見出し画像

#もの書き100問100答 に答えたら、わたしは「わたし」に素直な書き手でありたいと再認識した件

 引きこもって仕事と野球だけで空白を埋めているあいだに、呑み書きも終わって7月も半ばになってた。そんな自分に驚いた。ちょっと他人事みたいな感じ。わたしと、そんな自分を見ている私が乖離してるような、本体と影のような、そんな変な感覚。
 でも、まだこれからもうひと波くることがすでに解っているので、今は出力を下げてじっとしてる。
 大丈夫だよ。病気じゃないから。きっと人生の次のステージへ行くまでの、モラトリアムなんだと思ってる。
 引きこもりで低浮上だから、みんながわいわいしてた文化祭には間に合わなかったけれど、こんな素敵な企画があったので、リハビリがてら答えてみた。

1.どんな作品を書いている?
つまみ食いみたいに異なるジャンルのものにいろいろトライしてる。
でも、エッセイがメインかな。


2.どんな作品を書くのが一番好き?
自分のこころの動きを深掘りする、エッセイ。
くたくたになるけど、絶対に間違わないから安心。


3.ペンネームの由来は?
今までいくつかの名前で書いてきたけれど、noteで書きはじめるときに、新しい名前を自分にプレゼントするのは最後にしようと思った。だって、新しいわたしが誕生するとね、古いわたしがどこか自分のなかでアーカイブされちゃうような気がするから。


4.いつから創作を始めた?
文章を作品として書き始めたのは、中高生の頃。
文章以外もふくめたら、幼児期かな。ことばより音だった。文章よりも先に、ピアノで曲を作ってた。


5.創作を始めたきっかけは?
行き場のない恋。


6.初めての創作の思い出は?
A5判で、高校生にしてはすこし値の張るノート。中の紙はアイボリーで、ケント紙を薄くしたような滑らかな手ざわりだった。群青色の色鉛筆で綴った文字の、身を切るようなせつなさを思い出す。
頭に浮かんでいたメロディーに、歌詞をつけた。
好きだったんだな。どうしようもなく。


7.子どものころ作文は得意だった?
得意と思ったことはないけど、困ったことはなかった。
でも、書くよりも読むほうが圧倒的に楽しかった。


8.創作していて一番幸せな瞬間は?
「あぁ、これ! この言い回しだ!」と思える一文が、降ってきたとき。


9.書くうえで譲れないものはある?
描写の再現性。
できているか、残念ながら検証できないけれど。


10.あなたにとって「書く」とは?
「わたし」の再構築。


11.将来どんな書き手になりたい?
「わたし」に素直な書き手。


12.文章力を磨くためにしていることは?
ない。
でも、暮らしのさまざまな瞬間に、頭の中でいったん文章化してしまう脳みそにはなってる。


13.「良い文章」とはどんな文章?
読む人やそのときの状況によって「良い文章」はちがうと思っている。
だから、今のわたしにとっての「良い文章」しか思いつけないので、決められない。


14.読書は好き?
好きだけど、最近は読めてない。


15.憧れの作家は?
三島由紀夫、谷崎潤一郎、中山可穂、江國香織、吉本ばなな。


16.好きな本は?
たくさんあるけれど、いちばん好きなのはやっぱり『キッチン』かな。

収載されている小説のうち、「ムーンライト・シャドウ」がいちばん好き。


17.繰り返し読んでいる本は?
江國香織 著『きらきらひかる』
中山可穂 著『花伽藍』の「燦雨」


18.今読みたい本は?
宇佐見りん 著『くるまの娘』


19.自分の創作に影響を与えた人やものは?
いちばん最初に師事したピアノの先生。
楽譜につづられた音符の世界を「物語」としてとらえ、楽譜に絵を描きながら曲の世界を幼いわたしに体感させてくれた。
音の描写から物語を再現する。まるで魔法使いのようだった。


20.本やnoteなど他者の作品で好きな一文は?

彼女は私の方を見つめて、少し微笑んで告げた。「今夜は窓のところにふとんを並べて、いっしょに嵐を見ようね」

吉本ばなな『哀しい予感』

この作品のなかに流れる 哀しくて優しくて透明感のある空気が、昔からずっと好き。はるか遠いところだけれど、暗闇に出口が見えるところも。

切った爪がおまえを恋しがる

中山可穂『深爪』

この作品は、この一文がすべてだと思っている。触れたら鮮血が飛び散るような、狂おしく生々しい恋の記憶。


21.本やnoteなど他者の作品を読むときについ注目するところは?
五感のリアリティ。


22.無人島に本を3冊持っていけるとしたら何を選ぶ?
江國香織 著『きらきらひかる』
近藤大真 撮影『SMILE ―美しすぎる人類図鑑―』
何も書かれていない真っ白な本


