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人生のお暇期間


海外を生活拠点とされているカナダ人の先生から、1通のメールが届いた。

件名は

“vacation reporting“


メールを開くと

I hope to be away on vacation, Feb. XX - March XX, in XXXXXXXXX.
IF there are any urgent questions, while I'm away, please
a) e-mail to my XXXXXXX@gmail.com address.
b) calling my phone might NOT be very useful: I'll turn OFF Smartphone "data roaming"....

1ヶ月間休暇いただきます、ペナンに行ってます、電話はごめんね、メールでよろしく

と。

更にメールは続き(ここでは省略するが)、文末には

Thanks...and I hope that hardworking XXXXXX staff will ALSO enjoy vacation time off, in February/March.          

いつもハードワークなあなたたちも、2、3月のお休みを楽しんでね

と。

2.3月は職場は絶賛繁忙期で、わたしは今13連勤の真っ只中で、職場近くのホテルに泊まる日もある。長期のvacationをとり、reportingするのは当たり前の文化なのだと推測するが、やはりこのメールを目にするのは辛い。

ということで、このメールをみたホテルの隣の部屋にいた上司から、夜中の0時過ぎ、

「ペナン」とだけ記した写真付きメールが送られてきたくらいには、余裕がなく忙しない毎日を過ごしている。

上司のお気持ちはお察しいたします。何がお休みを楽しんでねじゃボケ!


ところで、休暇といえば、5年ほど前に放送していた「凪のお暇」を、当時毎週楽しみにしていた。

その頃わたしは大学生で、大学生ということは「人生の夏休み(休暇)」期間だった。

だけど実際には、勉強にアルバイトにサークルに、そして放送当時は就活と教育実習の準備、それから当時の恋人との将来についての話し合い(笑)とそれなりに忙しく、わたしの大学生活は「人生の夏休み」と表現して相応しいかといわれれば、そうではなかったように思う。

そういうわけか、仕事も恋人も家も毒親も、全てを手放しお暇をいただくことで、凪ちゃんが自分自身に向き合い成長していく姿に、かっこよさというか、憧れのような感情を抱いたものだ。

あれから時が経ち、社会人生活も4年目が終わろうとしている。

今の生活の方が、「人生の夏休み」という言葉が似合っていると思う。だって、これまでの人生の中で最も将来のことを考えずに「今が楽しい」を優先して生活しているから。

今、わたしは働きたいから働いている。今、ピアノを弾きたいから弾いている。今、旅に出たいから旅に出る。今、食べたいから食べる。今、一緒にいたい人と一緒にいる。

これまで、将来のために今苦労しなきゃ、将来のために努力しなきゃ、将来のためにこの関係をどうにかしなきゃ、なんて、将来に目を向けて行動することの方が多かったから、社会人になって、「今わたしがどう思うか」を素直に見つめて行動しているなと思えること自体が、vacationだなと思う。

わたしが当時凪ちゃんに憧れていたのは、もっと「今」を見つめたかったからなんだろうな、と書いていてわかった気がする。

休暇とは、今を見つめることなのかもしれない。

4年もvacationを取得しているので、流石にもう少し、キャリアもプライベートも色々考えようかなとは思い始めているのだけれど…でもバカンスは楽しい。幸せだ。

ただ、やっぱりさ

やっぱり、わたしも仕事で関わる全ての人に「vacation reporting」のメールを送りつけたい。

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