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「北アフリカ人と西アフリカ人の顔って見分けられる?」って聞かれちゃった話


あれは何年か前、アフリカで飛行機に乗っている時でした。
仕事でアンゴラ共和国の国内線に搭乗した時だったかと思います。
隣の席に大柄な黒人男性が座っていて、何がキッカケだったかは忘れましたがおしゃべりが始まりました。

飛行機に乗っていると、たまたま隣に乗り合わせた人と話し込むことが割と多くて、以前「タイとラオスの難民キャンプで生まれ育ち、家族と離れてアメリカに移住した」という生い立ちを話してくれた男性だったり。
「婚約者とつい1週間前に破局して、いま盛大に揉めている」というぶっちゃけ話をしてくれた日本人のお姉さんだったりもいましたが。

今回アンゴラの飛行機で隣に座った男性とは、普通に世間話をしていました。
そしてどんな流れだったか「日本人と韓国人と中国人の顔って見分けられるのかい?」という質問をされました。
「まあ顔の作りっていうか、文化が違うから化粧とかファッションとか髪型とか仕草が違うので、全体的な雰囲気の違いで見分けられる気がするなー」と答えると。

「ちなみに北アフリカと西アフリカの人達の顔は見分けられる?」と聞かれました。

予想外の質問に、内心「ひっ!」と慌てふためきながら
「いやあ…ちょっと分からないですねえ…ごめんなさい」
「ええっ?!あんなに顔の長さや骨格が違うのに?」
と、男性はとても意外そうな顔をして驚いておられました。
そうですね… そういう視点で見た事なかったもんだから… 汗汗
確かにあれだけ大きな大陸だもの、そりゃ地域によって身体的特徴に違いもあるよね…!と目からウロコが落ちた思いがしたので、この会話だけはよく覚えています。


人間って同じ世界に生きていても、人によって意識をフォーカスしている部分が違うので、全く違う世界が見えています。
何を見るのか、見ないのか。
それは、無意識下で私達の脳が取捨選別しているのです。
って、今回はそんなお話!


私たちの脳は、省エネモード


またある時は、オーストラリアの牧場にて。
あれは私が大学生だった時かと思いますが、牧場オーナーと夜に暖炉の前でのんびりコーヒーを頂きながらおしゃべりをしていました。
ガソリン代の高騰の話でもしていたのでしょう。
「いま日本ではガソリン代いくらなんだい?」と突然聞かれました。
「ええっ、えっと…分からないです…車乗らないので…」
「ああそうか、そうだよね」

(気まずい空気)

オーストラリアの牧場オーナーにとってガソリン代の値上がりは生活や仕事に直結する重要な関心事項と思われますが、東京に住む女子大生にとってはリッターあたりいくらなんて死ぬほど興味のない情報です。(ですよね…?)


人間の脳には、毎秒4000億ビットという膨大な量の情報が流れ込んできていますが、脳はそのうちわずか2000ビットしか処理していません。
まったくピンとこない単位ですが、要は99.9999…%の情報は捨てられてるっていう事になります。
視覚情報、音、匂い、味、肌感覚などなど、脳が毎秒受け取っている情報量はとてつもない量なので、全て処理しようものなら脳がパンクして私達はとても生きていけません。
だからこそ脳は、情報をフィルターにかけて、自分にとって必要なものだけを選び出すという行為を常に行なっているのです。
これこそ私達が生まれながらに持った、脳の「省エネ機能」です!


例えば、スマホ上でLINEを開いたとします。
たった今見たスマホの画面に、LINE以外にどんなアプリのアイコンがどんな順番にならんでいたか、どんなデザインだったか思い出せますか?
ちなみに画面上には時間も表示されていたと思いますが、何時何分でしたか?
LINEを開く事に意識が集中していると、沢山並んだアイコンの中からLINEアイコンを見つけ出す事が重要事項なので、それ以外の無関係な情報は脳に拾われていません。
また、画面をタップした指の感触がどうだったか、その瞬間どんな音や匂いがしていたかも認識していないと思います。



先ほどのガソリン代の話も、恐らく日々のニュースなどで耳や目から情報は入って来ているはずだけれど、自分にとって関わりがないとみなしているので情報にフォーカスがされていない。
よって、音や視覚情報としては入って来ていても、脳に捨てられて私の中には「入って来ていなかった」のです。


RASシステム


この脳の省エネ機能のことを、「RAS」と呼びます。ラスと読みます。
Reticular Activating Systemの略で、日本語では網様体賦活系(もうようたいふかつけい)。

飲み会のザワザワした騒音の中で、自分の名前を誰かが口にした瞬間、そこだけハッキリ聴き取れる事はないでしょうか?
あれもコレです。
(心理学でカクテルパーティ効果とも呼ばれています)

恋をしていると、人混みの中でも好きな人の姿はすぐ見つけられちゃうの…!っていう事はないでしょうか?
それもコレです。

人の脳は、膨大な量の情報の中から自分にとって「関係があって」「重要とみなしている」情報だけを常に抽出しているのです。

毎日通い慣れた道の途中でビルの取り壊し工事が行われているのを見て、あれ?ここ元々何の建物があったっけ?って思うことはないでしょうか。
これも、毎日視界には入って来ていても、自分と関係がなく興味のない物には意識が向いていないために起こる事。
コンビニとかならすぐ気付くのにね。


叶えたい夢は、脳に教える


人の脳がこのRASという省エネ機能で動いているからこそ、叶えたい夢や目標、欲しいものはしっかり脳にその重要性を認識させておく必要があります。

(↑今回言いたかった事はこれです!)

「なんとなくいい感じになりたい」とぼんやり思っているのではダメなのです。
「人材業界に転職する」「5キロ痩せる」など、はっきりと言語化して宣言する。
なんなら紙に書いて貼っておくと、視覚情報としても入ってくるのでより効果的と言われています。

こうする事できちんと自分自身が望みを自覚し、脳が「あ、これは自分に関係する重要事項なんですね」と捉えて、日々の膨大な情報をフィルターにかける際に業界情報や転職情報、ダイエット情報など、目標達成のために必要な情報をとらえてくれます。
なお、RASは無意識下で稼働しているシステムなので、意識的な努力ではなく自分でも気づかないうちに夢や目標へと近づいて行きます。

スピリチュアルでいうところの「引き寄せの法則」も、これと同じ原理です。



おわりに


海外に行くと、考えた事もなかったような予想外の質問をされて慌てる事もよくありますが、全く違う視点からの見方もあるんだと気付かされて面白いです。

自分が見ている世界は、自分なりの偏りがあると知ること。
それは変えていく事も出来ると認識すること。
それが「自己理解」にもとづく、「自己実現」へと繋がる道になります!

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