23.10年前の自分にひと言伝えるとしたら?
「今」に、今以上に向きあって。


24.10年後の自分にひとつ質問できるとしたら?
ことばは要らない。
でもね、会えたらハグしたい。


25.今だからこそ言える創作の失敗談は?
失敗談は山ほどあるけど、すぐさまネタにして書いてしまうから、「今だからこそ言える」ものはないかも。


26.書くこと以外で創作をしている?
今はしていない。でもピアノの前に座れば、きっと何かしら出てくる。
どこかで聴いたような、でも、よくわからない何か。


27.もし書くことを禁止されたら何をする?
ピアノを弾く。写真を撮る。歌う。
「書くことは生きること」でもあるけれど、書かなくたって生きていける。
ことばはわたしのなかにあって、ちがう形でも表現できるから。


28.余命一週間と宣告されたら創作する?
創作はしないけれど、二通の手紙を書く。


29.生まれ変わっても「もの書き」になりたい?
なりたいとか、なりたくないとかじゃないかも。
書くことは表現のひとつの手段にしかすぎないから、紙と鉛筆があれば「もの書き」を始めるかもしれないし、「もの描き」になるかもしれない。
それは伝えたい他者があってのこと。ひとりきりだったら、きっと何者にもならない。


30.もの書きとしての自分の強みは?
俯瞰する力。
ドMな忍耐力。


31.もの書きとしての自分の弱みは?
妄想力の欠如。


32.創作における座右の銘は?
なんにも思いつかない。


33.自分の作品の魅力を3つあげるとしたら?
情、愛、五感。


34.自作で気に入っている作品を1つあげるとしたら?


35.自作で一番目に読んでほしい作品は?


36.自分の作品で好きな一文は?

 楓のくるぶしは、ちいさく尖っている。
 靴下からはみ出たそれはわたしをふやけさせるには充分で、きっとこの笑顔ははしたなく溶けているにちがいない。

水野うた「Vanilla トレイル


37.自分の作品を色にたとえるとしたら?
アイボリーかな。
でも、深い紺でありたい。


38.自分の作品は五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)のどれに寄っている?
バランスよく描きたいと思っているから、よくわからない。

引用するために読み直したら、ヤバい。めっちゃ直したい!


39.自分の作品のテーマソングはある?
ない。書き上げたあとで、合う曲を探したことはある。


40.つい書いてしまうテーマやモチーフはある?
ない。
意識的に描こうとして取り組むのは「性」。それから「戦争」。


41.つい使いがちな文章表現はある?
接続助詞「けれども」を使うときに、「◯◯だけれど」とつい言ってしまう。
その響きが好きなだけなんだけれど。


42.次はどんな作品を書きたい?
今は思い浮かばない。


43.もし自分の作品が書籍化されたら誰に帯を書いてほしい?
何人か浮かんでるけど、ジャンルによるな。


44.もし自分の作品が実写化されたら誰に出演してほしい?
海原に架ける」 の珠江さんのビジュアルは、倍賞千恵子さんのイメージで書いた。正二郎さんは、向井理さん。丸眼鏡をかけてもらってね。若い頃の珠ちゃんは誰にしようかなぁ。髪を黒くしてノーメイクにした深田恭子さんか、尾野真千子さん。でも、ふたりとも声がイメージとは違うんだよなぁ。高くも低くもない、落ち着いたトーンがいいな。


45.自分しか読まない日記を書いている?
他人に読まれてはいけない内容は、胸の奥に書くことにしている。


46.日常で「自分はもの書きだ」と感じる瞬間は?
ない。


47.毎日書いている?
ジャンルを問わないのであれば、何かしらは書いている。


48.書くとき以外にも創作について考えている?
考えてはいないけれど、ふっと何かことばが浮かぶ瞬間があって、そこからフル回転で考えることはある。


49.創作を続ける理由は?
思考の整理と記録。


50.創作のモチベーションを上げる方法は?
考えたことないけど、旅と野球と美味しいもの。
今は感染症の影響で旅も美味しいものも難しいから、野球かな。


51.創作を頑張ったときのご褒美は?
睡眠。


52.創作をやめたくなったことはある?
ある。


53.創作をやめたくなったらどうする?
前はやめる前に1本書こうと思って全力で書いた結果、書きたかったものが書けたけど、次に来たら、すっぱり休む。今もちょっとそんな感じ。


