完全にHSP。でも私の繊細さを治す必要はない

HSP(生まれつき敏感すぎる人)という概念を知りました。どう考えても、何回ネットで診断しても私はHSPでした。「いろいろ敏感すぎて普通に生活しているだけでストレスがたまる」なんて感覚は普通の人には理解しにくいと思うので、イラストも使って、ちょっとだけ私の生きている世界を紹介します。


HSPとは

HSPは「Highly Sensitive Person Scale」の略。日本語にすると「敏感すぎる人」という意味です。アメリカの心理学者、エイレン・N・アーロン博士によって名づけられました。

HSPの割合

HSPの気質を持った「敏感すぎる人」は、5人に1人います。

HSPの敏感さは後天的に獲得するものではなく、生まれつきの気質が原因です。

HSPが生まれる理由

HSPが生まれる理由は、人類の生存戦略だと言われています。人類が全員鈍感だと環境の変化に気づけず破滅してしまう可能性があるので、環境の変化を敏感に察知し素早く適応する人が必要だそうです。

ただ、環境の変化に敏感だということは周りから受けるダメージも大きいということ。敏感な人が多すぎても人類の生存率を下げてしまうので、5人に1人という割合になっているのではないかと考えられています。

育った環境で敏感さが変わる

HSPは先天性の性質ですが、気質の強さは育った環境によって変わります。

HSPの気質を持って生まれた子供が親から十分な愛情を受けずに育つと、環境の変化にひどく敏感な人間に。一方、親から十分な愛情を受けて育つと、安心感やストレス耐性が生まれ繊細な一面を持ちながらも新しいことに挑戦できる強い人間に育ちます。

「わたし、HSPだ」と気付いた理由

昔から「こんなに大きな音が鳴ったのに、なんでみんな気にならないんだろう?」「先生が怒鳴っているのに、どうしてみんな平気なんだろう?」なんて、疑問に思うことが多かったんです。

西川佳宏 著『本当は傷つきやすい人たちへ』を読んだ時「あ、これだ。これ私の取扱説明書だ」と思い、周辺の文献を読み漁りました。結果、何をどう考えても、何度診断をやり直しても完璧なHSPでした。

HSPの特徴

HSPの特徴は「周りの情報に敏感でストレスを感じやすいこと」です。例えば、私に当てはまるHSP的な項目は以下の通り。

●視覚…光を眩しく感じやすい
●聴覚…大きな音・騒音がストレス。苦手なメロディに大きな不快感を感じる
●触覚…敏感肌で痛がり
●感情…人が怒っていることが不快で怖い・雰囲気の悪い場所にいると疲れる

HSPの判断基準を見ると、味覚・嗅覚・第六感が鋭い人もいるようです。ただ、私はそのあたりは気になりません。

同じHSPでもストレスを感じるポイントには個人差があるので、五感や六感を含めた全部門の特徴に当てはまらなくても十分HSPになり得るようです。

「普通に生活しているだけでストレスがたまる」という概念は、普通の人にはなかなか理解してもらえないと思います。私も言葉だけでは伝えにくいので、以下からイラストと一緒に紹介してみますね。

他の人が何とも思っていない音に、苦痛を感じる

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ごく普通の音楽・音に、恐怖と不快感を感じることがあります。

単なる好き嫌いで「そのアーティスト嫌いだから消して」とか言ってるなら全然無視してもらっていいんですが

「怖い!」「気持ち悪い!」って言ってる時は、黒板を爪で引っかかれながらアルミホイルで擦りまくったスプーンをなめ続けるくらい生理的な苦痛を感じているので、ちょっとスマホの音を止めて欲しいです。

知り合いのスマホが原因の時は「音消すか、イヤホン付けて」とお願いするんですが「何で? 普通の音楽じゃん。怖いって意味わかんないよ」と、一度は流されます。

まさか音楽を嫌がっていると思わないのか「え? どの音のこと? 何を消せば良いの?」を困らせてしまうこともあります。

人気の曲は特に「なんで? 一緒に聞こうよ」と流されやすいです。フジファブリックの『若者のすべて』とか。自分でも意味が分からないんですが、流れてるとめちゃめちゃ不安な気持ちになって、怖いんですよね。ごめんなさい。

