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【実録】障がい者でも素人からイラストレーターを目指すには?

初めまして。水野ひなこです。
普段は地元の香川県でフリーランスでアニメ系のイラストレーターをしてます。

実は私は統合失調症という障がいを持っていて現在は通院と投薬治療中です。また障害者手帳の等級は二級です。

幼少期から絵を描くことは好きで、本格的にイラストレーターとして活動始めた当時、私の地元の周りで障がい者で身近にクリエイティブ関連の仕事に就いた人は全然いないし、実際に執筆活躍している方は憧れの対象でした。

そしてタイトルのままですが私の経験を通して、実際に障がいを持ったイラストレーターはどんな感じなのか、今回はイラストレーターのデビューに向けて気になる3項目をテーマにまとめてみたので参考になれば幸いです。

1.【とりあえずまずは作品を作る】
2.【専門学校や美大、職業訓練校などは行かなくてもいい?!】
3.【どうやって仕事を受けるの?】


【とりあえずまずは作品を作る】

まず、発表できる作品はありますか?作品がないとかなり難しいです。
ちなみにイラストレーターは資格や試験はないので、イラストを描いてたら誰でも名乗れます。
特に自分の得意分野がわかる作品や男性や女の子、アニマルなどの他には塗り方や配色を変えてみたイラストなど何パターンかジャンルがあるといいですね。

私はアニメ系のイラストでデジタルを使ったフルカラーの作品が得意なので
・キャラクターの立ち絵
・3頭身のデフォルメイラスト
・背景や小物まで描き込んだイラスト
など場合によっては初期案やラフ(下書き)なども含めて制作した作品を見せることもあります。


例えば私が過去の実績でキャラクターデザインを担当・イラスト制作したこの町のシンボルである獅子舞がモデルの香南町コミニティ協議会マスコットキャラクターの「ツカイ」ちゃんを使って詳しく解説していきます。

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これは立ち絵イラストです。キャラクターの全体の様子が一目で分かりやすいのと、アプリのゲームで出てきそうな雰囲気をイメージしました。顔の表情に差分があります。

3頭身のデフォルメだとこんな感じ。

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可愛らしい印象で全体的に丸っこい感じです。キャラクターのポージングに動きがあったり、顔がアップなど制作しました。

ちなみにこちらは初めて制作した初期案のイラストです。

これは下書きから線画の工程です。この時から髪型は獅子舞の耳の部分はツインテールにするなど大体のビジュアルは決まってましたが、着色後の髪飾りの色が緑だったり前掛けの獅子舞のデザインの柄が一部異なります。

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あとは衣装デザインについて。

羽織は実際にモデルとなった獅子舞にあるユタンの柄からとったり、香南町の町旗の紫色を着物や瞳にアクセントとして入れたり、この獅子舞は主に秋祭りのお祝いで使われるので全体的にお祭り風に仕上げるなど色々とこだわってキャラクターに映えるようにデザインしました。

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背景や小物を描き込んだイラストだとこんな感じです。

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単色塗りではなく、グラデーションを使用して一枚のイラストから物語が出来る様に制作しました。ちなみにこのイラストのテーマは「夏のツカイちゃん」です。モチーフに金魚や水飛沫で涼しい夏っぽさと小物の和傘でイマドキの流行りっぽい和風イラストを描いてみたイラストです。

分かりやすいように今回は同じ女の子のキャラクターを使って解説しました。モデルとなった大獅子の実物はめちゃくちゃ迫力があって地元の私でもやや怖いですが、新しく町に仲間入りして町民から親しまれるキャラクターになりました。

あと人物キャラクターの他にはロボットなどメカなども描きます。

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依頼で描いたイラストは実績になりますが、デビューして直前であれば、イラストの依頼案件は頻繁に来ないので中々絵の上達が出来にくいです。
なので普段からイラストを描いたり、コンペに応募したりなど日頃から経験を積むのが近道です。
私は仕事とは他に、自分が納得がいくまで描いたフルカラーの習作イラストは月に2枚ぐらい制作しています。
「私はこんなのもやれます!」…とアピールになるのでどんどん制作してみて下さい。

また大手アニメーション会社のクリエイタートークショーで実際に会場で聞いた話ですが、すごく上手なイラストのポートフォリオを持ってきて、いざ採用からの業務様子を見ていると「アレ?なんか実力と違う…」違和感に気がついた上司が尋ねると「実はアレ、合作なんです…」とクレジットだけで殆ど作品は参加しておらず描いてないなど、割と業界ではよくある話だとか?

