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できない。

セックスが、できない。 他の男性とはできるのに、彼とだけできない。触れたい、触れたい、触れたい。しかしいざ誘われると、いやぁ、今日はちょっと…首の後ろ辺りをぽり…

水
11日前
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桜雨

振ったらカラカラ音がしそうなくらいに渇いていて。カラカラのカラって空っぽのカラから来ているのかしらと、熱いシャワーを浴びながら考えた。人のぬくもりを忘れて、もう…

水
1か月前
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電流

ベッドの上の彼は美しくて、仄暗い照明のなかでわたしを見下ろす姿をちらりと覗き見てはそのたびに眩暈を起こしそうだ。その美しさにいまだ慣れない。この美しいというのは…

水
2か月前
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走る

パキ、パキ、と音がした。周囲には誰もおらず、足の裏で何かを踏んだようだった。小枝か、木の実か、小石か。一瞬で過ぎた足元に視線は追いつかなかった。顔を上げていなけ…

水
3か月前
16

つづき

エレベーターに乗り込むと、両手で頬を包まれ、彼の顔が近づいて影を落とした。わたしはずっと視線を逸らさなかった。ぬるい、なまっぽいキスだった。あら、こんなキスをす…

水
3か月前
17

「恋愛や結婚において、貴方の主体性がないように感じるけれど、それで貴方は幸せなの?」と尋ねた。早朝走りながら、昨夜のその質問を思い出し、愚問だったなと思った。 …

水
4か月前
17

好きな色

毎夜Tinderをスワイプし続けたり、誰かに会って身体を重ねていた頃のわたしは、どこか狂っていた、のかもしれない。 それが止んだ今、わたしの身体はたくさんの血を流すよ…

水
4か月前
17

オーガズムとわたし

わたしが初めてオーガズム(らしきもの)を感じたのは、初めての彼氏とセックスをしている時でした。 初めての彼氏は、外見がタイプではなく最後まであまり好きになれませ…

水
5か月前
16

季節が通り過ぎた。

恋する季節が通り過ぎた。 わたしは相も変わらず彼らと食事をしたりセックスをしたりしているが、誰にも恋はしていない。もう二度とこれまでのような気持ちは持てないかも…

水
6か月前
16

悪いことをしたな、と思うけれど。ざまあみろ、とも、思います。心のどこかでずっと計算をしています。無償の愛なんて、無理なのです。

水
7か月前
16

間隔

駅前の高架下。信号待ちをしている間、会話が途切れた。信号が青に変わり横断歩道を歩き出したら、もうこれが最後なんだと思った。わたしはどんどん心臓の辺りが苦しくなっ…

水
7か月前
22

oshii

「惜しい」 と、言われたことがこれまで何度かある。初めて他人から貰った「惜しい」は、10年以上前、当時好きだった彼の友人からだった。 3人で彼の部屋で真夜中に何をし…

水
7か月前
22

別れと宇宙ごみ

出会って別れて。別れるたびに苦しんで。だけど、またあの日のように偶然会えることを、ずっと願っていた。 どうか、わたしではない誰かが、彼の傷を癒してくれますように…

水
8か月前
20

呪い

ずっと心にいた彼がいます。 彼と会うと、産毛の生えた淡く薄い桃色の皮を剥ぐのと同じように、わたしの心はずる剥けになり、瑞々しい白色の、、、白色ならば良いのですが…

水
9か月前
18

相と性

ずっと心にいた彼がいます。彼はわたしに別の彼女との恋の話を聞かせます。 身体の相性、心の相性。相性と言えども様々ございますが、ぼくたち相性が良いよねって何をもっ…

水
9か月前
16

この雨はきっと神様が嫌なことを全部洗い流してくれてるんやで

無香料のボディソープで身体を洗っても、すぐそばで香水をふりまく人がいる。わたしは香りを遠ざけているのにまるで意味がない。いい香りの彼と別れ際にぎゅうっとハグをし…

