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ボルネオ島の少数民族が、私のチャームポイントを教えてくれた話

ものの見方を変えただけで、世界は一瞬で変わる。
今回はそんなお話です!


ボルネオ島の少数民族(元首狩族)


何年か前に、マレーシアのボルネオ島に行きました。
ボルネオは自然豊かな島で、ジャングルだったり数百万羽のコウモリが住み着く巨大な洞窟だったりがあり、世界自然遺産にもなっているところです。
島の中に昔から居住している少数民族がいまして、そこにホームステイをしに行きました。(数日間だけど)

少数民族の人々は、ジャングルで狩ったイノシシを食べたり焼き畑農業をしたりして暮らしていますが、家は割と普通の一軒家に住んでいて(ただ自分達で建設したんだそうです)、洋服を着てビールを飲んで、バイクや車に乗って生活していました。元首狩族だけど、今は平和に暮らしてます。

泊まらせてもらう家に到着し、その家のお母さんが私のために用意した部屋に案内してくれて、部屋の電気をつけた瞬間。部屋の壁に大きなヤモリが6匹くらい張り付いていて、絶叫しそうになりました。
人生で初めてのヤモリとの出会い。

「えっえっ、これって追い出せたりとか…出て行ったりとかしますか…?」と恐る恐る聞いてみたら

「出て行かないよ〜。この家に住んでるんだもん!ははは」と朗らかに笑われて

「そう…ですよね……泣」(諦め)

そんなわけで初日の夜は、ヤモリから逃れるようにベッドの真ん中に小さく小さく丸まって怯えながら寝ました。しかも、キュッキュッて鳴くんだこのヤモリが…


という話は余談ですが。

滞在中におしゃべりしていた際、どんな話の流れだったか忘れましたが、その家のお父さんに「ホクロがとってもキュートだね」って褒められた事があったのです。
私は、子供の頃から口の右下のアゴのところにホクロがあるのですが、小さい頃は男の子にからかわれる事もあったりして、こんなもの無かったら良かったのに…と子供の頃からコンプレックスに思っていました。
なのであまり話題にされるのは好きではなかったのですが、ホームステイ先のお父さんは「それは”Sweet dot”って呼ぶんだよ。幸運の印だし、魅力的なものなんだ。」と何気なく教えてくれたのです。
コンプレックスとしか思ったことのなかった私は、それを聞いて、ちょっと泣きそうになりました。

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視点の枠組みを変える「リフレーミング」


コンプレックスだったものも、ちょっと呼ばれ方が変わっただけで、違う見方をされただけで、チャームポイントに変わってしまう。
こうした転換の仕方を、心理学用語で『リフレーミング』と呼びます。
人は必ず思考の枠組み(フレーム)にあてはめて物事を見たり感じたりしていますが、その枠を外して別の枠組みから見てみる事で、よりポジティブな解釈の仕方が出来るようになる、という心理療法にも用いられている方法です。

よく聞く例としては、コップに半分水が入っているのを見て「半分しかない」と思うか「半分もある」と思うかで、同じ量の水に対してでもネガティブな見方もポジティブな見方も出来る、というものがあります。
また、例えば外科手術の説明で「死亡率が10%あります」と言われるか「90%の生存確率です」と言われるかで、よく考えると同じ意味だけど、受け取る側の感じ方も違ってきますよね。

人の性格にしても、自分はいい加減だ…と思っていても、見方を変えればおおらかで人に安心感を与える性格なのかもしれない。
真面目で融通が効かない…と思っていても、違う言い方をすれば、公平で皆に対して誠実な人なのかもしれません。
全ての短所(と自分が思い込んでいるもの)はポジティブ転換が出来ます。
「リフレーミング辞典」で検索すると転換の仕方が色々出てくるので、もし自分の性格について気になったら、良ければ参考にしてみて下さい!


過去の経験をリフレーミング


このリフレーミングという方法を使うと、過去にあったネガティブな体験も、その意味づけを変える事が出来ます。
いじめにあったとか、受験に失敗したとか、友達と仲違いしたとか、大勢の前で恥をかいたとか…思い出すだけで胸がキューッとなって、脇に冷や汗をかいて動悸が激しくなるような記憶。私にもたくさんたくさんあります。
頭から消し去りたくなるような嫌なものかとは思いますが、勇気を出して一つ思い出してみて下さい。
そしてその後に、「だからこそ」という言葉を付け加えてみてください。

私の場合は、大人しくて地味で引っ込み思案な子供だったので、うまく自己表現が出来なくて何度も惨めな思いをしました。でもだからこそそんな自分を変えたくて、接客バイトをしてみたり、海外一人旅をしてみたり、新しいコミュニティに飛び込んでみたことで自分の世界を広げてくることが出来ました。

大学の時はあまりにも勉強が厳しすぎて毎日深夜まで泣きながら課題を片付けていたり、クラスの人間関係もなかなか思い通り行かなくて、うまくやれない自分に対してひどく自己嫌悪に陥り、毎日毎日死にたいという言葉しか浮かばなかった。人生で一番の暗黒期(2年間くらい)でした。でもだからこそ、辛くても意外とギリギリで持ち堪えられた自分の強さに自信がつきました。また、それをきっかけに人の心や「無意識」といったものに興味を抱くようにもなりました。

ネガティブな経験を思い出して「だからこそ」を付けてみればみるほど、それが不思議なほど「今」の自分の生き方や強みにつながっている事が見えてくると思います。
その経験が自分に何を与えてくれたのか、どんな学びを得たのか、どのような人の痛みを理解する事が出来るようになったか、人や社会のために経験を今後どう役立てられそうかといった言葉が、「だからこそ」で引き出されてきます。
ただ辛くて苦しいだけだった過去の記憶が、魔法の杖を一振りしたみたいに自分の武器へと変換されるのです。


人間万事塞翁が馬


物事の捉え方について示唆するものとして、「人間万事塞翁が馬」という逸話があります。

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昔、ある老人の飼っていた馬が逃げ出してしまいました。
馬を失った老人はがっくりと落ち込んでしまいます。
しかし数ヶ月後、その馬がもう一頭の馬を連れて一緒に帰ってきました。
新しい馬はとても優秀な名馬だったので、老人は大喜びしました。
けれども老人の息子がその名馬に乗っていて落馬してしまい、足を骨折してしまいます。
落胆する老人でしたが、その後まもなく戦争が起こり、たくさんの若い兵士たちが戦死しました。
しかし、足が悪かった息子は兵役を逃れることが出来たのです。
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人生を通してみると、失敗は結果ではなくただの経過です。
また失敗とはただ「自分の思い通りではなかった」というだけで、本来物事そのものに良い悪いはありません。
もしあなたが今とても大きな悩みや苦しみを抱えていたとしても、そこで終わることはなく、事態は必ず変化し人生は展開していきます。

そこで、今抱えている問題に「だからこそ」をつけ加えたらどうなるでしょうか?
一つの思考の枠にとらわれていたものが、少し軽やかで希望の見える考え方に転換出来るのではないでしょうか?

事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。
これは哲学者ニーチェの言葉です。

世界の全ては、あなたの解釈次第。
だからこそ、どこにも絶望する理由はないのです。

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