正直、たった一作品でも制作中は集中力やたくさんのエネルギーを使うので自分を追い詰めて描くとしんどくなるし、身体や心も疲れると思います。

そんな時はお気に入りの音楽を聞きながら制作したり、好きな飲み物を飲んだり、思い切って仮眠を取ったり、適度にリフレッシュしながら自分が打ち込みやすい制作環境のサイクルを作って習慣化するとすごく楽です。

コピックや鉛筆を使った手書きイラストやデジタルだと3Dモデリングを使用したものや現代には色んな作品がありますが、共通して言えるのはとにかくどの作品も完成を目標にひとつひとつカタチにしていくこと。自作イラストを発表しましょう。


【専門学校や美大、職業訓練校などは行かなくてもいい?!】

専門学校や美大等の絵やイラストの専門的な学校に通えるのなら通った方がメリットは多いですが、行かないとイラストレーターになれない訳ではないし、行ったからといって、必ずしもイラストレーターになれるとは限りません。

私は今まで絵やイラストを習いに学校に行った経験はないです。絵の描き方やイラストソフトのツールのやり方は全て独学でやっています。
ツイッターで趣味用のイラストアカウントで交流のある相互フォローの商業漫画家さんは「高校卒業後、ずっと描いていたらいつの間にか漫画家になっていた。」みたいな方は割と多いです。

完成した成果物を納品するときには絵のクオリティはもちろんなのですが、作成サイズやファイル形式、締め切りなどを発注通り守ってたらOKです。
まず実際にイラストレーターとして勤務を目指しているのであれば、まずは業務を想定した基本的な作品制作中の動作や作品の扱い方を学ぶのがおススメです。

例えばデジタルデータのイラストを描くならお絵かきソフトでペン先のブラシのツールなどを自分に合ったオリジナルにカスタムにしたり、作品に適した保存形式について学んでいくことなどがいいと思います。

よく勘違いされるのは「絵が上手くないとイラストレーターにはなれないのでは?」と思われがちですが、イラストといっても沢山あります。
ゲームやマンガのキャラクターデザインだったり、電気製品の説明書マニュアルの挿絵だったりなど様々です。

さらに何を持って絵が上手いと感じるのかは人様々。みんなそれぞれ重みを置いて大切にしているところが違います。

例えば自分のセンスや個性よりオーダー通りを優先したイラストを描けることは商業的に優秀と言えます。しかし、まだまだ実績はなくても既に持っている才能でファンや依頼者がイラストを気に入ってくれたり、または自分にしか描けない能力や才能を求めている企業や団体に所属でき、満足することもイラストレーターとして優秀ですよね。

結局は「自分はイラストレーターとしてどうありたいか・どうやっていきたいか・どんなものを描きたいか」がどんどん分ってくると行動や形に起こしやすいと思います。

自分が本当に心からそう考えて信じるならその方向に突っ走って進んでいくだけかな、と。
そこら辺は他人が入ってきて優劣つけて比べたりすることではなくて、作品を制作している間に形成されていく自分自身の感覚の問題だと私は思ってます。なので今はなくても作品制作しているうちに自分の「こだわり」は自然と出来てくるものです。

みんながこのイラストは好きか嫌いかは置いといて、殆どの絵やイラストには「作者がこれが良いと思って描いたんだろうな。」って美的センスの塊や価値観が見えてきます。自分の芯をブレずに持って、日々精鋭制作して生きている人は本当に強いですよ。世間の声や批判的なアンチなんかに負けてない。

