【AIがすべての芸術を生み出すようになった社会】第25話

「――現在は人工心臓に接続しておりますが、この身体状況ですと、人工心臓には耐えられません。人体間心臓移植以外では、この患者は助かりません」

 医師からの説明を、淡々と青山は聞いていた。
 夏祭り会場で、犯人は不明だが、篝は胸を撃たれた。
 そして現在である。

「心臓移植……」
「ええ。ですが人体間心臓移植は、ドナーが見つかる隔離は限りなく低く、数年単位で待つことが多い。しかしこの患者は、半月も持たないでしょう。すぐにでも移植しなければ、命はありません」
「……確か、親族同意があれば、脳死状態の家族の臓器の行き先は、親族が選べるんだったな?」
「ええ。そういう法律がございますが……?」
「俺の兄が、脳死状態で生命維持装置に繋がっている。構わない、心臓を移植してくれ」
「そうですか。その他の臓器はどうなさいますか?」
「好きにしてくれ。篝が助かれば、それでいい」

 こうして、青山一紗の心臓は、篝朔に移植された。
 あとは、不適合状態などの緩和だが、2223年現在の技術では、ほぼ拒絶反応は出ない。


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