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ビジネスにも役立つ「思考法」を身に付ける『ゲーム理論の思考法』◆読書メモ2019#13

今年は、読んだ本の感想を全てnoteにメモしていきます。
2019年13冊目は、川西諭さんの『ゲーム理論の思考法』です。

最近は、経済学を積極的に勉強しているのですが、
今回はその流れで「ゲーム理論」の本を読んでみました。

「ゲーム理論」とは、「2人以上のプレイヤーの意思決定・行動を分析する理論」です。ここでいう「プレイヤー」とは、人間だけではありません。企業・国家など、さまざまな「意思決定を行う主体」を指し、幅広い応用が可能です。

「ゲーム」といっても、我々が日常的にゲームと呼んでいる「遊び」や「試合」だけでなく、
複数の意思決定主体による選択・行動が相互に依存しているような状況すべてを「ゲーム」と呼びます。

この本の目的は、このゲーム理論を数学的・経済学的に理解すること、
ではなく、ゲーム理論特有の「戦略的思考」を身に付けることです。

ゲーム理論の基礎的な思考法を学ぶために、はじめはごくシンプルな例から考えますが、
それらは、職場での人間関係や企業間での競争、あるいは国家間での外交など、現実社会における身近な問題にも当てはめることができます

本書で挙げられているゲームの例としては、次のようなものがあります。

・囚人のジレンマ
・合理的なブタ
・コーディネーションゲーム
・チキンゲーム
・マッチングペニーズ
・ホテリングゲーム
・展開型ゲーム
・繰り返しゲーム

これらの例を用いながら、ゲーム理論の思考法を身に付けることで、
以下のような視点を学ぶことができるとされています。

①ゲームの構造(問題の全体像)を把握する
②起こりうる未来を予測する
③適切な解決策を見つける

敵を出し抜いて勝利するための戦略的思考を身に付けよう、ということではありません。
もちろん、そういう場合に有効なこともありますが、
ゲームによっては、相手プレイヤーと協調した方が「良い」ケースもあります。
各プレイヤーがそれぞれに自己の利益を追求して「合理的に」意思決定すると、結果的に全プレイヤーが損をしてしまうこともあります(有名な「囚人のジレンマ」がこれにあたる)。

おまけに、人間というのは目先の自己の利益(のように見えるもの)のために、直感的に行動してしまうものです。
だからこそ、ゲーム理論の思考法を学ぶことで、状況を俯瞰的に「把握」し、起こりうる結果を客観的・長期的に「予測」し、最適な意思決定をする必要があるのです。
時には、隠れている選択肢を探し出す、あるいはゲームのルールそのものを変える、そういったことも求められるかもしれません。
自分がゲームのプレイヤーになっている時こそ、一歩引いて、フィールドの外から問題を捉える視点が重要ですね。


一切の前提知識を持たないビジネスパーソンをターゲットに書かれており、
図表や例を多用して、非常に分かりやすく説明されています。
先日『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』を読んだばかりの自分にとっては、正直、少し物足りないなという感じでしたが、これは自分のミスです。
ゲーム理論の概要をゼロから学んでみたいという方は、『ゲーム理論の思考法』を先に読む順番の方がいいと思います。
現代経済学の発展において、なぜゲーム理論が画期的であるかということなどは、『現代経済学』の方を読めば詳しく理解することができます。


タメになる度 :★★★★☆
文章の読み易さ:★★★★★
分かりやすさ :★★★★★
総合オススメ度:★★★☆☆


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