でもやっぱり現実問題、大多数の支持を得る作品ではないとイラストのお金だけでは生活できない。本当に好きなことだけで食べて生きてる方はほんの一握りでとても難しい。ですが、どんなに自分より遥かに優れた絵を描く人がいて、私はそんな中で制作中は他の作品に嫉妬や優劣、認めて欲しい承認欲求などいろんな気持ちを抱えたりするけど、「この感情だけはどの作品、どのパワーにもかなわない。」と思うのは、純粋に「『絵のことが』・『絵を描くこと』が好き」の気持ちです。これは私が描き続けることができたのはこの原動力が殆どです。当たり前の感情で単純そうに見えても、ずっと描き居続けられるのもまた努力の一つでもあり、強い武器だと感じます。

(というか本当に絵や絵を描くこと自体が好きな人って他人に指導やアドバイスを言われなくても、なんなら描くことを周りから止められてもそれを振り切る勢いで無我夢中になって絵を描いてるし、もう勝手に絵について調べているんですよね…もはや「あなたはずっと描かないと死んじゃうの?」ってくらい。どう考えても常人の好きの範囲は逸脱してるので、もはや「愛している」っていう方がしっくりきたり。

例えば私が小中学生時代はまだ家庭にiPadなどの端末タブレットは当たり前に持ってる人は少なくて、今だと当然になってるアイビスなどのお絵かきアプリはそもそも無いし、まだパソコンでの制作が全盛期でした。その頃はおこずかいが少なくて、ペンタブレットが買えず、マウスを使ってパソコンの画面いっぱいに拡大して線がブレない様にピクセル単位で塗りつぶして描いてたりと今同じことやれって言われたら率直にしんどい(笑)。それじゃないと描けない環境だったからっていっても当時の私はかなり根性あるねって思い当たる節があります。

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今は不定期で地元の香川県で小中学生向けにイラスト教室で教鞭を執っているのですが地元で同レベルの話ができる大人は中々いないのか、全力でアタックしてくる生徒さんの本気のやる気には圧倒されます。趣味で楽しみたい子から将来的にプロを目指してる子まで取り組み方は人それぞれなので、指導もその時に合ったものに変えてるので、ぶっちゃけ大丈夫なんだろうかとかクレームならないのかなとか内心はプルプルしてるし、とても不安です。

その時に教室に参加してくれた家族の方曰く、「受講日の前日は娘は興奮して寝れなくて、普段から端末で娘が何をしているのか全く分からないので不安でしたが、先生(私)が娘のやっている操作方法を理解してくれるのがすごく嬉しかったのか、帰りの車でもニコニコ。家に帰ってきた後でもずっとニコニコで参加して良かった。」と言われた時は、ここまで人に影響与える創作のパワーにびっくりしたのと、純粋に参加して良かったと喜んでもらえて嬉しかったのと、今まで以上の更なるレベルを求めてられていると自分自身でプレッシャーになったりとトリプルパンチでした。

また令和のイマドキの小中高生はTikTokで数秒アニメーション動画自作してSNS上に作品を公開したり、若いイラスト制作の文化を知れたりなど、私も新しいことに触れることが出来るのでこれはこれで刺激があり、実際に活動していてエネルギーある生徒さんから色々と気づかされることが多いです。)

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そういえばこの間、同じ創作活動をしている友人に「なんで絵を描いている人って絵を描くのやめたと思ったらすぐ『息抜きに落書きしよ〜』ってまた絵を描いてるの?確かにさっきとは他の絵を描いてるけど、やっている工程は変わらなくない?ちょっと理解に苦しむ。」とツッコミされました。
うん私も心当たりあるし、言われてみればそれはもう息抜きではないかもしれないかも。愛のパワーかな?(笑)

でも中には自分でやってみたいからやるって決めて自分のことにも関わらず、「描いててどうすればいいのかわからない。」や「自分はちっとも描けてない!」って方向性を見失ったり、自分の作品に不安に感じる人いますよね。でもぶっちゃけそんなことはないかなと思います。

受講中に「もう無理、適当に仕上げた!!」ってヤケになって報告してくる生徒さんもいて、適当と言うの割にはかなり配色センスがいいしバランスが的確だったんですよね。本当に考えてなかったらそうはならない。集中力切れてても無意識に自分が良いと思ったことを考えて表現して描けているのを一緒に発見して喜んだり、私の前で緊張で描けなくて詰まってる子は「とりあえず紙の上にどこでもいいから一本、線を描いてみようか。」と言うと次々と手を動かして描いてるいるから、みんないい意味で好き放題、勝手に出来てますよ。きっと描くことがいつでもどんな時でも、変わらず好きなのかな?って。本当に多分、割とそんなもんです。

