にならなければ、長期的な展望で未来のことを考えられないのではないかと思ってしまった。

今日、7月7日は都知事選の東京日。
さて、誰に投票しましょうかね。。。

ここから先は、今週の活動報告とこぼれ話。

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お金や経済の話はとっつきにくく難しいですよね。ここでは、身近な話から広げて、お金や経済、社会の仕組みなどについて書いていこうと思います。 …

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