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「あの日から10年」のTwitterで密かに起きていたことを話したいと思う。

2021年3月11日。

この日は「東日本大震災」発生から丸10年経った日。全国各地で追悼式典が行われ、日本中で喪に服していました。

震災当時、僕は大学4年生。
翌月迎える新社会人としての自分に、憂鬱になっている状況下で遭遇。その後、就職先でその年の夏から埼玉県に勤務することとなり、「震災後」を直接肌で感じることとなりました。

また自分は兵庫県出身。
1995年に発生した「阪神淡路大震災」は、小学生のときに経験し、実家が神戸からかなり離れた地にあったため直接の被害はウケませんでしたが、当時神戸の須磨に住んでいた親戚は被災し(幸い命に別状はありませんでした)、また当時通っていた小学校に疎開してきた子もいて、幼いながらもその姿は鮮明に覚えています。

少し前置きが長くなりました。
そんな「 #それぞれの10年 」を迎えた3月11日、僕はいつものようにTwitterで情報収集をしつつ、仕事をしておりました。

その中で間もなく3月12日を迎えようとした夜、ふと目にしたツイートに対し、どうしても自分の胸の中で消化できなかったある企業公式Twitterの愚行について、書き記してまいりたいと思います。

「意図して流されろ」

2021年3月11日夜23時過ぎ、健康器具メーカーの『株式会社タニタ(TANITA)』公式Twitterはこんなつぶやきをしました。

先に言っておきますが、僕は基本的にライター業での記事のネタ探しと、純粋な情報収集以外でTwitterはウォッチしていません。その中で、たまたま目についたつぶやきでした。

冒頭述べた通り、2021年3月11日は東日本大震災から丸10年の節目。被災地の宮城県を始めとして、各地で追悼式典があり、「震源時刻」の14時46分を前にした昼頃から、テレビを始めとしたメディアもそれ一色でした。

そんな中、3月12日に日も変わろうとしたタイミングで、 タニタ公式Twitterが「あとで消す」という前置きをしながら、「意図して流されろ」と投稿。
“予告通り”に削除した直後、「日本人は言葉に敏感」という"自己弁護"の投稿がなされていました。

そんな戯言という名のつぶやきを、僕はたまたまTwitterのタイムラインで目撃。強烈な違和感を感じて、その内容を消して“証拠隠滅”を図られる前にスクリーンショットをして保存しました。

冒頭述べた通り、僕は「阪神淡路大震災」「東日本大震災」いずれの大地震について間接的にしか関わっていません。しかしながら、先に言った通り、その記憶は鮮明に残っています。

そして、現在の僕は、「おたくま経済新聞」という小規模ながら「メディアの人間」という立場です。
加えて所在地が千葉県ということもあり、「地震があったこと」をについて、多少なりとも発信する責務があります。

しかし一方で、僕自身は言ってしまえば「当事者」ではない。阪神大震災やって、中途半端にしか関わっていません。
そんな人間が会社ツールから発信しても、正直説得力に欠けるし、逆に言うことが非礼にあたるのではないかと感じます。当日も投稿はしましたが、果たしてそれで良かったのだろうか?と今でも疑問に思うほどです。

そんな中で、企業公式Twitterという「会社の持ち物」で、しかも間もなく日付も変わるというタイミングで、あえて「流されろ」という単語を使い、タニタ公式は投稿。

今更言うことでもありませんが、東日本大震災は津波により甚大な被害を与えた災害でもあります。
余談ですが、今回のつぶやきとほぼ同じタイミングで、夜のニュース番組が流れてたのですが、その際にMCである女性アナウンサーが、当時の津波映像を流すときに、「これから流しますのでご容赦ください」的ニュアンスの"注釈"を入れるほどの心配りをなされていました。

この心配りですが、他の報道番組でも同様の措置が取られていました。
これは当時の津波映像を流すことによる「フラッシュバック」を防ぐための最大限の配慮だったと思います。それだけあの震災は、多くの被災者の方の心理面においても、大変にショッキングな出来事なのです。