54.書きたいのにうまく書けないスランプが訪れたらどうやって抜け出す?
書かない。これができるのは、仕事じゃないからだけれども。


55.どんなときに創作のアイデアを思いつくことが多い?
お風呂か、ひとりで歩いているとき。


56.創作のアイデアが思いつかないことはある?
基本、思いつかない。


57.創作のアイデアが思いつかないときはどうする?
投稿企画に参加したくても思いつかないときは、自分の身の回りにある物事から話をふくらませて、マインドマップみたいに登場人物や出来事を決めていく。
たとえば「Vanilla トレイル」 のときは、その頃はじめて使ったohoraのペディキュア用のジェルネイルをモチーフにして、そこから登場人物を決めていった。初めてトライしたジェルネイルに気づいて、喜んでくれるのは・・・という視点から、女性ふたりの同棲カップルを設定して、ストーリーを組み立てた。


58.複数の作品を同時に進められる?
下書き状態のものばかりだから、けっこう常に複数かな。


59.何を使って文章を書いている?PC?スマホ?
PC


60.書くときにおすすめのツールやアイテムはある?
PCを使って、Googleドキュメントで下書き。仕事の休憩時間は、スマホにBluetoothでキーボードをつなげて書いている。
先日、新入社員が休憩室に入ってきてひと言。「変わったことしてますね」って。だって、若者とちがって、フリック入力よりキーボードの方が圧倒的に早いんだもの。


61.いつ書くことが多い?
夜中か休日の午前中。


62.どこで書くことが多い?
自宅の自室。


63.創作の時間を確保するために工夫していることは?
今はしていない。


64.書き始めるためのスイッチはどうやって入れる?
PCの前に座れば、自動でON。


65.書いているときはどんな気持ちになる?
気持ちなんてないかも。「思考」の「考」に偏ってる。
物語なら描いている場面の、エッセイならその当時の、感情の記憶や動きを解析して、ことばに置き換える作業に没頭しているので、書いているときの自分の気持ちというのはそこには見当たらない。


66.書いているときに話しかけられると気になる?
話しかけられたら書けないので、話しかけられないような空間に閉じこもって書く。


67.書いているときに集中力を保つコツは?
無音の環境。今も、PCのファンの音とキーボードの音しか聞こえない。エアコンも静音。


68.書いているときに音楽やラジオを聴く?
聴かない。わたしは音楽を聴いてしまうと脳内で自動にドレミ変換されてしまう脳なので、そのモードに入るとことばがこんがらがってしまう。もしかしたら、脳内の音楽を自動で解析する領域が、言語で使っている領域と同じか近い位置なんじゃないかと思うほど、ことばが出てこなくなる。書かずに、音楽に合わせて歌うのなら大丈夫。歌詞もちゃんと出てくる。不思議。


69.書いているときに欠かせない食べ物や飲み物はある?
ない。自室に飲み物を持ち込むのは、Zoomのときか病気のときだけと決めているので、書きながらほとんど飲食はしない。


70.息抜きの方法は?
野球を見ることか、運転しながら歌うこと。


71.健康面で気を遣っていることは?
食べすぎないこと。


72.完成までに一番時間がかかった作品は?
基本的に遅筆なので、よくわからない。
数ヶ月書いたり寝かしたりまた書いたり・・・をくり返した作品が、いっぱいある。


73.プロットや構成を決めてから書く?
企画やコンテストに参加するときは、エッセンスだけメモ書きしたあとで、構成を決めてから書くことが増えた。
でも、基本的に決めずに書いたほうが気持ちよく書けるので、締切や制限のないものは、全部書きたいことを書いちゃってから構成を考えて、パズルすることのほうが多い。もう今となっては、絶対に原稿用紙には書けないな。


74.冒頭から順に書く?好きなシーンから書く?
思いついたシーンから書く。


75.タイトルはいつ決める?
推敲を終えた後。ヘッダー画像の作成を始める前に、タイトルを決める。
最初は、仮タイトルをつけておく(仮タイトルは、書きながら変更することもある)。


76.タイトルをつけるときに意識していることは?
最近 意識しているのは、違和感。応募の場合は、募集企画を探ること。
3つ例を挙げてみる。
①「果実氷いちごを抱いている
「果実氷いちご」という冷たいパフェを「抱く」という、日常では使わないことばの組み合わせを、あえて使った。娘を送り出した淋しさを、果実氷いちごの甘酸っぱさと冷たさに託したつもり。
②「さえずる彼女と新宿を歩く
さえずるのは通念的には小鳥であって、「彼女」という人間ではないはず。しかも、この彼女は、人ではなくてキャリーケース。壊れてピヨピヨ音を立てるキャリーケースを引きずりながら歩く様を、「さえずる彼女と」と表現した。
③「京田、アリエル、翔平、そして高橋周平・・・観客席を熱狂させた選手が「ヒーロー」の顔になる瞬間
これは、文春の応募企画だったので、文春野球コラムをスクロールしながら、掲載されている記事はどんなタイトルが多いのか、どれくらいの文字数のタイトルが多いのかを見てから、考えた。対象の選手名を入れること、ある程度長いタイトルにすることは、企画に合わせて決めた部分。
「観客席を熱狂させた選手」はもともと「ヒーロー」であるにもかかわらず、“「ヒーロー」の顔になる瞬間”と書くことで、暗に野球ではないところでの「ヒーロー」だと伝えたくて書いたタイトル。


