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Swallow

※記録のためのネタバレです

スワロウの意味は飲み込む。

美人な新妻が、少しずつ狂い始めていく。


この物語の主人公ハンターは、良家で育ち仕事もできる旦那と豪邸に住んでいる。
距離の近い義父母や多忙な旦那のちょっとした彼女を蔑ろにする行動によって、彼女がいかに孤独で閉鎖的な世界にいるのかが前半に描かれている。

間もなくしてハンターは妊娠。
退屈で無機質な家の中で、何か新しいことをしたいと思い立ったところで、ビー玉を飲み込む。

それをトイレで確認せずにはいられず、飲み込むものは徐々に画鋲や釘、電池などに発展していき歯止めが効かなくなっていく。
画鋲を苦労して飲み込んだ後に、何とも言えない表情で涙を流す姿が印象的だった。
血を流したり苦しんでまで、異物を飲み込む姿は狂気じみていて、何が彼女をそうまでさせてしまっているのか?と彼女のバックグラウンドが気になる展開だが、終盤まで彼女の生い立ちは明かされない。
映像は全体的に無機質で、山にあるらしい住まいは社会と隔絶されているような雰囲気も見て取れる。


ついに倒れてしまい異食症と診断され、夫と義父母の監視のもとセラピーを受け、家でもお手伝いから監視される生活は余計に彼女の中の何かを苦しめていく。
異食症の原因として、彼女の生い立ちがあるとセラピストは言い、ハンターは母親がレイプされた時にできた子供であり、ずっとその父親の切り抜きを持っていることが明らかになる。
その事実を旦那は知らされておらず、少なからず旦那も動揺していて、愛していると抱き締めたかと思えば、酷い暴言を吐いたりもする。


一向に快方へと向かわない彼女と夫は次第にすれ違っていき、子供が産まれるまでの間、施設に送られることで話がまとまる。しかし、敵対し合っていたお手伝いが、なぜかハンターに手を貸して彼女を逃す展開がスリリング。

もはや半狂乱な彼女は逃げ出した日はモーテルに泊まり、翌日に実家に電話をかけるが部屋がないと泊めてもらえない。

ハンターは実の父親の家で行われている娘の誕生日パーティーに侵入し、父親と対峙する。それは彼女にとって自身のトラウマや恐怖と向き合うこと。

エンディングでは、フードコートで食事をしてトイレから出てきたハンターの顔はすっきりとしていて、開放された彼女が新しい道を歩き始めそうな展開に変わり、一貫して生活感がなく、無機質な世界観とAIのような、作り物のような主人公の容姿も相まって、お洒落な映画だった。

 


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