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部下に期待効果の試算をさせたマネージャーがやってはいけない10個のこと

予算執行や社内工数を少なからず伴う企画を通す際には期待効果の試算もセットにして提案をつくるのが一般的です。事前に上司であるマネージャーと部下とが試算の基本要件をすり合わせたり、トップダウンで部下に要件を伝えたりして試算に着手していくと思います。

しかし、多くの人にとって試算はあまり気が乗らない業務のためか、マネージャーの試算業務へのかかわり方次第で部下のモチベーションや生産性が著しく低下しやすいのも事実です。

今回は、部下に試算依頼したマネージャーがやってはいけないことを10個リストアップしたので紹介します。


1. フェルミ推定を多用させる

調査がむずかしい値をいくつかの手がかりから論理的に推定する方法をフェルミ推定と言います。フェルミ推定を多用した試算をすると、推定値に推定値が重なり大きな誤差を生む可能性が高まります。しかもフェルミ推定にはそれなりに時間がかかります。

社外向けのコンサルワークでもなく社内決裁であるにもかかわらずフェルミ推定を多用した試算を要求するのは、精度も生産性も犠牲にする行為です。そもそも組織をミッション達成に向けて最も成果が出る方法で率いていくのがマネージャーの役割です。試算におけるフェルミ推定の多用は組織を悪循環に導くのでやめるべきです。

2. 再提案のたびに新たな修正依頼を付け加える

部下から上がった試算のフィードバックを行い、修正された試算に対して別の修正点を伝えて何度も試算を繰り返させてしまうと、部下のメンタルをかなり削ります。

終わりの見えない試算地獄は部下を苦しめる行為です。もし自身が終わりの見えない試算地獄に追い込まれたら……と少し想像すればやってはいけないことだと気付くはずです。試算のフィードバックは1回ですべて済ませるべきです。もし後から試算の間違いに気付いてしまったら謝ってから修正依頼をしましょう。

3. 具体的な修正依頼の理由を伝えない

何度も修正依頼をかけるのと同様に具体的な理由を伝えずに修正依頼をすることもやってはいけません。「この値おかしいから」や「違和感ある」のようなマネージャーの主観かつ抽象度が高いコメントは全く何も理由を伝えてないのと変わりません。

パワハラ気質のマネージャーがこれをやると、部下は萎縮しているので忖度しながら試算することになり、余計な工数とストレスを与えることになります。

修正依頼のフィードバックは客観的かつ具体的に行いましょう。

4. 試算結果を左右しない部分も必須で修正を要求する

試算結果を変えるものでもないにもかかわらず、重箱の隅をつつくような修正を必須で要求するのもやってはいけません。

完璧を求めるのは悪いことではありませんが、それを強制したからといって何か部下のプラスにもなるわけでもないため不毛な作業です。部下からすれば「完璧主義なマネージャー」として認識され、ちょっとした相談も「あれこれ突っ込まれるからやめておこう」と避けられ、上司・部下の間に溝ができてしまいます。

とはいえ間違いであれば指摘するのは悪いことではありません。必須で不毛な作業をさせることが悪です。そのため、「時間あるときに後で直しといてね」ぐらいの部下に判断をゆだねるスタンスでいるのがベストです。

5. 予算・工数が小さい場合にも概算を許さない

予算・工数が大きい場合には、大きな投資になるため精緻な試算があって当然ですが、そうではないケースでも精緻さを求めるのは

特に、PDCAを高速に回して成果を上げていくWebマーケティング領域では、概算が許されない状況はPDCAのPの肥大化を招き、PDCAが遅くなってしまいます。

6. 試算と結果がずれたときに、試算精度を問い詰める

試算した通りの結果が出ないことは起きえます。結果が試算に満たないものであっても振り返りをきちんと行い、要因と対策を丁寧に洗い出すのを本来やるべきですが、なぜか試算精度に執拗に粘着して部下を詰めるマネージャーがいます。

そんなマネージャーの心理は、承認した自身の責任を極力回避したいの一点に尽きます。部下からはその心理は見透かされているので、上司への信頼は急速に失われていきます。

承認をすることは上司が責任を取ることとも言えます。一度承認したのであれば結果には承認者自身が責任を負う覚悟でいるべきです。

7. 誤差を許さず、複数パターンの試算を認めない

次年度の年間予算や年間目標策定のときの試算は予測通りにいかないことが多いため複数パターンの試算を用意するのが普通です。どのパターンを採用するかは上司が他部門と協議して決めるべきものですが、ドンピシャの1パターンしか試算を受け入れないマネージャーがいます。

試算を作成する側としては1年間の未来予測をすることになるので誤差が生じることも認識してもらいたいところですが、誤差が許されないとなると試算責任を後から負わせるつもりなのではないかと不安を感じてしまいます。

複数パターンを認めないことは経営的にもリスクを抱えることにつながるため、恥ずべき行為と思うべきでしょう。

8. 当初の試算依頼要件を試算後にくつがえす

試算後に試算要件をひっくり返すことは、部下のメンタルを大きく削ります。これはある種の裏切り行為です。試算要件が変わる可能性がある場合は試算依頼をそもそも止めておくべきです。

もし試算要件が後から変わってしまった場合は、試算を手伝ったり後からお詫びをするなど工数面でも精神面でもサポートをしっかり行いましょう。

9. いかなる場合にも売上・利益に結び付けた試算を要求する

提案内容によっては売上・利益に結び付けられないもの・結び付けて考えるべきではないものもあります。例えば、ブランディング施策のように売上から遠いものや業務を遂行する上で不可欠なツール導入のようなインフラが挙げられます。

無理やり計算して売上や利益と結び付けてみたところでその試算は意味を成すものではありません。売上・利益を上げることを主目的としてない施策であれば基本的にその提案目的に適した試算によって内容を判断すべきです。そもそも売上・利益では測れないような案件は経営層判断すべきことだと思いますが。

10. 試算工数・負荷を軽視した評価を行う

試算を業務ではなく簡単な雑務としか思ってないマネージャーに当たると試算は評価対象としては軽視されます。試算をたくさん行わせたにもかかわらずそれが評価につながらないのは評価方法が間違っているので実務と評価がマッチするように評価の見直しをすべきです。

おわりに

試算といえどもマネージャー次第でそれが非生産的なものにもなりますし、部下の心理的安全性を毀損するものにもなります。もしこんなマネジメントをされているのであれば、早めにそのマネージャーからは離れた方がよいでしょう。

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