77.冒頭の文章を書くときに意識していることは?
物語ではなく、常体で書く場合に限るけれど、窪田等さんの声で再生できる冒頭にしようと心がけている。ここが決まると、構成が見えてくる。


78.締めの文章を書くときに意識していることは?
余韻。
でも、いつも思ったように書けない。


79.漢字とひらがなの使い分けにはこだわっている?
さほどこだわっていない。一人称についてだけ、途中から「わたし」を使うようになった。


80.推敲は何回する?
締切がないと、延々としてる。回数は決めず、ひたすら読むし、音読する。


81.ネットで作品を公開していて良かったことは?
作品を通じて、多くの仲間ができたこと。


82.ネットで作品を公開していて悪かったことは?
文章については、あまり感じたことはない。写真は、著作権の問題かな。


83.ネットで公開する前に誰かに読んでもらっている?
前に読んでもらうことは、ほぼない。


84.スキの数は気になる?
気になるときと気にならないときがある。
推敲不十分で自信のない記事ほど、反応が気になる。


85.自分の作品をどんな人に読んでほしい?
考えたことがない。


86.どんな書き手だと言われることが多い?
やさしいってよく言われる。
わたし自身は、わたしのやさしくないところをたっぷり知っているので、せめて、ことばにして公開する感情はやさしいものでありたいと思っている。


87.他者評価と自己評価のずれは大きい?
大きい。


88.自分の想像よりも好評だった作品は?


89.より多くの人に読んでもらうために工夫している?
書いたらTwitterでシェアする。しないときもあるけど。
文章と内容の、ある一定の品質管理を心がける。それくらいかなぁ。


90.コンテストや公募に挑戦している?
楽しめそうなものがあれば。でも、今はお休み。


91.人に言われると嬉しい言葉は?
「やっと会えた!」


92.人に言われると残念な言葉は?
愛やリスペクトを欠くことば。
たとえ自分に向けられたものではなくても、痛みを感じるから。


93.創作していることを家族や友人など身近な人に伝えている?
昔からわたしの作品を読んでくださっている人にはおなじみの、“おとちゃん”だけにはアカウントごと伝えている。
娘は、わたしがnoteをやっていることを知っているけれど、アカウントは伝えてない。聞かれたこともないしね。SNSではお互い自由でいる。


94.家族や友人など身近な人に作品を読まれるのは恥ずかしい?
恥ずかしくはないけれど、素直な感情を書きづらくなるので、読まれたくない。


95.自分の作品をTwitterなどでシェアされるのは嬉しい?
めちゃめちゃ嬉しい! 気持ちがふわふわします♪


96.他の書き手と自分を比べて落ち込むことはある?
あんまりない。だって、自分は自分のスピードでしか成長できないから。世の中、すごい書き手がゴロゴロいて、そもそも立ち位置が違うんだから、比べて落ち込むのはもったいないと思っている。


97.他の書き手と自分を比べて落ち込んだときの対処法は?
その書き手の書いた文章を読んで読んで読みこむ。noteだったら、初投稿の記事まで遡って読んだ書き手が何人もいる。落ち込むということは、憧れる何かがその人の書く文章にあったということ。その輝きの正体を掴んで、盗んで、自分のものにしたいよね。もちろん盗作ってことじゃなくて、もっと本質的な何か。


98.他の書き手と積極的に交流したい?
誰でもいいってわけじゃないけど、交流したい人は何人もいるし、Zoomでの交流はけっこうしてる。お誘いはTwitterのDMまで。


99.今ぱっと思いついた推しの書き手の作品は?

誰が書いたのかわからない状態で読む「仮面おゆうぎ会」という企画で出会った作品。はじめて読んだのは湯船のなかだった。夢中で読んだ。衝撃だった。


100.他の書き手に聞いてみたいことは?
考えすぎてぐるぐるしてきたので、このへんで。


100問に99答したら、いかにわたしが文章のなかで「わたし」でありたいと願っているかを、肌で感じたような気がした。ことばは難しい。奥が深い。選び方をほんのすこしでも間違えたら、わたしは「わたし」ではなくなってしまう。
これからも ことばとじっくり向き合っていきたいなと、今は思っている。



ぽのこさん、ありがとう。考えるの、楽しかったです!
100問、1週間以上かかったかも。
怖いので、読み直さずに出します!

ここまで読んでくれたんですね! ありがとう!