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ポートフォリオは、“この人じゃないな”と思ってもらうことを意識していた気がする

転職体験記のお題がもうすぐ終わりそうなので、慌てて書こうと思います。

note始めていきなりWebディレクターの人材のミスマッチ問題について好き勝手に書いているアカウントですが、自分の転職についても少し記したいと思います。


プロフィールにも記載している通り、私は元々別の業界から制作会社に転職しているのですが、その後も転職経験があります。

以前いた職場で面接担当もしていたので、Webディレクターの採用活動は企業側も求職者側もマッチングが難しいなぁと思っているのですが、この記事でそのヒントになるような情報はたぶんありません。

そんな最適解を書けたら誰も苦労していないですよね(暴言)

大体において、私はディレクターとしては評価される側なのだから、どう考えたって応募書側のバイアスが入ります。フラットな提言などできるわけがありません。

というわけで、本当にただの個人の見解です。

転職の動機を簡単に

本筋じゃないのでさくっといきます。
要は、新しい知見の引き出しが欲しかったからです。

会社も仕事も好きでしたし、会社内での地位もまぁまぁ安泰だったのですが、自分のスキル・経験に関する引き出しのストックが増えていかない感覚があり、「もしこのままあと10年働いて会社が頭打ちになったら、一緒に自分も頭打ちになってしまう」と思ったからです。

断っておきますが、会社自体が頭打ち状態でもなかったので、本当に個人的な感覚です。今もその会社は元気です。

デザイナーでもないのに作品集になるのは違うなぁ

ポートフォリオを作成するときに真っ先に考えたことです。

前提として、映画監督が美術担当やカメラマンの仕事も含めて評価されるように、デザイナーのアウトプットもまたWebディレクターの評価対象のひとつです。それは間違いない。

ですが、採用選考は実績の品評会ではありません。「人」と「企業」のマッチングを検討する場です。私がポートフォリオで伝えたかったことは実績のプレゼンではなくて、自分が案件やクライアントにどう向き合い、この仕事をどのようなスタンスで取り組んでいるか。まずはそこの考え方の合意がないと、スキルセットも何もないだろうと考えていました。

そのため、どうしても印象が強くなるアウトプットを、極力見せない形にしようと思いました。

もちろん始めからそう思っていたわけではない

実はこれを思い立ったのは理由がありまして…。

理由1:自分が応募者の書類選考をしていたときの体験
デザイナー同様に事例作品集になったWebディレクター応募者のポートフォリオを見て「これどう判断すればいいんだろう…会ってみなきゃ分からないよなぁ」と思って、そして会ってみると大体ミスマッチでした。

理由2:かわいそうな面接官
以前、スカウト会社から連絡が来て(おそらく誰かがポイント欲しさに紹介した)、その後彼らが打診する企業と面談したことがありました。経営層からの依頼ということもあり、一次面接が役員、二次面接がディレクション部門のリーダーという立てつけで行われ、役員面接で「素敵な方なのでぜひうちに欲しい。二次面接ではどこに配属するのが良いか、現場のリーダーと相談してくれ」となり、まぁその打診内容で判断すればいいかと二次面接に臨んだものの、私のスキルセットと企業の体制を確認した結果、私も面接官の方も「え…どこの部署にもはまらなくない?というか私じゃないでしょ」となったことがありました。

こちらとしては「残念でしたね、今回はご縁がなかったようで」で終わりだったのですが、困ったのは先方。なにしろ役員決裁が通っちゃっているので、何かオファーを出さなければならない。「ちょっと考えますので」と言う形で面接は終了。さすがにかわいそうだったので、エージェント経由で辞退させていただきました。

そんなわけで、事前に自分のリアルを知ってもらうことが絶対必要だと思った次第です(あのときの申し訳なさと言ったらない。まあ見切り発車した役員とエージェントのせいなのだが)。

仕事のスタンスを中心にしたポートフォリオ構成

話をポートフォリオに戻します。

簡潔に言うと、以下の3つのスタンスが感じられればいいなと思いながら作成しました。

  • クライアントの事業理解から入るよう努める

  • 担当者が置かれている状況/なぜこの案件をやるのかを考察する

  • 単発の採算よりも、長い付き合いにしていけるかを意識する

「数字が取れればいい」「バズればいい」という案件は苦手。それよりも、「この会社、こんなこと考えているんだ」という学びから「ではそれをどうやって表現する?」と考えていった方が楽しい。そのためには、長く付き合っていただけるような仕事をしていきたい。

そのため、ポートフォリオでも案件の大小にはこだわらず、長い付き合いとなっているクライアントやプロジェクトを中心に据えて、その付き合いのプロセスを時系列で整理するようにつくりました。

  • ファーストコンタクトはこんな感じだった(新規の問い合わせ、先輩社員からの引き継ぎなど)

  • クライアントの課題を一緒に考えて、それに案件を通じてどう向き合ったか

  • その案件が、どのようにして次の引き合いにつながったのか

みたいなことです。案件1つひとつの説明は軽くしか触れていません。詳しく書いても書かなくても、気になった案件は面接で質問されます。それだったら、スタンスが伝わるような全体の流れを重視しようと考えました。

最後に、関わったことのある業種やプロジェクトの一覧、大体どれぐらいの業務を同時に抱えていたか(キャパシティや案件規模の参考として)も記載しました。

合わない企業には書類で落としてもらおう

そんなわけで、私のポートフォリオは、色が少なく文字の多いものですw

もちろん、文字が多くなりすぎないよう簡潔にまとめる、タイトルをつけて趣旨を分かりやすくする、タイトルと本文のジャンプ率を明確にして全体にメリハリをつける、余白をしっかり確保して流れが分かりやすいようにする、というレイアウトの基本は意識していますが。

“うわっ、こいつめんどくさそう”だとか“デザインに興味ないのかな”と思われる方もいるだろうなと思いましたが、まあそれでいいんじゃないかというのが結論でした。
 
デザイン設計については、デザイナーにコンセプト指示していたしアウトプットへの口出しもしていたのですが、別にアートディレクションをしたいから転職したいわけではない(むしろそれなら、学べる優秀なデザイナーがいたので転職する必要ない)。

そのためこのときの転職活動においては、Webディレクターにアートディレクターを求める企業からは、書類段階で落とされた方がお互い幸せだと判断しました。

限られた時間・エネルギーをどう配分するか

私は在職しながらの転職活動でしたし、「ニーズがなければ今の会社で頑張ろう」というスタンスでしたので、内定が出るまでは退職意思を伝えませんでした。なので仕事もきっちりたんまりありました。

一方で、職場環境にはある程度の健全さを求めていますので、完全週休2日の企業しか応募しませんし、にもかかわらず深夜や土日に面接をセットする会社は、その段階で辞退しようとなります(そんな企業はありませんでしたが)。

そのため、面接可能な時間は限られます。そもそも、応募した企業のことはちゃんと調べて臨みたいので、何社も並行して受けられるほど器用じゃないんですよね。別に内定いっぱい取りたいわけでもないし、内定取れたってどうせ行けるのは1社だけだし。

一度に応募できる企業数が物理的に限られているのだから、出会いの質は高めたい。何日も前から企業のことを調べて緊張しながら面接に臨んで、開始5分で両者とも「あ、違ったわ」となることほど、不幸なことはないので。

その結果について

このやり方が正しかったかどうかは、正直分かりません。ただ少なくともひとつ言えることは、こうして作成したポートフォリオを送ってから臨んだ面接では、ご縁がなかった企業の皆様含めて刺激になる有意義な時間でした。

なので、他にもっと良いやり方があったとしても後悔はしていないです。

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