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ゲームメモ011:ALBA(Switch他)

サンソフトから発売したアドベンチャーゲーム
Alba: A Wildlife Adventure(アルバ)
インディーゲームであり、サンソフトは開発ではなく日本での販売を受け持つパブリッシャ。開発をしたのはイギリスのデベロッパーとのこと。
筆者はSwitch版をプレイした。

どんなゲーム?

ジャンルはアドベンチャーゲーム。
3Dポリゴンのキャラクターを操作し、島を好きなように冒険できるオープンワールド(島は狭いけど)のゲーム。

あらすじ

主人公はラテン系(多分スペイン人)の小学生くらいの女の子”アルバ”。
夏休みにおじいちゃん・おばあちゃんの住む島に泊りがけで遊びに来た。
自然が豊かな美しい島であったはずだが、島では巨大リゾートホテルの建築とそれに伴う開発計画が動き出しており、島は汚れはじめ、大人たちはざわついていた。
そんな中、1週間自由に島での生活・冒険を楽しめる。といったゲーム。

ゲームクリア条件(ややネタバレあり)

住人の署名を集めてリゾートホテルの建築をやめさせることが目的。

クリアのためにすること

ごみを片付ける
壊れた鳥の巣箱を修理
体調を崩した動物を助ける
壊れてしまっている公園などの施設を修理
町長と建築業者の不正の現場を押さえる
最終日はお祭りを目いっぱい楽しむ!

動物たちを助けてあげよう!

その他にやれること

アルバはスマホを持っており、生き物の写真を撮ることができる。
写真を撮った生き物は図鑑に保存される。
島で出会えるすべての生き物を図鑑に記録できる。
離れ小島や城跡など、島の中には様々なスポットがあり、それらに自由にアクセスして探検できる。

スマホで写真を撮る

良かったところ

・かわいい
絵本の挿絵のような温かいグラフィックで、登場する人物や動物はみんな可愛い。
全体的に明るくのんびりとした時間が流れていて、穏やかな気持ちになれる。

・可愛らしくも雰囲気あるUI
ゲームに登場する地図やスマホを使う時などは一人称視点になって、ノートや端末が画面手前にずいっと出てくる。
「ゲームのメニュー画面」という感じの画像があまり使われておらず、その場で実際に過ごしているかのような雰囲気作りがされている。

地図を開く
図鑑を開いたとき

また物語中に何度か、島民の大人たちから何かしらの質問をされてYesかNoで答える場面がある。
このとき画面にはアルバのバストアップが大きく表示される。
アナログスティックの動きがアルバの首の動きと連動する。
「はい」の場合はアナログスティックを上下に動かして頷き
「いいえ」の場合は左右に動かして首を振ればよい。

左スティックの動きに連動して首をぶんぶんする。かわいい。

・動物の動き
フィールドのいたるところに野生動物がいる。
話しかけたり、触ったりはできないが、アルバはスマホを持っており、写真を撮ることができる。
動物たちは「背景以上・人物未満」のような存在となるわけだが
挙動が絶妙。イイ感じだと思った。単なる背景というほど淡泊でなく、行動パターンは結構ある。
すごいAIというほどではないが、どうぶつの森の掲示板の上にいる鳥のようなワンパターンの挙動をする記号でもない。
写真を撮るために多少近付いても逃げない余地がありつつも、駆け寄ると逃げられてしまう。
撮影のためにカメラを向けるのが楽しい。
プレイの邪魔をせず、それでいて完全な景色でない、"そこで生きている感"を感じることができる。

・童心に帰って田舎探検ができる
ぼくのなつやすみのようなノリで楽しめる作りになっている。
外国が舞台であるため、感情移入・ノスタルジーの喚起という点ではぼくなつのような日本題材の作品に一歩譲るが
ちょっと歩くだけで牛や猫、リスや野鳥など多くの野生動物と出会える点は子供の頃を思い出させる。

・ちょうどいい広さ
島が舞台であるためマップは広くはないが、移動手段も基本的に子供の徒歩のみであるため
こじんまりとしててちょうどいい。と感じるサイズ感だ。
地図はいつでも見られるが、ファストトラベルなどの機能はない。

・「5日間」という形で章立てになっており、程よいプレイ時間
ゲーム内の時間で5日間を過ごし、6日目は帰る日(エンディング)となる。
毎日、夜になったらお爺ちゃんの家に帰り、夕飯を食べて眠りにつく。
時間の経過はリアルタイムではなく、物語の進行に必要なフラグを回収したら夕方になる。というような作りになっているようだ(遊んでてそう感じた)。

1日(=1章)あたりのプレイ時間は30分~1時間くらいで、ちょっと遊ぶのにちょうどいい。
大ボリュームの作品を求めている人には物足りなさがあるかも。

・環境保護が題材の物語だが、説教臭くない
物語を要約すると…
自然が豊かで動物の保護区なんかもあるような、小さくて静かな田舎の島にリゾートホテルが建とうとしている。
建築が始まれば自然は壊され、動物は死んだり減ったりする。
完成したら観光客が押し寄せ、島は汚される。
そんなことは許せない!
住民皆の署名を集めて反対しよう!
…というお話になる。

物語の中で町の人とコミュニケーションを取ると
・今の島は自然豊かだけど仕事はあんまりない。
・裕福な人ばかりではない。
・ホテルが建ち観光客が来ることで雇用が生まれる。

などといった話も知ることができる。

登場人物の一人である「市長」は住民の意見を聞かずにリゾートホテル建築を推し進める悪い大人として描かれるが
よくよくテキストを読むと、そこまでの極悪人ではなく
”何もない貧しい島だけど、住民に豊かな暮らしをさせたい” …という気持ちで行動していたことが読み取れる。

プレイヤーの分身であるアルバは女子小学生であり、もともと島の住人ではないから発言力もなく、彼女にできることは限られている。
それに子供であるため、劇中、子供の目線に映るものを多く目にする。
(業者と市長のやりとりなどはほとんど見ることがなく、工事現場でケガをしている動物などはよく見かける)

そのため「自然を保護して建築を中止させる」方向に肩入れしたくなる気持ちになる。スッと入れる。
プレイヤーは「おれ子供だし」って目線で遊ぶため、罪悪感無く野生動物側に寄り添った意見ができる。

説教臭くないのである。
いいことだと思う、自分の子供にも遊ばせたいなと思える内容だった。

ここがもっと欲しいなと思ったところ

・日数もう少しあっても良かった
・キャラのボイスあるとよかったかも
・動物図鑑の種類(魚も欲しい)
・昼夜があるのに夕方過ぎたら帰宅するしかなかった。夜も遊べて、夜しか出ない動物がいるとよかった
・異性の友達ができ、仲良くなる要素(お祭り用のパエリアを作るくだりで男の子キャラが出てくるけど、チョイ役だった)

最後のは、夏休みにじーちゃん家に滞在中、近所に住んでる白ワンピ黒髪ロン毛でつばの広い麦わら帽子を被った少女と仲良くなる…的なアレだ。

何のアニメ作品でそういうシチュエーションを見たのか覚えてないけど、そういうのあるよね? そして、欲しいよね?

これは調べたら「感傷マゾ」と呼ばれるものらしい。
自分がかつて青春を過ごしていた頃に、まったくもって得ることのできなかった、上手くいかなかったモノ。その感情が成仏できなくて怨念となり、そういう欲望となって表れるらしい。
田舎の夏休み、白ワンピの少女。そうか怨念だったのか…

せっかくいいゲームなのに、俺はなんて汚れているんだ…

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