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私たちが陳情書を出してから意見書が可決するまで。

埼玉県で7月2日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた国会審議の推進を求める意見書が可決しました。この意見書は県政から国政へ向けてのものであり、都議会に続くこうした動きは今後の議論の発展にも繋がります。

私たちCHOICE SAITAMA はこの署名にも名を連ねている他、
選択的夫婦別姓制度の導入に向けて活動されている諸団体との連帯もあり
こうした結果に至ったのではないかと考えています。

今回はこうした一連の動きについてや、それに至るまでの私たちの想いをnoteに綴っていこうと思います。

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1.きっかけと陳情書提出

3月上旬、私個人のアカウントに連絡がきた。相手はYouth Gender Studiesの代表、梨里からだった。私も紡(Tsumugi)という団体を運営してる手前、互いの関心であるジェンダーや団体運営についてZoomで話すことになった。

Zoomは盛り上がり同じ県内に住んでいることも相まって「何か県内でできることを行って還元していきたいよね」という話になった。ポスターを作るとか、講演をすることも考えられたが、それよりも以前から、そして会話の中でも出てきたジェンダー課題。それが「選択的夫婦別姓」であった。

私自身は「#男女共同参画ってなんですか」という団体の主催するイベントで選択的夫婦別姓のIssueについて関心を持ち、橋本聖子前男女共同参画大臣の取り組みや第五次男女共同参画基本計画の流れ、そして進まない現状にある種の疑問を感じていた。

梨里も時を同じくして慎重派の意見に対する疑問や、丸川珠代氏はじめとした反対派が地方に送った文書の不可解さにフラストレーションを抱いていた.

幸いなことは、当時の埼玉県議会議長であった田村たくみ氏がこれをある種のカミングアウトをし、ブログにて批判したことであった。

恥ずかしながら私たちはそれまで県議会はもちろん、県の議員さんを知ろうとすることをしていなかったが、こうした賛成派の議員の方がいることに僅かな希望を感じつつ、4月を目処に陳情書を提出することを決めた。

CHOICE SAITAMAとしての活動が始まった。

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4月、「大野知事が選択的夫婦別姓に賛意を示した」との記事が東京新聞から出た。田村氏の記事もであるが、継続的にこうして記事にしてくれる東京新聞の記者さんには感謝したいと思う。
(これ以降も記事をいくつかあげてくださっている🙏)

こうした報道にエンパワーされやる気は充分だった。問題は、私たち2人が「そもそも陳情書とは何か?」十分に理解していなかったところだった。
形式も分からなければ書面に必要な言葉や定型文、全て知識0だった。

が、問題は簡単に解決された。なんのコツもなく、調べれば簡単にできた。
埼玉県や市のページに飛べばある程度のテンプレはあったし、それでなくても「陳情書 テンプレ」と調べればさまざまな市区町村のHPから内容の理解やテンプレをゲットできた。(ちなみに埼玉県はこんな感じ↓)

そもそも陳情書と請願書の違いすら分からなかった私たちであったが、こうしたページや記事を参照しながら数十分ドトールで作業をし、陳情書を完成させた。

4月19日月曜日の午前中。浦和にある埼玉県庁で陳情書を提出した。

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2.SNS発信と埼玉県知事への要望書提出

「陳情書は原則推薦は必要ないが議員の推薦がないと通りにくいんですよ」

担当してくださった方の台詞に引っ掛かりを感じながら、次にすべきことを考えていた。

私は男女共同参画センターで「県知事への葉書」なるものを入手したため、私たちは県知事へのアプローチも考えつつ、埼玉県における選択的夫婦別姓の認識の向上や活動報告を目的に発信も開始した

スケジュール Kai

(想定しうる具体的な動きの簡易図式 -Kai作成)

スクリーンショット 2021-07-07 16.28.16

(当初掲げていた3つの目標)

こうした発信を始めて一週間も経たないうちに事態は急変した。この議論を先導する選択的夫婦別姓全国陳情アクションの井田さんが私たちのツイートを見て反応してくださり、以下のようなお誘いをいただいた。

こういった形で知事にアプローチできるとは私たちもゆめゆめ思っていなかったけれど、次のアクションと合致していたのはもちろん、私たち将来世代と言われるユースの視点だけでなく、今困っている世代など多くの人が困っていることを伝えられそうと見て、私たちも知事訪問のお誘いに参加した。

要望には陳情アクションや私たちだけでなく、選択的夫婦別姓の早期実現を望むビジネスリーダー有志の会からドワンゴの夏野剛さん、全国跡取り娘教育協会という女性経営者の団体も参加して想いを大野元裕知事に伝えた。

先述の通り大野知事は選択的夫婦別姓に前向きな姿勢を示していましたが、それぞれの想いを伝えた後、井田さんが不意にした賛否の質問に対して、「もちろん賛成ですよ!」と力を込めて言ってくださたったのが特に印象に残った。