SF系・ホラー系の映画で流れる音楽はもう、本当に無理です(効果音はもっと無理です。だってあれ、怖がらせるために作ってる音だもん。怖いもん)

音が2種類以上流れていると仕事ができない

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このあいだ職場で流れているカフェ系のBGMと外から聞こえてくるコーラスが混じってパニックになったので

「窓閉めてスピーカー切ってもいいですか?」と聞いたら周りの人に「いいけど、なんで?」と言われました。

自分がHSPだと気づく前だったので(え、逆に気にならないの?)と困惑するばかりでした。

職場のBGMや音、1種類なら全然良いんですが、2種類以上になったらもうダメです。音を聞き分けることに集中してしまって、仕事なんか手に付きません。

BGM=平気
話し声=ちょっと気が散る
生活音=小さな音なら平気

BGM+BGM=パニック
BGM+話し声=聞き分けるのに必死
BGM+生活音=どっちかの音が終わるまで集中できない

こんな感じなので、基本的に職場にBGMはない方が良いんでしょうね。

雑音や人の声が嫌だと伝えた時「耳栓したら?」と言われたこともあります。でも、耳栓をしても人の声とか物音とかは普通に聞こえますし、むしろ微妙にボリュームが小さくなる分聞き取りに神経を使うんですよね……すみません。

人が怒られていると、嫌な気持ちになる

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自分が怒られている時でなくても、周りで誰かが怒鳴っていると怖いし、すごく嫌な気持ちになります。

小学校の頃、先生が教室でクラスメイトを怒鳴っている場面で我慢できなくなって、机を思いっきり叩いてしまったこともあります。ストレスで腕が強めのけいれんを起こしたような感じなので、意識的に叩いたわけではないんですけどね。

物心ついたころから親に怒鳴られることが多かったので、大きな声への恐怖と不快感を人一倍強く感じるのかもしれません。

1ヶ月くらい前、うちの会社の親会社の会長が社員さんにモラハラ気味な怒鳴り方をしていた時も、ずっと会長を凝視したり睨んだりしてソワソワしていました。あまりにも仕事に集中できないので、しまいには事務所の外に逃げました。

怒鳴られている人への心配と、怒鳴っている人への「大きな声で言うことを聞かせるしか能がないのか」という憤りですぐに心がいっぱいになってしまうんですよね。集中力がこんなにも環境に左右されるなんてお恥ずかしい話です。

隣に座っていたインターン生と周りの社員さんはみんな自分のペースでお仕事されていたので(大人だなぁ、スルースキル高いなぁ)と思いました。

光に敏感

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「1日の始まりに太陽の光を浴びよう!」という人は多いですね。素晴らしい習慣だと思います。

でも、目が覚めたからって急にカーテンを開けるのは勘弁してください。急に日光に当てられたら、頭痛とめまいに襲われて、涙が止まらなくなります。

痛みの強さ? 強めの片頭痛を、眼球とこめかみで同時に味わう感じです。あと、目の前が白か黒か赤で埋め尽くされて、しばらく何も見えなくなります。 

ほんとこれ、朝イチで食らって良い痛みじゃないんです。朝はもう少し爽やかな気分で起床したいんです。

太陽の光を浴びるなら、夜カーテンを開けっぱなしにして寝て、日の出から徐々に目を慣らしたいです。でなければ「カーテン開けるよ」と一声かけてください。目をつぶって布団にもぐった状態から目を慣らすので。

エッチのあと「シャワー行く?」って急に電気を付けてくる人にも「目痛いって…電気つける時は声かけて」ってお願いするんですが、大概「いやいや、痛いって大げさ! 眩しいだけでしょ、早く立って」って言われるんですよね。

この手の人、悪気がないのはよく分かるので、うるさくは言いませんけども。

服が嫌い

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基本的に服が嫌いです。

タグを取っても残りカスとか糸とかが肌に刺さるし、肩が布に押さえつけられている感じがしてモゾモゾするし。太ももに布がかかっている感覚も好きじゃないし。皮膚が敏感なんですかね。

ブラのワイヤーが嫌でノンワイヤーにしたんですが、それすら息苦しくて最近はナイトブラで1日過ごしています。不快感はありますが、大分マシです。

一人暮らしを始めてからずっと、家についたら服を玄関で速攻脱ぎ散らかしてます。

HSPかも?と思ったあなたのためのチェックリスト

感情心理学研究 髙橋亜希が発表している『Highly Sensitive Person Scale日本版(HSPS-J19)の作成』によると、HSPを判定するチェックリストは以下の通りです。