水
11か月前
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できない。

できない。

セックスが、できない。

他の男性とはできるのに、彼とだけできない。触れたい、触れたい、触れたい。しかしいざ誘われると、いやぁ、今日はちょっと…首の後ろ辺りをぽりぽり。と、まるで上司からの飲みの誘いを断るハの字眉毛のくたびれたサラリーマンのように言い訳を始める。後から、あああなんでしなかったんだろうと後悔をする。大事な何かを立たせず、後悔先に立たず。

彼とセックスをしたら、パンドラの箱を開けてし

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桜雨

桜雨

振ったらカラカラ音がしそうなくらいに渇いていて。カラカラのカラって空っぽのカラから来ているのかしらと、熱いシャワーを浴びながら考えた。人のぬくもりを忘れて、もうこのまま忘れてもいいかもなんて。

春はよく雨が降る。また今年も目がチカチカするピンク色の花が、わたしの苦手な花が咲き始めるのかと思うと少しぞくっとする。春の冷たさと生温かさは、なんだか少しこわい。

電流

電流

ベッドの上の彼は美しくて、仄暗い照明のなかでわたしを見下ろす姿をちらりと覗き見てはそのたびに眩暈を起こしそうだ。その美しさにいまだ慣れない。この美しいというのは例えばダビデ像を眺めて美しいと思う感覚と似ており独り占めではなく誰かに見てもらいたいとすら思う。瑞々しい肌を撫でて身体を支え合うように指がきつく絡む。襟足に薄らとかいた汗は白いシーツに溶け胸にのし掛かる重みは心地の良い苦しみ。いたずらっぽく

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走る

走る

パキ、パキ、と音がした。周囲には誰もおらず、足の裏で何かを踏んだようだった。小枝か、木の実か、小石か。一瞬で過ぎた足元に視線は追いつかなかった。顔を上げていなければ、転倒してしまう。イヤホンからの音楽で周囲の音は聞こえにくい。脚は地面を蹴り続け、腕は振り子のように止まらない。ほとんど無意識の世界、まるでわたしの身体ではないみたい。何を踏んだのだろう、とだけ考えた。何も、誰の事も考えなかった。一瞬だ

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つづき

つづき

エレベーターに乗り込むと、両手で頬を包まれ、彼の顔が近づいて影を落とした。わたしはずっと視線を逸らさなかった。ぬるい、なまっぽいキスだった。あら、こんなキスをする人だったかしら?と、記憶を巡らせていた。もっと柔らかくて吸い付くような、何回でも触れたくなるような唇だと記憶していた。キオクではなくキモチの問題なのだろうかと、二度目のキスをしながら考えていた。ふわりと繋いだ手の感触は変わっていなかった。

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船

「恋愛や結婚において、貴方の主体性がないように感じるけれど、それで貴方は幸せなの?」と尋ねた。早朝走りながら、昨夜のその質問を思い出し、愚問だったなと思った。

わたしもそうだから。ただ流れて、どんぶらこどんぶらこと揺れて。逃げる。「貴女が船で、男性側が港だ」と彼は言った。ふつうは逆じゃないの?と笑ったけれど、言い得て妙だと思った。

自分を守るために一定の距離を保つほうが楽だ。もう嫌なんだもの、

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好きな色

好きな色

毎夜Tinderをスワイプし続けたり、誰かに会って身体を重ねていた頃のわたしは、どこか狂っていた、のかもしれない。

それが止んだ今、わたしの身体はたくさんの血を流すようになりました。ついに壊れた、としか思えないのです。その赤が、わたしの心まで真っ赤に汚すのです。

オーガズムとわたし

オーガズムとわたし

わたしが初めてオーガズム(らしきもの)を感じたのは、初めての彼氏とセックスをしている時でした。

初めての彼氏は、外見がタイプではなく最後まであまり好きになれませんでした。けれど身体の相性は良かったのではないかと後に思います。彼となぜ付き合うに至ったのか。わたしは恋愛経験が乏しいわりに、身体の経験が先駆けており、恋人という存在にひどく憧れていたからです。