「じゃあ流さなければいいじゃん」という声もありそうですが、10年という節目のときだからこそ後世に伝える必要性はあります。これは阪神大震災から16年後に東日本大震災が発生としたという、「天災は忘れた頃にやってくる」という事実という名の教訓からも言えることです。

そんな中で、「必要以上に震災についての出来事を伝える必要がない立場」のタニタ公式はあえてそのタイミングで、「会社の持ち物」から津波を連想する危険性の高い「流されろ」というつぶやきを投稿。
ちなみに僕は、特に必要性もないし、人間的関係もないので、彼をフォローしていません。しかし、先述の通り初見でこのつぶやきを見た時、ただ率直に

「何でこんなことをわざわざ言うんや!?」

という印象を受けました。

そこで僕は自分のアカウントから、タニタの“自己弁護”のツイートに対して引用しながら、上記の意を含めた内容のつぶやきをしました。

すると、彼は僕のアカウントをフォローし、そのまま先の投稿は削除し放置。「見てるぞ」とでも言いたかったんでしょうか。そのまま3月11日は終わりました。

ちなみに僕はタニタ公式Twitterに対して、フォローバックはしていません。する必要もないし、したいとも思わないので。

話を戻します。日付が変わった2021年3月12日。昨晩の出来事に対して、違和感が拭いきれなかった僕は、タニタの問い合わせフォームへ連絡。事の真意を伺うことにしました。


すると数時間後、お客様相談室の人間が応対。「揶揄する意図はなかったが、タイミング的には適切ではなかった」という意の返答を貰い、すぐ指導するとのことでした。
(名前部分はモザイク処理しています)


さすがに企業として、ヤバい内容だったことは理解していたようです。
実際、昨晩の彼の弁明ツイートでも、少なからず「流されろ」という投稿に対して不適切という反応がありました。わざわざ「指導」という単語も入れるほどなので、今日くらいは喫緊のこと以外は発信しないだろうと思いました。

が、

13時に返答を貰ってからの数時間後。
まさに「舌の根の乾かぬ内」に彼が投稿したのは、「You Tubeチャンネルで社長が激辛ペヤングを食べるという企画を考えたがどうだろう?」というつぶやきでした。

これは喫緊で発信する投稿なのでしょうか?
「社長がやること」とはいえ、「YouTubeチャンネルでペヤング焼きそばを食レポすることを問う」ことが、タニタという企業として発信しなければいけない内容でしょうか?この投稿を見た瞬間、僕はタニタお客様相談室の発した「指導」は、その場を取り繕った“急場しのぎワード”であることを認識しました。

話は変わりますが、僕は今回のタニタ公式の投稿について、悪意自体はなかったと考えています。

単に「震災から丸10年で日本中が喪に服してる中で、企業ツールからそれを皮肉れる俺って超かっけー!!!」という歪んだ利己心を満たしたかっただけの話です。

そんな利己心も、後に「火種」になることを恐れて投稿を消去し、「トラブル」に対して未然に防いでいます。さすが「中の人」を長年やっているだけあって、炎上リスクに対しては敏感なようですね。

その上で、今回彼が行っている行為をただ率直に言ってしまうと、

いちびりな人間がいきがっただけの卑怯な行為です。

「いちびり」ってのは関西の方言です。気になる方はお調べください。

確かに、2021年3月11日が震災から丸10年なので、「自粛一色」にしなきゃいけないというのは、僕も正しくはないと思います。実際おたくまに関しても、最低限の発信以外は、通常通りの記事構成で、「特別編成」にしてはいませんでした。

これは編集部の方針もありますが、一方で、ユーザーが「追悼一辺倒」になることの息苦しさがあるという側面もあります。昨今のコロナ禍にもいえますが、直接被害を被った方には脳裏から離れがたいことではあるものの、「そうでない地域」もまた存在するわけで、そこも同様の感情を持つことは、当事者意識的観点で難しくもあります。

しかしながら、同じ「日本人」として哀悼の意は持ちますし、被害者に対して、特段の配慮はしなくてはいけないという気持ちは当然ながら有しています。先述の津波映像前の「配慮」が最たる例です。

