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世界を飴化する装置を作った話

大学時代、飴についてものすごく考えていた時期があったのですが、今回はそのときに思いついた世界中のものを飴化することができる装置についての話を書きたいと思います。

なぜ飴についてものすごく考えていたかというと、人工的に味を再現した飴という食べ物が、自然界のルールを超越したとんでもない発明品だということに気づいてしまったからです。

イチゴ味の飴って、本当は人間がイチゴの味に似せて作った人工的な味じゃないですか。でも僕たちは子どもの頃から何の疑問も抱くことなく、その人工的に作られた味をイチゴの味だと思いながら舐めてきたっていうのが、狂気的と言うかすごい文化だなって思って頭がグラグラってなったんですよ。

そんな風に飴について色々と考えているうちに、飴を舐めることって味覚のバーチャルリアリティ体験だなと思うようになり、この考え方を掘り下げていけば飴をアトラクション化することができるのではないかと思うようになっていきました。

そこで着目したのが、触感です。

金平糖みたいにトゲトゲしているものもありますが、基本的に一般的な飴ってテクスチャが無いじゃないですか。

それならば飴のテクスチャを拡張することで、飴を舐める体験がもっと面白くなるのではないか?

そう思って身の回りにあるテクスチャを観察してみることにしました。

家の中の壁のゴリゴリ↓

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畳のザラザラ↓

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すると、家の中だけ見ても色んなテクスチャで溢れかえっているということに気づいたんですね。

「この身の回りにある色んな質感をそのままスキャンして3Dプリントできたら、家の中のものを全部飴化することができるのになぁ」

そんなことを考えながら、とりあえずサランラップごしに壁のゴリゴリを舐めてみることにしました。すると・・・

「へー壁ってこんな舌触りなんだ〜」

「ん・・・待てよ!」

「これもうサランラップに味をつければ、壁の触感の飴を舐めてることになるじゃん!!」

いやぁ衝撃でした。

色んな物の触感を再現した飴を作るのではなく、身の回りにあるものをそのまま飴として舐めればいいんだというコペルニクス的発想で、世界を飴化することができる装置のアイデアが生まれたんです。

それからすぐにサランラップにはちみつを塗って、手がベタベタしないように持ち手の部分に厚紙を付けた専用ツールを作りました。

初めての人でも使い方が分かるよう、持ち手部分に説明図を印刷し、完成したのがこちらです↓

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触感採取あめシート(はちみつ味)

これがあれば世界中のありとあらゆるものを、はちみつ味の飴として舐めることができるようになります。

さっそく友達のYくんに、この触感採取あめシートを使って色んなものを舐めてもらいました。

近所にある一番大きな木の樹皮を舐めてもらったり↓

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階段の手すりの、ペンキ塗りのムラができてるところを舐めてもらったり↓

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いろんなところを舐めてもらいました。


感想を聞いてみると・・・

「サランラップの厚みがあるせいで、世界の触感が鈍る」

「味もはちみつ味じゃなくて、ブドウ味がいい」

「木の樹皮はわりと来た」


との回答をいただきました。

たしかにサランラップって地味に厚みがあるので、きめ細かいテクスチャのものは舐め心地が荒くなってしまうんですよね。反省ポイントです。

肝心な飴の味に関しても、はちみつを使ってしまったことで飴っぽさが薄れてしまったという問題が浮かび上がりました。(もっとポピュラーなブドウとかミカンの味で作ればよかったです)

ですが、Yくんにいろんなところを舐めてもらったおかげで、触感採取あめシートの問題点が見えてきました。

今後はシートの厚み、味のバリエーション、持ちやすい持ち手の形状など細かい調整をしていき、このあめシートを本格的に世界を飴化できる装置として磨き上げていきたいと思います!


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