彼と何度目かの行為の時でした。突然ぱちん

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季節が通り過ぎた。

季節が通り過ぎた。

恋する季節が通り過ぎた。
わたしは相も変わらず彼らと食事をしたりセックスをしたりしているが、誰にも恋はしていない。もう二度とこれまでのような気持ちは持てないかもしれない、なんて。元来恋愛体質なのにそのような気さえするのだから、余程凝りているのだろう。恋ではないけれど、夫や彼らは好きな人たちに違いない。好きが沢山あるのはいけないことなのか。どうしてセックスの相手はひとりじゃないといけないの。

いま

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悪いことをしたな、と思うけれど。ざまあみろ、とも、思います。心のどこかでずっと計算をしています。無償の愛なんて、無理なのです。

間隔

間隔

駅前の高架下。信号待ちをしている間、会話が途切れた。信号が青に変わり横断歩道を歩き出したら、もうこれが最後なんだと思った。わたしはどんどん心臓の辺りが苦しくなって、水面で息継ぎをする弱った熱帯魚のように、すぅと息を吸い込んで、まだ帰りたくないと口にした。途端に心の中がザワザワし始める。横断歩道を渡りきる僅かな時間、とても蒸し暑い夜。何かがぐにゃりと狂う寸前。

改札に辿り着くと、わたしは正気を取り

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oshii

oshii

「惜しい」
と、言われたことがこれまで何度かある。初めて他人から貰った「惜しい」は、10年以上前、当時好きだった彼の友人からだった。
3人で彼の部屋で真夜中に何をしていたのか、おそらく音楽や酒の話をしていたのだろう。その友人が買い出しに部屋を出て行った際に、彼とわたしはセックスをした。秘密とは最高のスパイスである。という話ではなくて。その友人はわたしの何を感じて惜しいと言ったのか、いまだに答えを見

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別れと宇宙ごみ

別れと宇宙ごみ

出会って別れて。別れるたびに苦しんで。だけど、またあの日のように偶然会えることを、ずっと願っていた。
どうか、わたしではない誰かが、彼の傷を癒してくれますように。

なーんてなー。
一時的な感傷は、誰かと寝ればまたいくらか薄れてゆく。本当のところの他人の痛みなんて、気持ちなんて、分からない。分かってしまったら、わたしはきっと今を生きていない。これからも鈍感でいい。

会えなくても好きであり続けるこ

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呪い

呪い

ずっと心にいた彼がいます。
彼と会うと、産毛の生えた淡く薄い桃色の皮を剥ぐのと同じように、わたしの心はずる剥けになり、瑞々しい白色の、、、白色ならば良いのですが。熟し過ぎて茶色くなった、まるで美しくない果肉が露わになります。そうなると、わたしは心の制御ができなくなります。3年前の二度目のセックス後から、それは始まりました。

連絡をとっていなくても、身体がなくても、彼がどこで何をしていても、奥さま

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相と性

相と性

ずっと心にいた彼がいます。彼はわたしに別の彼女との恋の話を聞かせます。

身体の相性、心の相性。相性と言えども様々ございますが、ぼくたち相性が良いよねって何をもって、みなさんそう軽々しく口にするのかしら。

以前彼はわたしに、ぼくたちは身体の相性が良いと言いました。だけれど今は別の彼女にそう言っているようです。わたしは別の男性に、ぼくたちは相性が良いよねと言われたばかりです。相性が良いって、単なる

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この雨はきっと神様が嫌なことを全部洗い流してくれてるんやで

この雨はきっと神様が嫌なことを全部洗い流してくれてるんやで

無香料のボディソープで身体を洗っても、すぐそばで香水をふりまく人がいる。わたしは香りを遠ざけているのにまるで意味がない。いい香りの彼と別れ際にぎゅうっとハグをし、誰よりもおおきいなと思った。その胸の中に何でも包み込めそう。いまその光景を思い出して、またすっぽりと入りたくなった。しあわせな記憶より、ヒリヒリする記憶のほうが鮮明だ。

凪、ではなくて、何も感じないような、くるしいような、かなしいような

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