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沖縄夜に駆ける。

人とのドライブには不思議な力がある。

なんだろう、なんてことないんだけど包まれるあの感じ。
特に夏の夜風に吹かれながらなんてことない話をたらたらと話す楽しさは。

🌃 🌃 🌃 🌃 🌃

「かーいー!」

深夜の那覇空港、彼女は1年前と変わらずハイテンションで迎えてくれた。

高校の修学旅行の民泊で蛸足をまんまかぶりつく彼女と出会ってから、SNSで連絡を取り続けていた。

そして大学生活1年目の夏休み、再び沖縄の地に足を踏み入れた。

電話で度々話してたから久々感がなかったけど、こうやって沖縄へ来て助手席から彼女を見ると、「久しぶりなんだ」って感覚がじわじわ湧いた。


翌朝。沖縄旅は本格的に始まった。

僕は邦楽よりKPOPとか洋楽を聴くけど彼女の箱では邦楽が鉄板。

彼女と意気投合するキッカケになったゴールデンボンバーは中学時代好きだったし、”ヨネズケンシ”も妹が聴いてた。あとはかりゆしとかかな。
(ここで初めて米津玄師を知った)

そんな曲が車内でかかりながら、沖縄の街を走る、走る。

そこだけ見れば"エモ"いだろうが、僕らは基本口が空いたら閉まらないタイプ。フルスロットルで喋り続けた。

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恋愛観とかいうベタなやつ、学校、武勇伝、方言。

「え、だからさ〜わかるの?」

「だからよ〜もだからさ〜も使うよ北海道笑」
まさか北海道の方言と沖縄の方言に共通する言葉があるなんて知らなかったからびっくりしたし、沖縄のスタンダードが観光よりも面白すぎて車の中でずっと笑っていた。

色んなものが初知り、初体験。
「れ」のカーナンバーはレンタカー。本島に慣れてないので夕方になると運転が荒くなる。うちなんちゅの殆どは泳ぐ時も服を着て入る。恥ずかしいのかわかんないけど日焼け対策?クラゲとか予防なのかしら。沖縄の人は米軍が嫌いってわけではない。土地によって反対か、無関心か分かれるらしい。パイナップルの糖度はオールシーズン内地を上回る。沖縄産パイナップルに感動してたら「時期すぎたから甘くないね〜」って言われてそ知らぬ顔で「確かに〜」ってしてた。


「沖縄の若者は夜、友達とドライブもするし星も見に行くよ」

そう言って彼女は星がよく見える島にも連れて行ってくれた。

リアル"一寸先は闇"、ハブの脅しにビビりながら空を見上げるとそこにはよく車のCMとかで見る、今までに見たことのない宇宙が広がっていた。

北海道でもせいぜい天の川くらいしか見たことがなかった。
流れ星も流星群以外の時に見たことなかったし、こんなに星に心を動かされるとは思いもしなかった。沖縄の若者はこれが日常なのかと思うと自然の大切さが身に染みてわかった気がした。

なおこの島はこの後整備され、現在は夜の立ち入りができなくなってます。
悲しいようではあるけれど、ここでの思い出の一回性の美しさを愛たい。


彼女とは会う時以外連絡はとらないし、一昨年沖縄を歩いて縦断して以降
連絡はとっていない。

人間関係というものには終わりがあるのかないのか、それは何によって決められるのか、わからないけれど。

たとえ彼女との関係がこれっきりだったとしても、彼女とのドライブは私にとって忘れられない思い出になり、人生の1シーン。

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くやしいな。



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・フィルムのIGアカウント
(1998kg__519)

・米津玄師「orion」
最初のカットで出てくる星空もだけど、
この思い出と歌詞の心象風景がマッッチし過ぎて。


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