それでもデジタルイラストやイラストに関することが未経験で不安な方におススメなのは最近だと障害者向けの就労支援の事業所で将来的にイラストレーターの就職をサポートしてくれるところはあります。
事業所によりますが、実際にイラレなどのソフトやイラスト制作に使用する機材のペンタブや液タブなどの画材が使えたりします。
障害者手帳を持っていたら利用できるところがほとんどなので福祉制度を上手く利用して、スキルアップを目指してみてもいいと思います。

またこれから本格的にイラストを描く機材や画材を揃えて執筆活動を考えていて、障害者年金だけでは開業資金が足りない場合や、子どもが高校や専門学校・大学の進学で絵に関する学校で勉強をしたいので進学に必要な高額な入学金や年間の学費、教材費などと、障がい者向けの保証人不要可で低金利の生業や教育に関する国の貸付制度などもあります。気になる人はぜひ調べてみて下さい。


【どうやって仕事を受けるの?】

私の場合だとフリーランス(個人事業主)としてやってます。ペンネームの「水野ひなこ」で開業届を出してて、屋号の登録をしています。
なので企業と雇用契約を結ばず、企業と同じ立場で業務依頼を受けることも出来ます。また今だとコロナの影響があって条件が揃えばフリーランス対象の給付金の受給の対象になります。

基本的に仕事はイラストレーターの求人サイトから応募する方法とツイッターやインスタのSNSから依頼がくる方法と、地元の香川県の方なら口コミなどがあります。

求人サイトで募集しているイラストレーターは正社員やアルバイト・パートなど時給制から固定給の雇用契約など様々で、一番多いのは業務委託です。
もちろん在宅や障害者雇用もあるので自分にあった求人を選ぶチャンスはあります。

またツイッターやインスタなどのSNSは最近主流になってきました。
デザイン会社や広告代理店などクリエイティブ関連以外の一般の方に目が止まりやすいです。
主にDMやメールなどのメッセージのやりとりで報酬や制作の流れをクリエイターと依頼者で相談して決めることが殆どです。
またSNS上に作品を投稿することにより、自分の活動宣伝にもなるツールになります。

あとは私の地元は田舎(香川県)なので地域の口コミだったり、他にはイラストレーターを探せる依頼サービスのサイトに登録、美術・芸術団体や同人サークルに所属して作家として活躍するなど、切り口が多いと仕事に関する問い合わせも増えます。

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例えば私の過去の実績だと、宇宙や星のモチーフが散りばめられている銀髪の女の子のオリジナルイラストは作家として所属している団体に寄稿した作品です。

また黒髪の男の子の瞳はオッドアイになっていて、個性的な衣装を着ているこのキャラクターは、二次創作(コードギアス )の作品でファンアートとして同人活動の一環で描いたものなどもあります。ちなみにこの記事で先ほど掲載したメカ作品2作品とも、二次創作です。

私はイラストレーターといっても、色々とやっているのが好きで活動している内に、新規のイラストの依頼案件や専属や所属作家としてスカウトのオファーもあったりしたりなど、とても楽しいしやりがいがありますね。

【今回のまとめについて】

…いかがでしたか?
今回は3項目に絞って障がいを持って素人からイラストレーターを目指すためには実際に活動しているイラストレーターのリアルについて書いてみました。

世の中には多くの選択肢があるので、どうか自身の可能性を自分で狭めずに、広い視点を持って臨んでみてください。

またこの記事に関する感想やご質問、ご相談などの他にイラスト制作依頼についてのお問い合わせを随時受付していますのでご気軽にコメントからご連絡下さい。

長文、最後まで閲覧ありがとうございました。



⭐︎追記…先ほど掲載内容を一部大幅に変更・訂正して更新完了しました。初投稿で全く慣れておらず、拙い記事をお見せしてしまいすみませんでした。次回(もし機会があれば)今後も頑張ります。


イラスト画像掲載協力(順不同)
香南町コミュニティ協議会 様
香川・星のソムリエ®️松野俊博氏代表 団体活動「DDAP」様





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