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経済学は人の行動を考える学問!『この世で一番おもしろいミクロ経済学』◆読書メモ2019#8

今年は、読んだ本の感想を全てnoteにメモしていきます。
2019年8冊目は、『この世で一番おもしろいミクロ経済学です。

この本は、「ミクロ経済学」という何ともややこしそうな学問について、
イラストベースの漫画スタイルで、面白おかしく解説した入門書だ。

これさえ読めばミクロ経済学はマスターできる、というほど経済学は簡単ではないけれど、
ある程度俯瞰的に、全体の概要とか、ベースになる考え方とか、そういうものを掴むことはできる。

少なくとも、素人が「なんか経済学って面白そう!」と思うのには十分だ。


さて、そもそも経済学というのは、お金とか市場とか会社とかナントカ指数とか、そういう難しそうなことを考えているイメージがあるが、
もっと本質的には、経済学は「人の行動」について考える学問だと言える。

この本ではまず、経済学者が「最適化する個人」と呼ぶ人物を扱う。
「最適化する個人」は、自分の欲求を最大限満たすために、常に自分にとって最適な行動をとる合理的な人間だ。

ただ、何が最適なのかは、あくまで個人の価値観次第であって、
とにかく所得を最大化しようとする人もいれば、睡眠時間を最大化したい人もいるだろうし、お酒を飲む時間を最大化したい人もいるだろう。
こういうのも含めて、皆がそれぞれ自分にとって一番「よい」行動を意識的に選択しているはずだ。

で、世の中の全ての人が「最適化する個人」であるという大前提を立てた上で、
「個人にとっての最適化の結果が、全体にとってもよい結果になるのはどんな場合?」というのが、ミクロ経済学の大きなテーマのひとつなのである。

そこで、まず「最適化する個人」を1人だけ見てみる。
次に、その「最適化する個人」が複数人いるときの相互作用を考えてみて、
そして、「最適化する個人」が大量にいる場合の相互作用を考えるというストーリーで、どういう場合なら社会はどうなるのかを考えるのだ。

実際にそういう前提で理想的なモデルを考えると、個人の利己性が、自ずと社会全体の善をもたらすことにもなり、
この働きを、かの有名なアダム・スミスは「神の見えざる手」と表現した。

とはいえ、現実世界はそんなに上手くいく場合だけではない。

そこで、相手の行動によって自分の最適な行動が変わるような場合における最適化戦略を考える「ゲーム理論」なるものが生まれ、
さらに、「囚人のジレンマ」のように、個人がそれぞれによい選択をすると、全体としては悪い結果になってしまうような場合も考えられた。

そうやっていくうちに、ミクロ経済学は社会のいろんな問題を説明できるようになったのだけれど、
大前提に立ち返ってみると、「そもそも現実の人は、いつも合理的とは限らない」という根本的な問題があったりする。

ここで登場するのが、最近流行りの「行動経済学」という分野になるのだが、それはまたこの先のお話。
あくまで「最適化する個人」について理解した上で、そこから現実の人間がどう逸脱するのかという順序で考えた方が、行動経済学の知見をより深く理解することに繋がるだろう。


まあとにかく、とっても面白いから皆も読んでみてほしい。

例えば、新しいサービスを作るときにも、ユーザーがハッピーになって、かつそれが、結果的に社会全体にとってもハッピーになるような仕組みにできないかということを考えるためにも、
ミクロ経済学のエッセンスだけでも触れておくのはよいことだと思う。


タメになる度 :★★★★☆
文章の読み易さ:★★★★★
分かりやすさ :★★★★★
総合オススメ度:★★★★☆



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