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朝ごはんを変えたあとの暮らし

わたしは以前、人生で食べられる食事の回数には限りがあるのだから、毎日色んなものを食べたい、と思っていました。

だけど今、平日の朝は毎日おにぎりと味噌汁のみをいただいています。


わたしがこの食事に至ったまで、大きくふたつの経験をしてきました。




ハレの日とケの日


カナダの敬虔なキリスト教徒のおうちで半年ほど暮らした際に、朝は毎日同じもの(夏はミューズリーかパン、冬はポリッジ)、昼はサンドウィッチか残りもの、夜はレパートリー少なめ(大体とりか豚のオーブン焼き、金曜日は魚)という生活をして、最初は同じメニューばかりで飽きたなあと思っていました。
だけど、この方が食材にも時間にも無駄がない。それに何より、わたしはもしかしたら、毎日がハレの日みたいなごはんを食べてしまっていたのかも…と考えるようになりました。

砂糖は入れずシナモンとレーズンでいただいていました


毎日がハレの日ごはんって嬉しいように思えますが、本当のハレの日にはいつもの何倍もお金や労力を費やさないと、喜びは感じられないようになるマイナス面も。例えば毎日ケーキを食べていたら、誕生日にケーキを出されても特別感は薄いですよね。そういった難点は必ず現れます。
また、常日頃の食費や食に費やす時間もかさみます。いい食材を使うことと、贅沢なものを食べることは似て非なるものなのに、わたしはついここを混同しがちでした。

とはいえ、ケの日、普段のごはんが何でもいいというわけではありません。
極端な例ですが、毎日カップ麺やコンビニ弁当ではよくないし、またわたしは節約のために安い食材ばかりを常用することもよくないと思っています。
カップ麺やコンビニ弁当の話は言わずもがなだと思うのでここでは端折りますが、安い食材(料理)には必ず何か理由があります。
輸送のために農薬を振りまかれて輸入される海外産の小麦や、遺伝子組み換え食材と安い油にアミノ酸で旨みをつけて作られた「おいしい」もの、人工の食材(添加物ではない)を多用した本来とはかけ離れた食品…あげればキリがありません。
また、工業的に作られた食べものや海外に依存した安い食べものばかりを食していると、体の不調や地域社会の雇用問題、ひいては食の危機につながります。記憶に新しい(いや、むしろわたしの住む地域では現在進行形でいまだに品薄です)令和の米騒動も、大切な主食を作ってくれている農家さんへのわたしたちの無関心が生んでしまった問題のひとつでもあります。(一番悪いのは政府ですが)

つまり、必ずしも安い=ケの日ではないのです。
わたしは普段から放し飼いの卵を買いますし、地鶏や、特別栽培米か無農薬米を買います。お豆腐は国産大豆とにがりだけで作ったものを買います。でも、ケの日である日常に手の込んだ料理を作る必要はないし、毎週同じ献立でも別にいいんだ、と思うようになりました。




薬膳で考えた体質問題


帰国して実家で暮らしている間、母が食べていたのもあり、カナダと同じようなものだし、とオートミールを温めた牛乳に浸して食べていました。
働き始めてからは、そこにバナナとカカオニブを入れ、過剰摂取を控えるため牛乳と豆乳は1週間交代。これを2ヶ月近く食べていました。

特段体調が悪くなる、ということはなかったのですが、以前薬膳の勉強をしていた(薬膳アドバイザー養成講座修了)こともあり、「この朝ごはんってわたしの体質に合わないよなあ…」とは思っていました。
予想は的中し、体調そのものにダイレクトに影響したわけではありませんが、便に異変が現れました。汚い話で申し訳ないですけど、体からのサインはここでも受け取れるのでぜひ気をつけて見てください…!
その異変というのは、軟便な上、便がベタっとし便器につく感じ。おなかを壊しているわけでもないし、そもそも下痢でもないし、何これ…と思ったのですが、すぐ気付きました。これは朝ごはんのせいだ、と。

オートミール、牛乳(豆乳)、バナナというのはどれも体を冷やします。わたしは冷えやすい体質なので、こんな冷やしまくるものを毎日朝から食べるのは、自ら体を痛めつけているようなものでした。
また、オートミールは湿をためる性質があるようで、カナダのような乾燥した場所ではそれがいい方に動いたのかもしれませんが、島国日本の、それも6〜7月の湿度の高い時期に食べ続けて体に湿がたまった(湿邪)のが症状として出たようでした。

時間のない朝も、さっと用意して食べられていいと思っていたこの組み合わせ。本格的な不調につながる前に気づけたのでよかったのですが、わたしには全く合わない朝ごはんでした。



結局基本が一番だった

そんなふたつの理由が重なって、たどり着いたのが、結局のところごはん(おにぎり)とお味噌汁という、日本人の基本。

毎朝ごはんを炊いて味噌汁を作って…なんてことは時間的にできないし、一人暮らしなので効率が悪いため、いまは
①週末にごはん3合で2種類のおにぎりをつくり、冷凍(2週間持つ量ができる)
②切り干し大根をだし兼具にした、お豆腐ととろろ昆布の味噌汁
を毎朝用意して、いただいています。

おにぎりの具は今のところ、
・鮭(ささやかなこだわりで毎回焼いています)と枝豆と塩昆布
・梅干しかゆかりとしらすと紫蘇
のふたパターンだけなのでバリエーションを増やしたいところですが、冷凍できてタンパク質もとれて…と考えるとあまり浮かばず。
味噌ととるとコラーゲンが吸収されやすいようなので、タンパク質の補給も兼ねてゼラチンを味噌汁に少し入れています。


この朝ごはんに変えて、2週間もしないうちに便からベタつきは消え、今年は全く夏バテもなく、駅から徒歩通勤でも熱中症になりませんでした。
痩せた!とか、お菓子がいらなくなった!みたいなセンセーショナルな出来事は今は特にないですが、酷暑と新天地であったわりに体調が落ち着いていました。
また、2019年以来、夏は紫外線か湿度の高さか、体に水疱のようなものが出て肌荒れしがちだったのですが、今年は全くそれに悩まされず夏が終わりました。このごはんだけでなく、体から湿を出すハト麦茶や黒豆茶を毎日飲んで、乳製品をあまりとらないようにする努力もあってこそだったとは思いますが…
何を食べるか、何を食べないか、は本当に体にダイレクトに影響していると改めて感じた朝ごはんと体の変化でした。

食べるものが固定化したので、朝淹れるお茶や漢方薬などと一緒に、味噌汁の具などをまとめて竹籠に入れています。あれはどこにあったかな…と寝ぼけた頭でバタバタすることもなく、毎日すぐに朝ごはんがいただけています。
また、毎週の考えないといけないことは減り、買っていたパンを食べ忘れてカビてしまった!のような、食品ロスや無駄な買い物もなくなりました。
そして、月に2回程度買いに行くパン屋さんのパンが、特別(ちいさなハレの日)に思えるように。


2ヶ月少し経ちましたが、この朝ごはんに飽きは感じていません。むしろ、毎朝こんなごはんを食べているなんて、すごいのでは?と自画自賛しています。笑
ただ、おにぎり作らないといけない週末(2週間に一度)はちょっと面倒に感じてしまいます。他にも液体味噌じゃなくて、ちゃんといい味噌を使いたいな〜など、思うところはあるのですが、あまり完璧を求めすぎない方がいいですね。

体質改善であったり、何かを固定化することで日常をシンプルにして暮らしに緩急をつけたい方におすすめの、わたしの朝ごはん事情でした。


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