そんな中で発信したタニタ公式の投稿は、その後の応対も鑑みた上で、同じ日本人として到底理解し難い行為に感じます。

そして特に最悪なのは、「意図して流されろ」という文面を【タニタ公式Twitterアカウント】から発信したことです。

無論、震災を揶揄するという目的を持った内容ではなく、それは僕も理解しています。また即座に削除をしているという事実もあります。しかし、一時的でも「会社の持ち物」として発信した事実は変わりません。

加えて今回発信した時刻は、当日の23時過ぎ。あと1時間も経たないうちに日が変わるという状況です。つまり殊更に投稿する必要性のないものなのです。悪意はなかったとはいっても、何らかの意識を持って行ったと指摘されても言い逃れ出来ないと思います。

日本は「表現の自由」が守られています。法に犯すような内容でなければ、それは保証されています。人それぞれに信条があることに対して、問題視される国ではありません。

なので、せめて彼は個人アカウントで発言すべきやったと思います。しかし現実はそれをせずに、自分の一時的な快楽の為に、「会社の所有物から」発信するという愚行を犯しました。

そしてそれを僕はたまたま見てしまいました。さらにその後の応対に大いなる疑問を感じました。ただし以前起こった「タカラトミー炎上事件」とは違い、今回の出来事は炎上自体起きておらず、このまま見過ごせば何も起こり得ない出来事です。

ひょっとしたら僕のやっていることは、言葉狩りとか言われるかもしれません。というか多分そうです。ただ僕はひとりの人間の矜持として、これを見逃すことがどうしても出来ない。見ていておかしいと感じているのに、それを見過ごすのは、自分がそれを黙認していることになるからです。

タニタ公式担当は、企業公式Twitter運用担当として、高名をはせました人間のひとりです。各種メディア媒体にも頻繁に出ているほどの存在です。だからこそ、後発の「中の人」に対して、恥ずかしくない行動を示す必要はあります。これは現役でライターをしながら、たまにTwitter運用で登壇している僕にも言えることです。

それだけに、今回の件はひとりの日本人としてあり得ない行為である上に、企業公式Twitter担当者としても非常に残念な行為です。

「炎上してへんからええやん」という方がいるかもしれません。
しかし、そうやって見過ごされた結果、大炎上を起こし社会的問題にまで発展し、最終的には社長名義で謝罪投稿を行った「タカラトミー」という存在を忘れたのでしょうか。
彼は以前タカトミと一緒に登壇した経験もあり、その辺は重々承知していると思います。いや、思いたいです。

僕は以前から何度も言ってますが、企業公式Twitterは「会社のツール」です。個人の持ち物やない。もし仮にそうしたいなら、彼が谷田社長に変わってタニタの経営者になればいいのです。それなら株主以外は文句は言われないでしょう。

ちなみに彼は、昨日も呑気に投稿をしていました。土日の投稿の是非は置いといて、少なくとも自分がやったことに対して、全く気にも留めていないのでしょう。

ささやかながら僕自身もこれまでの実績から、Twitterというテーマについて発信すると、多少なりとも影響力がある人間のひとりです。なので、極力マイナス面になることで発信はしたくはありません。

しかし今回は敢えてさせていただきます。

ふざけんじゃねえぞ。
テメェが数分間だけでも発信した内容でも、気を害する人間はおるんや。30万人もフォローされてたらそれが猶更なのに、それが分からんとか今まで何年「中の人」やってきたんじゃ。
「日本人は言葉に敏感」って分かってんのなら、自分の集中線アカウントで、好きなだけ『言葉遊び』して悦に浸れや。
企業垢はテメェのオモチャやないんじゃ!

少し言葉遣いが荒くなりました。お気分を害したらお詫びいたします。

というわけで、今回は東日本大震災から10年の節目に起こった醜い出来事をダイジェスト形式でご紹介いたしました。

念のために言っておきますが、この内容はあくまでも「個人の意見」でございます。

末筆ではございますが、東日本大震災で被災されました方に哀悼の意を表します。

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