3.議員さんとの対話

県知事への要望書の提出の同日、私たちは井田さんとともに各党会派の議員さんの元にも足を運び、選択的夫婦別姓についての説明や想いを共有した。

井田さん、私たち2人と、ビジネスリーダーの会からサイボウズの青野さんがオンライン参加し、議長や副議長、先述の田村たくみ前議長らと対談した。

各党会派を回って話し、外を出た時には日は落ちていた。とても濃密な時間だったと思う。

各会派を回る中で印象に残ったのはやはり、ニュース報道で見ていた光景と同様のものであった。

各々議員の方々が口にしていた言葉を借りると、「自民党がYesと言えばことは動く」そして、「嫌なものは嫌だ」という自論を展開し議論の術が難しい議員さんが一定数いらっしゃるということだった。

そこに議会のシステムや党議拘束の問題が絡み、埼玉県における意見書の可決が進んでいないという現状を知ることができた。

個人的に全会一致のシステムはminorityの意見を最後まで尊重しうる重要なものだとこれまで認識していたけれど、こうした問題も踏まえると完璧なものではないなと新たな視点になった。

私たちはその後、県議会の定例会に向けた議員×ユースの選択的夫婦別姓についての意見交換イベント開催を6月に予定していた。そのことを井田さんに話したところ、もっと早い段階でやる必要があることを指摘され、5月末を目処にイベントを開催することになった。

イベントに向けた準備も進めつつ、5月中旬はもう少し県議会や議員さんの雰囲気を掴みたかった私たちは個別で議員さんの元へ訪問したり、会派の方々とのコミュニケーションをしたりした。

オンライン/オフラインや形式に直前まで悩みつつも、各党会派の議員さんに主演のご連絡をし、29日にイベントを無事開催することができた。イベントには以下の方にご参加いただいた。

〈議員の方々〉
田村たくみ議員(自由民主党)
蒲生徳明議員(公明党)
安藤友貴議員(公明党)
宮下奈美(日本共産党)

〈ユースメンバー〉
・榊優那さん(Voice Up Waseda)
・成田真由さん(GES)
・コモモさん(imI)

(イベントの様子は上記のYouTubeからご覧いただけます)

陳情書を提出し、知事には要望書を出した。そして今回U30の意見を議員に届けることができた。私たちは定例会までやれることをできた。

ただ、意見書が可決するかどうかはいまいち自信が湧かなかった。

4.意見書可決、今後

オンラインイベントから数週間後、梨里からメールがきていることを伝えられる。内容は意見書の提出だった。

意見書は本来、各党会派の賛成、全会一致した上で可決される。反対する議員さんのこともありそこまで簡単ではないと言われていたものでもあった。

この「導入に向けた国会審議を推進する意見書」のアクションには日にちもなかったため直接的な働きかけはできなかったものの、縋れるものには縋るといったマインドで私たちも一縷の望みをかけて時間を作り、署名に向かった。

4月1日の夕方6時。

CHOICEのメールをマネジメントしてくれていた梨里が私に連絡をくれた。
文面には「意見書が可決する」旨。

ついに、だ。

急進的な結末に二人とも驚きが先行しつつ結果に歓喜した。

翌日には井田さん、ポリタスTVの津田大介さんと自民党派の皆さんとともに記者会見に臨んだ。(私たちはオンラインで参加)

(記者会見は動画1:06:00あたりから)



私たちCHOICE SAITAMAの目標自体は果たされたわけですが、目的である選択的夫婦別姓制度自体が果たされない限り万事解決には至りません。

私は仕事が新しいフェーズに変わり、携わらせていただいている別のプロジェクトも少しずつ進行中。(いずれも選択的夫婦別姓の話は盛り込みたい...!)

梨里はメインのYouth Gender Studiesや学業を並行しながら一旦日本を離れるため小休止を。

そして、次のアクションは秋の衆院選を計画しています。先日の都議会選を見て、より身が引き締まり課題も見えてきたので時間をかけて何をすべきかを考えて秋に備えたいと思います。

それではごきげんよう。

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CHOICE SAITAMA


Lily Ito
(@lily.itooo___)

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Youth Gender Studies(@youth_genderstudies)


Kai Miyaki 

(@1998kg519)

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紡/𝐓𝐬𝐮𝐦𝐮𝐠𝐢(@tsumugi2690)


参考URL.

請願、陳情、決議、意見書とは 伊東市HP

選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について | 法務省

選択的夫婦別姓を巡る世論動向 | 男女共同参画会議基本問題専門調査会

各地の意見書可決状況 | 選択的夫婦別姓全国陳情アクションHP

選択的夫婦別姓 自民議員が反対派に思うこと「理解不足と差別思想を感じた」| 東京新聞

CHOICE SAITAMA Instagram(@choice.saitama)

「選択的夫婦別姓」制度の導入に賛成?反対? | 学校選挙プロジェクト note

選択肢が増える、それだけです。選択的夫婦別姓 | Choose Life Project


ワラしがみYouTubeチャンネル せやろがいおじさん
「選択的夫婦別姓に一言」

Youth Gender Studies HP



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