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1畳強の仮住まいにて候【いつどこnote】

この文章を、私は仮住まいの広い机にて書いている。
時刻は現在 午前5時37分、東の窓はまだ暗い。
ランダム設定の今日のアラームは、秦基博の『Honey Trap』。
鋼と硝子で出来たハイトーンボイスの暴走する恋心に、無理やり起こされた朝。
頭は内外ともにお花畑である。

正面には目線の高さにディスプレイが来るようスタンドで固定したノートPC、手元には有線フルサイズのキーボード、手を真っ直ぐ広げてもどこにもぶつからないが、天井は頭から30cmほどの高さにあって、両横は本棚ときているから、実に狭苦しい。
そして、実に落ち着く。

最近は専らこの1畳強の仮住まいが気に入っていて、ここで読み書きすることが多い。何しろ穴蔵のようなのだ。
時おり雑音や軋む音が聞こえてくる以外は静かなことこの上なく、低い天井にはひとつの灯りもない。あるのは手元を照らすスタンドライトのみ。
まるで押し入れの心地よさである。

現在、映画『STAND BY ME ドラえもん 2』に友情出演中のドラえもんと私は、趣味嗜好が合うと信じている。
押し入れといい机の引き出しといい、ほの暗い狭小地が好きなところは、まさに気が合う証拠だが、頼まれるとホイホイ安請け合いしてしまう体たらくも、どら焼きに目がないところも、その寸胴型のフォルムにいたるまで、趣味嗜好が合うときているから、この“水野うた”という人間が猫型ロボットの仲間入りをする未来も近いのかもしれない。
見事、猫型ロボット化を果たした暁には、“ネタ製造機”・“文体着せ替えノート”・“どこでもカメラ”の三種の道具を、新たにポケットに仕入れる所存である。貸してほしいとの求めあらば、ホイホイと・・・いや、ちと気が早いか。
来たるべき未来に備え、引き出しに寸胴をねじ込む練習を始めてみようと思う。明日から。

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

さて、朝も早よから自らのお花畑と寸胴を晒しているのは、伊藤静代さんのnoteにて、この企画への寄稿をホイホイ安請け合いしたからに他ならない。
どうせ請け負ったからには、普段とは異なる文体に挑戦してみるのも一興と考え、書いてみた次第である。

 

ちなみに、この企画では次の書き手を指名せねばならないルールとなっているらしい。リレー小説のタスキを受け継いで以来、仲良くさせてもらっている書き手、拝啓 あんこぼーろさんに、今度は私からタスキを渡すことにした。

彼の書く文章には、ぬくもりがある。

とは言え、私の書くもののような煽情的で湿度高めの文章ではない。
あんこぼーろさんは、その繊細なアンテナで感じ取った感情や感覚を、淡々と、解像度の高い表現で綴る書き手であり、その文章からうかがえる人柄は、優しく誠実であると同時に、茶目っ気に満ちている。
更新を楽しみにしている書き手のひとりである。

実はこのところ、私のnote仲間の輪のあちらこちらで、書き手と彼との交流によって化学反応が起きる場面を、度々目にしている。かくいう私も、彼からのコメントによる化学反応で、ひとつの作品を書いている。

彼はコメント等で書き手の気持ちをのせることにも長けているし、読み手のコメントと自身の次の作品でキャッチボールをしてみるような遊び心も持ち合わせていて、その交流と作品と書き手がゆるやかに繋がってゆく。

彼の『き く』という作品のコメント欄でのやりとりを、もし良かったら読んでみてほしい。
彼が、コメント欄の最後に書いた言葉を紹介しよう。彼の作品やコメントにしばしば登場する“お嫁”ちゃんも実にナイスキャラで、彼女とあんこぼーろさんの会話に、私は癒されている。

うちのお嫁がこういうやり取りを見ていつも、「ほんまになんか、高貴な遊びやで、大人が文章で遊べるのは。贅沢な時間やなぁ。」と、言うております。note平安貴族です。

やれやれ。誰かわらわの狩衣と烏帽子を準備してたもれ。

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

ちなみに、私が読み書きする時間は朝に限らない。すべての仕事と家事を片付けた夜に書くこともあれば、職場の休憩室で遅い昼休みを取りながら書くこともある。休憩室では、スタンドにスマホを立てかけ、Bluetoothの無線キーボードを使って書いている。
2種類のデバイスをメインに使っているため、PC・スマホ両方で下書きを進められるよう、Google Documentを利用して下書きを作り、書き上げてからnoteに貼り付けるスタイルをとっている。

noteで下書きをしなくなった理由は、かつて書きかけのnoteを寝ぼけて投稿したという、とんでもなく恥ずかしい失態を犯したことがあるからである。

 

さて、穴蔵のなかで、ここまで書き上げた。
これが私の占有地であればどれほど良かったことだろう。
だが、残念ながら、ここは永久に仮住まいである。
何故ならば、天井の上は娘が眠るベッド、ここは180cmの天板を持つ娘のシステムデスクだからに他ならない。

娘はリビングのテーブルで勉強することを習慣にしているため、春に在宅業務が始まって以来、私はこの空いているデスクを間借りしたままにしているのである。
たまに寝言のBGMが流れたり、寝返りの地震に襲われることもあるが、狭くてほの暗いこの穴蔵は、実に心地よい。

私は今日も、永久の仮住まいから言葉を綴る。

 

ルール
・タイトルに【いつどこnote】と入れてください。
・記事にハッシュタグ「#いつどこnote」と入れてください。
・記事を書いた方は「このnoterさん、いつどこで書いているのかな?」と気になる方につなげてください。
・その方の新しい記事か自己紹介などをのせてください。
・つながった方に内容がわかるように、この記事を埋め込んでください。
・期限はバトンが来て1週間以内にお願いします。

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