川島製菓 - 高知 安芸/芋けんぴ
孤高の糖質_____。
高知県の魅力のひとつに、地域密着型ファミリーレストランがある。例えば高知県東部のレストランであれば、南国市の重鎮"グドラック"、パンク全開の破壊衝動"ゆず庵"、中世ヨーロッパの貴族が集う伯爵家"ネレウス"など、強烈な個性とメニューで全国チェーンのファミリーレストランと真っ向から勝負している。
私が幼少期の頃、地域密着型ファミリーレストランの黎明期であり、どの店舗からも神々しい光が放たれていて、我が家も父の給料日だけ許されるレストランの食事で店内に入る瞬間は、レッドカーペットを歩くような気分だった。
安芸市赤野にある"レストラン矢流"も、そんな地域密着型ファミリーレストランのひとつだ。
残念ながら、今はあの時代の光を放つ店舗は県下に存在しない。ただ、お世辞にもおしゃれやレトロとは言い難い地域密着型ファミリーレストラン勢の中でも、この矢流は少し異彩を放ち続けている。
その異彩のひとつが " 川島のいもけんぴ " である。
営業中とは思えない、暗いエントランスに差し込む海岸線の光に包まれながら、細々と申し訳なさそうに販売されているいもけんぴ。昔のままの包装で売り場に横たわっているけんぴの姿に、優しさに似た妙な安堵を感じてしまう。
よくある場末の商店街で老夫婦が営んでる和菓子屋。ほんの少しだけ売られているありきたりな商品を口にすると、大して美味くないけど、老夫婦の人柄や飾り気のなさが大きなバイアスとなってしまい、過大評価をしてしまいがちだ。
川島のいもけんぴにはそんな心配は無用。
はっきり言っておく、相当美味いのだ。
はっきり言っておく、突抜けてるのだ。
当店は高知県安芸市で創業以来、60年以上サツマイモのお菓子を作り続けております。
地元の高知県東部地域産のサツマイモを使用し、作付けのタイミングから収穫時期、収穫方法までこだわっております。
このこだわりが本当に美味しい一品を作り上げます。
https://www.k-imokenpi.co.jp
世の大半のいもけんぴは綺麗にカットされて、水飴などでコーティングされ、ポリポリとした食感がたまらないものだ。確かにそれはそれで美味い。
それらのいもけんぴとは真逆で、食べやすさといった配慮が一切ないストロングスタイル。さつまいもを長いまま縦カットして、形もグネグネと歪なまま。更に水飴じゃなく、容赦ない量の砂糖でガッツリコーティング。
袋を開けた瞬間に広がるさつまいもの香りが凄く、それだけでも至福。そしてけんぴを噛んだ瞬間、ザクザクとモチモチの何とも言えない砂糖の結晶の食感に興奮し、その次にさつまいもの香りと同時に広がるサクサクとモチモチな柔らかめな芋の食感に思わず笑ってしまう。けんぴの中の空洞さえも食感としてはっきりと主張してくるのだ。
川島のいもけんぴは形が歪なので、いろんな部位でいろんな食感が楽しめるのも最大の魅力。細く尖った先のパリパリ感や、砂糖で隣のけんぴと接着された巨大けんぴの超モチモチ感、砂糖が偏ってどっさり着いたお得感など、いろんな笑顔に出会える。
私は幼少期からこれをいもけんぴと呼び続けてきたので、世間一般の芋けんぴは正直別の食べ物として認識している。
” 芋けんぴ " は小さくパリパリしている、みんなが知っているけんぴ。
” いもけんぴ " は川島製菓のストロングスタイルなけんぴ。
高知県は知る人ぞ知る芋けんぴ激戦区であり、各メーカーが軒を連ねて切磋琢磨をしている。全国に名を馳せる店もいくつか存在している中、川島のいもけんぴは全くブレないで孤高を貫いている渋さも魅力の一つだ。
そしてレストラン矢流のもうひとつの魅力が、エメラルドグリーンの大海原である。レストランとして驚異的な好立地にあり、いもけんぴ購入だけでなく、緩やかな時間を過ごしながらの食事も満喫してみてほしい。
高知県は知る人ぞ知る芋けんぴ激戦区であり、各メーカーが軒を連ねて切磋琢磨をしている。全国に名を馳せる店もいくつか存在している中、川島のいもけんぴは全くブレないで孤高を貫いている渋さも魅力の一つだ。
生産量が少なく、高知空港と安芸市の駅にのみ卸しているとお聞きしていたが、先日、東京銀座の高知アンテナショップ " まるごと高知 " で売られている姿を見て、嬉しいような寂しいような複雑な気持ちになった。
田舎の幼なじみの好きだった女の子が、都会に出て叶姉妹みたいな姿になり、お抱え運転手付きのロールスロイスで後部座席から、汗水流して工事現場で働く私の姿をガラス越しに見たあと、運転手に「行って」と一言呟いて走り去ってしまうのではないか？
紹介をしててこんな事を言うのも何なんですが、遠くに行かないでほしいのです。
大切なもの。
できればそのままでずっと側にいてほしいものですね。
また食べます☆
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