「何個以上当てはまったらHSP」ではなく「1つでも当てはまればHSPの可能性が高い」というチェックリストになっています。

●大きな音や雑然とした光景のような強い刺激がわずらわしい
●忙しい日々が続くと、ベッドや暗くした部屋など、プライバシーが得られて刺激の少ない場所に逃げ込みたくなる
●他人の気分に左右される
●短時間しなければならないことが多いとオロオロする
●生活に変化があると混乱する
●子供のころ、親や教師から「内気だ」や「敏感だ」と見られていた
●美術や音楽、芸術に深く感動する
●繊細で繊細な香り・味・音・芸術作品が好き
●一度にたくさんのことを頼まれるとイライラする
●ビクッとしやすい

私は、繊細なままでいい

繊細さについて書かれた本を探すと「繊細な人間が図太く生きるための方法」「気が付きやすくて疲れることを克服する」「繊細な人が楽に生きる」など、自分の繊細さを無くし、普通に生きる方法が書かれた本が多い印象です。

確かに、サラリーマンとして普通の社会生活を送ろうと思ったら、繊細なままでは神経がちぎれます。通勤電車・スーツ・上司との付き合い・休み時間の過ごし方・自由にできない空調・人の話し声が聞こえる中での仕事・上司に見張られる作業・無限に積み重なる業務……ストレス源は無限にあるからです。

私も、鈍感に生きられた方が楽だろうな、と思います。

ただ、アーティストとして生きるなら感受性の強さは武器になります。「これが社会の常識だから」と言われた時、なんでもかんでも「なるほど、そうなんですね」と飲みこめる人に新しい作品は作れません。

感受性が強くなければ金子みすゞの「大漁」は生まれなかったでしょう。人の感情に人一倍鋭くなければ、芥川龍之介や夏目漱石などの文豪のように、立場が全く違う複数の人間の感情を事細かに文字で表現することはできなかったでしょう。

まぁ、自分の感性に従って世の中に逆らったり意味の分からないことをしたりするから、変人だと敬遠されてしまうこともあるんですけどね。

繊細さは、自分のためだけに使いたい

繊細であることは「自分や他人を思いやる能力がある」ということでもあります。私も今まで身近な人が息をしやすいように自分を削ってきましたが、それは卒業します。

もちろん今後も周りへの最低限の配慮はしますが、髪をひっこ抜いたり腕を切ったりしないと自分を保てなくなるほどには他人に尽くしません。ストレス性の肩こりと胃炎を併発して倒れるような生き方はしません。普通に歩いてる時に謎の涙がボロボロ出てきたら、周りの都合なんて無視してバカンスに行きます。

最近やっと「私を幸せにしてくれるのは私だけだ」ということに気付いたんです。

かつ、そこまで明らかなストレスフルになるほど他人に気を遣う気力があるなら、自分にこの力を注ごう、と。そうすれば最強の「自分専属カウンセラー 兼 マネージャー 兼 アドバイザー」になれるんじゃないかと思うんですよね。

自分の繊細さを上手に使って、これからはもっと自分を幸せにしてあげようと思います。

近くにいたら、ちょっと見守ってあげて欲しい

今の日本って一部の敏感な人にも合わせてくれる親切な構造ではないので、生まれつき繊細な5人に1人の人間は「生きにくいなぁ」「しんどいなぁ」と感じながら、鈍感な人が作った、鈍感な人が生きやすい世界で一生を過ごすことになります。

別に、鈍感な人に「鈍感でいいよね」と嫌味を言うつもりはありませんし「敏感な人にちょっとは合わせてよ、理解してよ」と強要するつもりもありません。

ただ、繊細な人って今の日本では少し生きにくい…ということを知ってほしいんです。

あなたの周りにHPSのチェックリストに当てはまるような人がいたら、攻撃せず遠巻きにせず「繊細な人なのかもしれないな」と、温かい目でちょっとだけ見守ってあげてほしいな、と思います。


【参考文献】

西川佳宏 著『本当は傷つきやすい人たちへ』

長沼 睦雄 著『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』

Highly Sensitive Person Scale日本版(HSPS-J19)の作成

HSP診断テスト

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