【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第21話
「だとしても、フリは可能だが……優しくはしないと告げたしな。恋愛をしたいというなら、好きにさせておくだけで、希望は叶えたことになるだろう。俺が陥落することは、職務規定上もあり得ないが」
その後行為を終えてから青山は、篝の体を清めてから改めて眠らせ、ベッドから降りて、少し仕事をすることにした。
「御堂学園で……何があった?」
篝はあそこで虐殺事件を起こしたとされている。だが、青山が閲覧した資料には、ヨセフが関係するとは記されていなかった。
「そもそも矯正施設は、独房に感情表現者を入れて、個別監視するシステムだったはずだが……盗作されたというのが事実ならば、篝は小説を書いていたのか? そんな事があり得るのか?」
分からないことだらけである。尤も芸術家の言葉の意味を正確に理解したりすれば、それは己がセンシティブになるのと同義であるから、理解できないに越したことはない。だが今回にかぎっては、捜査の手がかりになり得る。
「――篝、冬眞……そして、字波雪野が、生存者か。篝は発話制限がある。それは冬眞も同様だ。字波は……」
青山が検索すると、字波は現在、N99区画の矯正施設・純銅学園にいるというデータが出てきた。
「事情を聞きに行くか。その場合の最適解として――篝は伴うべきか否か」
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