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わたしだった

翼をなくし
空を降りた者たちは
おおむかし
風とともに風を熾し
世界中を翔けていた

鱗をなくし
水を捨てた者たちは
おおむかし
一身に光をあつめ
水面を煌めかせていた

あれが わたしだったの
あの空は 風は 水は 光は
わたしだったの
この砂は そのほんのひとかけら
いつか砂になることが そのあかし

おもわず天を仰ぎ
おのずと水平線を眺むのは
懐かしいからなのでしょう
世の美しさに寄与していた
あなたも いつか そうだった

波打ち際 肩を並べて歩むあなたが
誇らしげに 寂しげに 笑うから
疑いもなく信じている
あの空は 風は 水は 光は
わたしだったと

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