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【ホラー】AIがすべての芸術を生み出すようになった社会

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西暦2223年。AIがすべての芸術を生み出すようになった社会。芸術は人間が生み出すものではなくなり、人間は芸術を鑑賞する存在になった。AIの生み出す芸術品以外は、人間の感性を刺激…
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記事一覧

【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第30話

 病室へと戻った青山を、起きていた篝が見上げる。ベッドを起こして、背を預けていた。 「青…

水鳴諒
1か月前
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【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第29話

「そうか」  話を聞いた小此木が、腕を組む。それから黒縁の眼鏡のフレームの位置を指で直し…

水鳴諒
1か月前

【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第28話

 青山は息を詰める。こめかみを汗が伝っていく。出て行けと言われているが、聞きたいことが山…

水鳴諒
1か月前

【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第27話

 するとある日、『移植して貰った患者』からの面会申請があった。これもまた、法律で許されて…

水鳴諒
1か月前

【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第26話

 その日、篝の手を握っていた青山は、篝が目を開けたのを見た。 「篝」 「……っ、……ま、…

水鳴諒
1か月前

【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第25話

「――現在は人工心臓に接続しておりますが、この身体状況ですと、人工心臓には耐えられません…

水鳴諒
1か月前

【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第24話

 その後、行為を終え、清浄装置で篝の体を清めてから、腰を支えて青山は外に出た。  篝は気怠そうな顔をしている。  あんまりにも壮絶な艶を放っているものだから、非常に周囲の視線を惹き付けている。そうさせたのが自分だと思うと、少しだけ気分がよくなり、青山はそんな自分自身を不思議に思った。  そうして花火が上がった。 「あれが……花火……! すごい、綺麗……」 「――そうだな」 「連れてきてくれて有難う、青山」  それを聞いたとき、つい青山は篝の細い腰を抱き寄せていた。  

【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第23話

「なぁなぁ、ねぇちゃん、名前は?」  すると隣で風船掬いをしていた金髪の青年が、篝に声を…

水鳴諒
1か月前
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【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第22話

 二人がともに暮らし始めて三ヶ月が経過し、2223年の夏が来た。 「篝、どちらがいい?」 「…

水鳴諒
1か月前

【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第21話

「だとしても、フリは可能だが……優しくはしないと告げたしな。恋愛をしたいというなら、好き…

水鳴諒
1か月前

【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第20話

「服を脱げ、ああ、まだ声帯を封じていたのだったな。フェーズ2に移行」 「ぁ……ね、ねぇ?…

水鳴諒
1か月前

【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第19話

 数日後。この日も青山と篝は外へと出た。 「さすがですね……うっ……」  立ち会った他の…

水鳴諒
1か月前

【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第18話

「どういう意味だ? これはAIが作った曲だ。冬眞というのは、冬眞唯戯菜か? 御堂学園の生存…

水鳴諒
1か月前
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【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第17話

 青山は、ソファに座って興味深そうにルービックキューブで遊んでいる篝を一瞥した。本当に判別が可能だと、思い知らされたようにも思う。篝の前にも二人ほど、第一級と第二級のセンシティブをバディにした事があるが、ここまで的確に見抜いた者は、一人もいなかったのが実情だ。 「今日は料理は作らないのか?」  初回のパスタ以後、篝は料理をしていない。だが今日は時間があるからと、青山の方から促した。飽きたのならば、それで構わないと思っている。以後は宅配を手配するまでだ。 「こ、この前の!