ライター必読本②梯久美子『声を届ける――10人の表現者』
梯久美子は、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『散るぞ悲しき』で単著デビューを果たす前から、『AERA』の看板連載「現代の肖像」の執筆者の1人だった。
私が彼女の名前を記憶したのも、「現代の肖像」で脚本家・中園ミホを取り上げた回があまりに素晴らしかったからである。
『声を届ける――10人の表現者』(求龍堂)は、これまでに梯が「現代の肖像」で書いてきた10本の人物ルポを集めた一冊だ。常連執筆者という印象があったが、意外にも、彼女が書いた「現代の肖像」はこの10本がすべてなの