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oshii


「惜しい」
と、言われたことがこれまで何度かある。初めて他人から貰った「惜しい」は、10年以上前、当時好きだった彼の友人からだった。
3人で彼の部屋で真夜中に何をしていたのか、おそらく音楽や酒の話をしていたのだろう。その友人が買い出しに部屋を出て行った際に、彼とわたしはセックスをした。秘密とは最高のスパイスである。という話ではなくて。その友人はわたしの何を感じて惜しいと言ったのか、いまだに答えを見つけられないあたりが「惜しい」のだろうか。


夏の終わり。エレベーター内で、左斜め後方から「惜しいな」と聞こえた。振り向くと、彼が「その猫背」と言った。わたしは生返事をして前を向き直しながら、前述のことを一瞬のうちに思い出した。わたしが「惜しい」のは猫背であることだけなのだろうか。きっと、違う気がする。その「惜しい」を解明できていたなら、あなたはわたしに振り向いてくれたのだろうか。

ていうか。きみら惜しい惜しいって、その上から目線なんなんや。書いているうちに腹が立ってきた。




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