見出し画像

仕事獲得は営業より「紹介」が吉

「紹介の輪」で仕事がつながってきた

こちら(↓)の記事を興味深く拝見した。

この中で、筆者のライター・宿木雪樹(@yuki_yadorigi)さんが「振り返れば私はほとんど営業をしたことがありません」と書かれているが、私もそうだ。
これまでのキャリアを振り返ると、9割以上は誰かの紹介から仕事が始まっている。営業経験は皆無に等しい。

もちろん、それがスタンダードであるわけではない。出版社等にガンガン営業をかけて仕事を獲得しているライターも多いだろう。私はそうではなかったので、ここで「効果的な営業のコツ」を語ることはできない。

あたりまえの話だが、見知らぬ出版社に飛び込みで営業をかけるより、しかるべき人に紹介の労をとってもらったほうが、仕事がもらえる確率は格段に高くなる。

私の場合、その「誰か」で最も多いのは、旧知の編集者を通じて別の編集者を紹介してもらうケースだ。
次が、ライター仲間に編集者を紹介してもらうケース。3番目が、カメラマン(ライターとは取材で仕事を共にする機会が多い)が編集者を紹介してくれるケース……という順番になるだろうか。
 
編集者やカメラマンを通じて別の編集者を紹介してもらうのは、平和でよろしい。持ちつ持たれつギブアンドテイク。その後に知り合いから「誰かいいカメラマン知らない?」と言われたとき、その人を推薦する形で“お返し”をすればよい。

だが、ライターがライターを紹介する場合、単純なギブアンドテイクの関係が成り立ちにくい。相手は同業のライバルでもあるからだ。

よく仕事をするメディアの編集部に後輩のライター・A氏を紹介したら、そのA氏がメチャメチャ優秀で、それまで私に回ってきていた仕事がすべて彼に回ってしまうかもしれない。そうしたリスクを覚悟のうえで紹介しなければならないのだ。

それに、人を紹介することにはそれなりの責任が伴う。
仕事がよくできる「使えるライター」を紹介すれば先方に感謝されるが、逆に「使えないライター」を紹介してしまったら、紹介したこちら側にも悪印象が残る場合がある。

それでも、自分の仕事がキャパ満杯でそれ以上請ける余裕がないとき、有能な知人ライターを紹介することはあってよい。
それは、過去に別のライターがリスクを承知であなたを紹介してくれたことに対する「恩送り」でもある。

そして、ライターが仕事を探す場合、知人にライター/カメラマン/編集者がいたら、まずはその人たちに「どこかライターとして使ってくれる場はないか?」と聞いてみない手はない。

昔はパーティーで人脈が拡がったが……

では、知り合いにライターもカメラマンも編集者もいない場合、人脈を広げるにはどんな手があるだろう?

新宿ゴールデン街とかの、各社の編集者がよく飲みにくる酒場に網を張り、酒席で人脈を広げるという手も、けっこう有効であるらしい。もっとも、私はその手の営業をしたことがない。

同様に、旧知の編集部に「近くまで来たもので、寄ってみました」と挨拶に行くような“つなぎ営業”も、私は苦手だ。
そういうことをやったほうが仕事を得やすいのだろうが、「呼ばれたわけでもないのに会いに行ったら迷惑だろう」という遠慮が先立ってしまう。

思えば、私はひどく営業力が乏しいライターである(笑)。これまで生き残ってこられたのが、我ながら不思議だ。
 
私の場合、駆け出し時代に人脈を広げるのに最も役立ったのは、さまざまな「出版記念パーティー」であった。

作家やジャーナリストなどが新刊を出したり、何かの賞をとったりしたときに、版元や友人たちが発起人となって行うパーティー。あるいは、何かの賞の授賞式を兼ねて開かれるパーティーなどである。
それは、駆け出しライターが一気に人脈を広げる絶好の機会であった。会費を出してもお釣りがくるくらいの価値があった。

「あった」と過去形で書くのは、最近はその手のパーティーがめっきり減ったからだ。
いま思えば、あれは出版業界に勢いがあった時代ならではの“風習”だったのだな(出版市場のピークは1996年で、以後は減少を続けている)。

同様に、出版社の忘年会・新年会のたぐいも、人脈を広げるのに役立った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?